「一寸策は闇」:現在のマーケットはまさにこの言葉通り!
- 2023.10.28
- トレード雑感
もう何が正しい判断なのか、何が間違ってるのか、判断が出来なくなるようなグチャグチャな世界に居ることを嫌でも自覚しないわけには行かなくなった。
新型コロナから始まった混乱
事の始まりは得体のしれない新型コロナウイルスの登場から。この出所も分からない、突如として世間に登場した未知のウイルスが中国で流行りはじめ、あっという間に世界中に拡散し、死者が続出したことで、世界中は恐怖のどん底に叩き落とされた。
しかし本当に恐ろしいことは、本来新規ワクチンの開発は下手すれば5年、10年はかかるはずだか、何と1年後には量産体制から大量のワクチンが供給されたこと。こんなことは、全くあり得ない話であるのに、世界中が安全性も確かめることなくこのワクチンに飛びついたという事実。
後になって考えると、中国製のワクチンはどうして開発できたのだろう。今回のワクチンはメッセンジャーRNAワクチンと言う新技術を用いたもの。それを公には、米国ファイザー、モデルナ、ドイツ・ビオンテックなどが初期段階で開発したとされ、その技術で英国アストラゼネカが製作したとされる。
けれども、そんなことは、常識的にあり得る話ではなく、すでにワクチンの処方が出来上がっていたというのが真相(誰が何のために作ったのかはもはや公然の秘密になっているけれど、ブログには書けない)。結果としてこの世界的な大惨事は、世界同時金融ジャブジャブ政策と社会生活様式の変化さえももたらした結果、世界経済はインフレに襲われ、金利上昇を余儀なくされ、積み上がった天文学的な債務に押しつぶされようとしている。
次は戦争勃発でエネルギー危機
しかし事はそれだけでは済まなかった。あり得ないと思われた戦争が勃発したのだ。年が明ければ2年になるが、ロシアがウクライナ領内に侵攻を開始した、寝耳に水の悲惨なロシアーウクライナ戦争だ。これも理由は書いているとキリがないので略すけれど、問題なのはこのタイミングで世界中に深刻なエネルギー危機をもたらしたこと、そして次に来るのは深刻な食糧危機であるということ。さらにG7各国は理不尽な侵略に対しウクライナを軍事支援し、大量の武器弾薬を消化させて、さらに一層の財政拡大を強いられたこと。これによって新型コロナ禍で疲弊した各国の財政状況の中でさらなる政府債務の急増をもたらした。
ロシアーウクライナ戦争の趨勢はもはや決した。強引なNATOの東方拡大政策に対する大きなツケをウクライナ領土割譲と言う形で払わされることになるだろう。米国がウクライナのユダヤ人保護政策の一環と位置付けて支援したこの戦争で多くの人命が失われ傷ついた。同時にこの戦争で、ロシアから欧州への天然ガスパイプラインが破壊され、経済制裁とも相まって欧州、日本などは、ロシア産エネへの依存を完全に諦めざるを得なくなってしまった(パイプラインを破壊したんは恐らく米・英である)。
この戦争はいまだに決着したとは言えないが近いうちに停戦せざるを得ない状況になる。そして入れ替わるように今度は中東で紛争が勃発した。イスラエルのガザ地区を支配するテロ組織と化したハマスが、パレスチナ人を人間の盾としてイスラエルに大規模攻撃を仕掛けたわけだ。始まったばかりのこの紛争で既に双方合わせて1万人近い一般人が犠牲になっているけれど、一部人道措置は取られているものの、戦禍は拡大する一方だ。
ウクライナの次は中東
小規模ながらイスラエルは地上軍をガザに侵攻させているし、米国はシリアのヒズボラの拠点に対し、空港閉鎖のために空爆を仕掛けた。イスラムテロ組織ヒズボラがイスラエル攻撃を行っていることを防衛するために措置としているが、米国は他国の領土を攻撃したわけで、すでにこの段階でテロ組織との戦の域を超えたわけだ。
事情の分からない世界中の市民は、失われた人命数を比較し、パレスチナ側に立つ論調(雰囲気)になっていて、メディアもその調子でニュースを垂れ流す。けれども常にこの問題は複雑怪奇であって、単に歴史的宗教的背景でもなく、領土問題と言うわけでもなく、そこには様々な利権さえ絡んでいる。極めて複雑な政治問題であって単純に白黒つけられないわけで、それはロシアーウクライナ戦争の比ではないだろう。
イスラエルは米国最大の同盟国であり、本来ハマスの攻撃に対して、イスラエルを防衛する義務が生じるはず。実際に米国はすぐにでもそうしたいはずだが、ガザ地区の戦闘はイスラエルに任せ、シリアやイランと言った宿敵国をどうやって引きずり出そうかと言うのが本音。
そもそもハマスが扱い辛い一般人の人質を200名以上とったのは、何らかの交渉をスムーズに行うための準備だろう。人質を人間の盾にする必要はガザに立てこもるハマスには必要のないこと。あの狭いガザ地区(大阪市と同等の面積)に総延長500キロものトンネルを築き、ゲリラ戦を行うならば、圧倒的に軍事力優勢なイスラエルとて、恐らく勝ち目がないだろう。ハマスはガザ沖の天然ガス鉱区の利権分割を狙っている。
が、問題なのはそうした一連を、米国が容認するはずがないということ。すでにイスラエルと米国は紛争解決後のガザ地区の支配方法に関し取り決めを行っている。それによれば紛争解決後もパレスチナ人を城壁で囲み検問所で移動を制限する現在の形態を変えたくはないらしい。つまりパレスチナ人がイスラエル全土にチリジリになることだけは避けたいというのが本音。そしてガザ地区の自治をパレスチナ自治区と認めるか否かは未知数だという。
こうした事情から、今回の紛争終結にはまた長い時間がかかるのは必至で、その間にシリアやイラン、特にイランを介入させ、打撃を加えてイランの現政権を弱体化させるというシナリオも必ず考えられている。少なくともハマスやヒズボラに軍事支援しているイラン革命防衛隊を機能不全にすることはターゲットになっていると思う。
だがここでの一番の問題点は、ハマスを経済的に支援しているのはイランよりもカタールであるということ。カタールはペルシャ湾に突起状に位置する国で、日本は原油及び新たなLNG(液化天然ガス)輸入を交渉している相手国。しかもカタールにとって日本は最大の貿易相手国ということ。と言うことは、間接的に日本の資金がハマス支援見回っている可能性もある。
米国の中東政策は常に強引で、大量破壊兵器開発疑惑でイラクのフセイン政権を軍事進攻で打倒してイラク国内の原油権益を奪った。考えてみれば米国のイラク戦争とロシアのウクライナ戦争とどこがどう違うというのだろう?その米国は現在2隻の空母打撃群を地中海に派遣し、さらに新たな2隻をアラビア海に進出させる。空母打撃群4部隊で同時にイラン・シリアを包囲する格好になるという意味をどう考えればいいのだろう?
狂った米国の財政拡大
確かなことはここでも米国は莫大な軍事予算を計上する必要があるということ。ようやく下院議長も決定し、これから大至急予算審議に突入しないと、11月17日には政府機関閉鎖となってしまう。しかし、ここではウクライナとイスラエル支援のためにバイデン大統領が主張する、約16兆円の扱いを決める必要がある。だが、事が始まれば、これ以外に莫大な軍事費を計上せざるを得なくなる・・・。
11月1日にはFOMCが開かれ、恐らく政策金利据え置きとなるだろう。しかしマーケットはもはやFRBを見ていないのかもしれない。このような状況になって、いよいよ米国政府債務への不安を織り込もうとしている・・・。米国債格下げの懸念、政府支出に歯止めがかからないという懸念、さらには近いうちにリスク資産の大暴落が起きるかもしれないという恐怖・・・。
ブラックマンデーは来週の月曜ということも否定できない状況と言う意識。とても怖くて、株式など持っていられないというセンチメントが米国市場の下落を誘発している。この状況で間違っても落ちるナイフを素手で掴むべきではないと思う。よく言われる「押し目は買い」ということが万能でないことを思い知らされる。
ならばどこで買えばいいのか?どこで売れと言うのか?
その迷いがそもそも相場というものなのだ。
今夜も米国ダウは▲$300と下落し、日経平均CFDに至っては△¥389の上昇を全消ししてなお▲¥60水準。たった一晩で、日経平均¥400、¥500が溶けてしまうという地合い。今の市場は何が正しいのか、何が間違ってるのか、どう考えたらいいのか、全く分からない五里霧中、いや一寸先は闇、のような相場。迂闊に手を出すと、後悔では済まない状況に陥るかもしれない。
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