ジャニーズ問題はスポンサー企業にも社会的責任がある!

ジャニーズ問題はスポンサー企業にも社会的責任がある!

これほどの事件を暴露された芸能事務所所属のタレントが、または以前に所属していたタレントが、今日TVを少し見ただけでいまだに出演しているという驚き。TV局が使っている電波は公共、言い換えればの本国民の共有物であり、格安で許認可されたものなのだ。にもかかわらずNHKを筆頭にTVメディアは、調べたら様々な問題が噴出してくるのは間違いが、少なくとも児童福祉法違反であることが明確な法人としてのジャニーズ事務所に所属するタレントを堂々と使い続けている・・・。いまだにジャニーズに利益供与をしているという驚き・・・。

法的な解釈や問題の詳細は専門家の判断なのだろうと思うので言及出来ないにしても、道義的、精神的、教育的な観点から、またはそれをスポンサードしている企業イメージの毀損を通じたステークホルダー、社員、の利益毀損という側面からも、企業は深く考えなくてはならない問題だと思う。

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戦後の日本で(米国の)占領政策の一翼を担ってきたジャニー喜多川という人物が、時代の流れの中で終始一貫して明らかに誤った奢りを持ち続け、自らの性的嗜好の実現のために、そして芸能事務所というビジネスの成功のために、子供たちを蹂躙し続け、従属させ、精神的に拘束してきた歴史。そのなかで、利益を共有し事実を知りながらもそれを延々と容認し続けた日本のメディア。さらにはそうした事実を知りながら解決に動かなかった政治や行政そのもの、ひいては日本社会全体の責任として捉えられなかったという情けない状況がそこにはある。

 

BBCという海外メディアの指摘(告発)を受けたから、重い腰を上げつつ動向を伺って、大きな社会的事件になると悟ってから動き出した(報道を始めた)TVを中心とした日本のメディアは、表面上はジャニーズ事務所に対して追及する姿勢は見せているものの、空々しいにも程がある。

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勇気を出してこの犯罪の犠牲者であることを告発している多くのタレントは、芸能人になることを夢見てジャニーズに所属し、性被害を受け続け、大いなる精神的な矛盾を抱えながら努力をしてきた人達だろう。歌手、タレント、俳優、芸人等々華やかなTV業界で成功し有名人となることを夢見るのは当然で、それが自らの人生を変えてくれると信じて芸能の世界に飛び込んでくることは、いささかも否定できない。しかし、その代償が、かくも卑劣な人格をも否定するような性加害であるという現実に直面し、葛藤しなければならなかったことを日本のメディアはどう考えているのだろう?

ジャニー喜多川からの性加害の犠牲者はBBCによれば1000人近くに達するという・・・。一旦はジャニーズ事務所に所属しながら退所して他の事務所で成功した者も多数存在するわけで、この汚染は現在の芸能界全体に波及している問題でもある。事はジャニーズに所属しているタレントだけの問題ではない可能性がきわめて高い。

世界に指摘され国連でも問題にされているから大変なのではなく、児童虐待、未成年者虐待、が分かったときの利害関係者すべての問題として、また犠牲者本人とその家族の問題として、捉えられない日本社会の問題そのものが危機的なのだと思う。

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露見しても平気で虚偽の発表をした事務所側の対応、そして自らがその責任を認めることを放棄して第三者委員会なる組織を立ち上げ、法的にも同義的にも認めざるを得ないとなった段階で記者会見を開き、謝罪する以前に今後の事務所の経営体制を発表したジャニーズ事務所は、事ここに及んでもなお自己の利益を守ろうとした。加害者だった可能性のあるタレントを新社長に祭り上げ、名称も踏襲するということは、事業継続宣言以外の何物でもない。

世論の中には犠牲になったタレント個人に責任はない、という意見も多数存在するけれど、そうした性加害の事実を知りながら芸能活動を追求し子供たちを扇動した責任は大きい。見て見ぬふりをしつつ芸能界は華やかで有名人になればお金持ちになれて、という憧れの存在。けれど彼らはみな、成人であって責任を担わねばならない立場なのだ。単に被害者だけでなく加害者の側面も持ちえた存在なのだ。

 

だからこそ、そうしたタレントを自社の宣伝活動に使う企業は、そのことを十分に理解した上で、速やかに方針転換を図るべきだと思う。事件が広がった現時点でなお、所属タレントがTV出演しているということが、さらなる誤解を若者に生じさせ、そして事件を曖昧に風化させる。

しかし芸能界のことはジャニーズ問題だけでなく、面白おかしく取り上げられる「枕営業」という悪しき慣習も平然と行われているという事実や蔓延する薬物犯罪等も非常に大きな問題だ。日本最大のタレント事務所がそんな状況なのだから、業界全体が節度を失い乱れるのは当然なのではないか?と思う。

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スポンサー企業は、自社製品やサービスの宣伝のために、芸能人を使いTVCFを流し、メディア媒体に流し、ネット広告をだす。TVを含めたメディアは営業活動の要でもあるわけだが、だからこそ問題解決が始まってもいないジャニーズ事務所のタレントを使うことに対しての判断は迅速に行われなければならないと思う。企業の中には即時中止を発表する企業もあれば、状況を見ながら適切に判断すると発表し曖昧にお茶を濁している企業もある。

問題なのは曖昧な判断しか出来ない企業であっても、投資家はそれをネガティブと捉えることはなく、通常通り株式市場での取引が行われているからこそ、企業は優柔不断な判断しかしない。けれども一投資家として、そうした企業に投資するのは避けるべきと思う。そうした企業にはダメなものをダメと判断できる経営能力がない。ウイグルで人権弾圧の結果製造された太陽光パネルを平然と使うことと同義だと思う。

芸能界のこうした不祥事を徹底的に浄化出来ないようならば、日本社会も大したことはない。優柔不断な企業姿勢も情けない。