ウクライナ戦争の真実・米ドルの危機

ウクライナ戦争の真実・米ドルの危機

ウクライナとロシアの戦争は、日本に居ればウクライナが優勢であるという印象になる。現実にはどうかと言うと、戦死者数で言うならばロシア兵1名に対してウクライナ兵8名の割合だということは全く報道されることもないし、日本のメディアはとにかくウクライナ優勢、ゼレンスキー大統領賛美の論調で染められている。だがどう考えてもウクライナ軍にロシアと闘える戦力があるとも思えないし、兵士の数も圧倒的に少ないわけだから、ほとんど民間から徴収された素人同然の兵士が犠牲になっていると考えるべきだ。



そしてその素人兵士に戦争を指導しているのは米国や英国の軍事顧問と言う名の紛れもない軍隊だ。供与した兵器の扱いを指導するため、または兵器の輸送や設置のために派遣され、所謂民間人兵士に戦争のやり方を訓練している。そして短期間で前線に兵士として送り込まれ、無意味に命を落としているのだろう。

ゼレンスキー大統領はNATO首脳会談の直前となる10日、事もあろうにNATOに向かって「核兵器のロシアに対する先制使用を要請するともとれる発言」を行った。この元コメディアンの大統領は、ウクライナと蜜月関係にあったバイデン大統領の後ろ盾を得て、人道的な観点から禁止条約のあるクラスター爆弾の供与を取り付けたからか、何を偉そうに戯言を言っているのだ!と取れる発言だ。バイデン大統領は、息子のハンターバイデンとウクライナ企業との癒着関係や供与された資金がどう使われたか?というスキャンダル、そして薬物使用や少女人身売買に関係した容疑を、司法取引でいくつかの軽い罪状を認め有罪となったが・・・。

ロシアからの侵略を阻止し、自由社会を守るというお題目を掲げ、英米を中心としたG7各国はウクライナ戦争を継続するためのおびただしい武器や資金援助を行っている。その結果戦争はすでに1年半も続き、いまだに停戦や終結の目途が立たないばかりか、決め手を欠いたロシアが戦術核をベラルーシに配備し、ロシア国内に戦術核使用を主張する声も次第に高まりつつあるなかで、ゼレンスキー大統領はNATOに「ロシアが使う前に核兵器を分からせべき」という暴論をはいたわけだ。なんとゼレンスキーは核戦争を煽っているのだ!

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ロシアのウクライナ侵攻直後の停戦交渉が、トルコのエルドアン大統領の仲介で行われたにもかかわらず、それをぶち壊したのは英米だった。その目的は長期戦に持ち込み、ロシアに核を使わせないように疲弊させてプーチン政権を崩壊させること。つまりウクライナ戦争はいまや完全に米ロの代理戦争になっていて、米国はある目的をもって、ウクライナ国民に多大な犠牲を強いている。その目的と言うのがドル基軸通貨制・変動相場制の維持なのだ。

米国にとって絶対に阻止しなければならないのは、核戦争ではなくBRICS新共通通貨だ。世界第二位と第三位の原油・天然ガス埋蔵量を誇るサウジアラビアとロシア、そして軍事大国で経済発展の著しい中国と軍事国家のイラン、今後の急発展が期待される大国インド、ブラジル、そしてアフリカにおける経済大国である南アフリカ、これに賛同した湾岸諸国、アフリカ新興国、南アメリカ新興国がそろって共通通貨で経済圏を作るとすれば、世界の1/3以上のGDP、2/3の人口を擁する新たな経済圏が誕生するとともに、その成長性を考慮すれば近い将来に世界最大の経済圏になる可能性が非常に高い。

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米国経済はモノづくりを諦め金融経済に移行した。それが1971年のニクソンショックによる金・ドル兌換停止と変動相場制への移行だ。そもそも金本位制では信用創造による信用経済の膨張が不可能だ。それまでは資本を蓄積して投資に回す古典的経済であったわけだか、以降は融資や借金によってそれを投資する金融経済を指向いた。1978年までには主要国が変動相場制への完全移行を達成し、足掛け7年間かけてドル基軸通貨体制を盤石なものとした。つまり、そうなれば米国はドルに需要がある限り無尽蔵に信用創造(借金)して、経済を拡大することが出来る。言い換えれば高水準の借金と返済の繰り返しを膨張させることで、いくらでも経済は拡大してゆく。それこそが米国の富の源泉となっているわけで、「世界中のドル需要」そのものが米国経済を支えている。

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ところがその米国経済の根幹を揺るがすドル、ユーロに続く第三の経済圏がBRICSによって誕生しようとしていて、仮に実現すればドル需要は相当額の規模で減少することになる。米国は輸入大国であってその輸入元の多くはBRICS諸国である。もしも決済代金はBRICS新通貨建てで、と要求されたら信用経済である米国経済はひとたまりもないし、それ以前にBRICS経済圏と新通貨が誕生した時点で急激なドル安に見舞われることはほぼ確実で、それが引き金となり金融危機が勃発するのは目に見えている。

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なので米国はそれを阻止するために、戦争という道具を使わないではいられなかった。ロシアを解体し中国を封じ込めれば何とかドル基軸通貨の地位を維持できると踏んでいる。それはプーチン大統領も習近平もサルマン皇太子も十分に分っているわけで・・・。

今夜の米国市場は、ドル建て日経平均を吊り上げるために、予想通りドル円が¥138円台前半まで円高が進んだというのに、日経CFDを吊り上げ捲っている。こういうことを世界はもうウンザリしているのだ。バイデン政権では米ドル体勢は持たないかもしれない。そして米国に隷属する岸田政権の日本も・・・。