老後2000万円必要?:年金問題は日本経済の命取りになる!

老後2000万円必要?:年金問題は日本経済の命取りになる!

「老後に2000万円足りないからNISAを買いなさい」

こんなとんでもないふざけた報告書を出した金融庁。またそれを「受け取らない」と答弁した麻生財務大臣。

そして100年安心の年金改革でマクロ経済スライドを導入した年金改革は、実は100年安心なのは「100年間資金が枯渇しないように制度設計した年金制度」であって、国民の生活ではなかった、という落ちまでついているというドタバタ劇。

しかし、この問題が焦点になってしまったことで、日本経済の沈没は確定的となってしまった。

消費税増税は最悪の経済政策

物を買う(消費)に課税するという社会主義・共産主義的発想の消費税は、資本主義経済学のどのような見地から見ても論理的な合理性を説明できないもの。

だから限定的な制度設計と運用が最低限求められ、経済活動に対する影響を極力抑えるのが基本だ。

しかし、階級社会の欧州では、支配階級が簡単に導入できる消費税を好んで導入し、それを見た日本の政治家が「先進の税制」とばかりに、財務省に乗せられて導入してしまったという最悪の制度だ。

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経済は成長とは、消費することでしか達成できないもの。にもかかわらず付加価値の10%に課税されてしまうと、低成長時代になってGDPの成長は望めなくなってしまう。

さらに消費税率は所得税等の直接税と分離されて議論されるために、全体税率の議論が消えて消費税率のみが独り歩きする。

「欧州は20%だから日本も・・・」という(まったく税制を理解していない)低能極まる政治家は、党派はどこであっても絶対に当選させるべきではない。

そうした政治家を選べば、日本はさらに奈落へと突き進む。

消費税増税だけでも日本経済にとって致命的

米中対立の深刻化を深慮すれば、この秋の消費税増税は極めて深刻な消費不足を引き起こす可能性が高い。まして日米農産物交渉の行方、自動車輸出規制交渉等、懸念は日本経済を覆っている。

4月からの後期高齢者保険料の増額や民間企業の(消費税増税を見越した)値上げラッシュ、働き方改革や10連休による非正規雇用者の賃金減少等々、6月以降の日本の消費は壊滅的となる。

そのタイミングで消費税増税を決定する愚行をいま、安倍首相は犯そうとしているのだ。

最悪のタイミングで噴き出した2000万円問題

米中対立の影響による企業業績の悪化や世界経済のリセッションに直面していると言う状況の中、消費税増税がほぼ決定されたタイミングで、老後2000万円問題が噴出した。

人生100年時代を迎え、年金だけでは一人当たり2000万円の貯蓄がなければ生活を維持できないとする衝撃的な内容の報告書が金融庁から提出され、さらにはそれを金融担当の大臣が受け取りを拒否すると言う前代未聞の事態となり、国民の年金政策に対する懸念は頂点に達しようとしている。

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さらに、この世界経済減速の状況下で、消費税増税の悪影響が懸念される今、NISAに投資すべきとする報告書に国民は呆れた。

これから100万円のNISA枠に投資して2000万円が作れるどころか、元本棄損の恐れが濃厚だ。

議論が深まれば深まるほど消費が減る

今の老後資金対策で2000万円を確保できている世帯は圧倒的に少数派であるだけでなく、現実に年金受給世代に突入している人は焦る。

消費税増税が目に見えている中で、「2000万円ないと老後は生活できません」と言われたなら、国民はどういう行動をとるだろうか?

景気が好転せずデフレ再突入が懸念されている中で消費を増やすほど、日本国民は愚かではない。

この2000万円問題に関する議論が高まれば高まるほど、深まれば深まるほどに、消費はは確実に減る。そのことと消費税増税の相乗効果で、日本経済は崩壊の危機にある。

中国経済云々を議論している場合でなく、いま足元が崩れ去ろうとしている。

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安倍首相の選択肢はひとつだけ

後にも先にも安倍首相の選択肢は「消費税増税回避」の一択しかないのだ。

二度目の首相になってぶち上げたアベノミクスは、就任二年目以降はその効力を失っている。以来6度の国政選挙をことごとく勝ち抜いた強運は理解できても、グローバル化に擦り寄った政策は、これまたことごとく国民生活を苦しめたのだ。

アベノミクスの評価になかに「雇用増加」というのがある。雇用を拡大して家計の取得を伸ばしたといって胸を張る。確かに非正規雇用の増加で失業率は低下し、政府主張が正しいかのごとくの演出だが、家計の消費支出の減少をまったく説明できていないし、低下しまくっている労働生産性によって賃金水準が著しく低下してきた経緯をまったく完全できていない。

それどころか、正規・非正規間の格差、民間と公務員の賃金格差は、まともな数字さえ公表した試しがないというお粗末さ。

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日米蜜月を演出し、外交が成果と胸を張る一方で莫大な米国投資と軍事支出を行った。これらは海外投資であるがゆえに日本経済にまったく恩恵をもたらさない数十兆円の支出だ。

論理的に主張ができない野党でさえ、安倍政治の矛盾は肌で感じているのだろう。

令和になり、新しい時代の到来とともに、消費税を増税しようとする愚行をもはや止められないのか?新天皇即位で本来祝賀ムードであるはずの日本は、米中対立に怯え、朝鮮半島に怯え、中国の拡張主義に怯え、さらに三流国に堕ちたロシアとの交渉すらできないという情けなさ。

その最中、経済が悪化しつつある今、消費に対する課税を強化すると言う。しかし、社会保障制度も年金制度もすべてはこの30年間の経済失策の尻拭いだ。

すべての責任は、経済政策を常に間違えてきた政治家と財務省にある。しかしその尻拭いを増税によって行うと言う究極の責任回避に国民が納得するはずがない。

もしも今まで発言してきたような経済的な知見が安倍首相にあるのであれば、消費税増税は政治生命を賭けて断固中止すべきである。

できなければ安倍首相は愚か者

間もなく(今週末までに)消費税増税は閣議決定される。そうなるともはや撤回は事実上不可能になる。もしも、安倍首相が消費税増税中止を決断できないのであれば、真の姿は「愚か者」であったと後世の歴史に刻まれるだろう。

2000万円問題は、恐らく金融庁の仕掛けであると思っている。

もしかしたら僅かに政府与党内に残された良心派の作戦であると思いたい。

まだ、2、3日の猶予は残っている。

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