イスラエルの反撃は倍返し!?イスラム教もユダヤ教も同害報復だが・・・
- 2024.04.17
- 放言
今回のイランの報復攻撃は、ハメネイ師の保身のため、体制維持のためだね。多分イランの内政がかなり不安定になってるんじゃないかな。厳しいイスラムの戒律で国民を縛ろうとしてきたものが、徐々に通用しなくなってきてる。イラン国民はイスラム教徒とは言え、この時代ネットやSNSで海外の情報は取り放題だし、元来自由主義政権(王政)で育った実績もある国民が、イスラムの戒律通りの生活をするというのは、相当の我慢を強いられるわけで、もう限界に来てる。
もちろん多聞に漏れず、政治や軍は腐敗だらけで国民の不満は彼方此方で噴出してる。そんな状況で、政府はなんとか国民のうっ憤を海外に振り向けようということで、ガザ地区の非道を宣伝した。そこにイスラエル軍によってシリア国内のイラン大使館が爆撃され革命防衛隊の指揮官を含む十数名の死者をだした。これで報復をしなかったらイスラム教の教えである「同害報復」に背くことになるから、どうしても報復しないわけにはいかなかったというところだろう。
中東やアフリカの新興国が恐れているのは、国内の政情不安に米国の諜報機関がつけこんで政権転覆を起こされること。特に米国政府機関のユダヤ勢力の暗躍は最も警戒している事項で、米国の諜報機関は世界中の新興国で同じよな干渉を繰り返してきたし、今も恐らくは実行中だろう。
ロシアと闘っているウクライナも国務省とCIAの肝いりで仕掛けられたマイダン革命によって親ロ政権(ヤヌコビッチ政権)が倒されたことでロシアの遺恨を買ったことも紛争の要因の一つだ。その他にも「アラブの春」と称されるモロッコ、チュニジア、エジプト、リビア、イエメン、ヨルダンを覆った民主化運動なども仕掛け人は例外なく米国と言われている。
ヒラリークリントンが国務長官時代にカダフィー大佐を暗殺したリビアは民主化どころか内戦には転しているし、民主化に失敗したエジプトは現在軍事政権だし、イラクでも民主化に失敗しいまだに混乱が続き、果てにはイスラム国(IS)という過激民兵組織を生み出してしまった。
そういう事例を嫌というほど見せられているイランは、どうしても内政を鎮静化したかったというのも分かる。そのために型通りの報復作戦を近隣国や英米仏に通知の上実行した。もちろん間接的にはイスラエルも情報を供与されていたわけで、事前に周到な準備が出来ていたからこそ、300機以上の弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンの攻撃を迎撃出来たと言える。
もしも、本気の報復であれば、もちろん事前通告は最小限で、実行しただろうし、その場合はイスラエルに結構な数が着弾し、被害が出ただろう。アイアンドームというイスラエルの迎撃システムで全機迎撃しようとすれば、それこそ爆弾な戦費になるし、そもそも全機迎撃はシステム的に不可能だ。
報復攻撃を発表するとイラン国民はお祭り騒ぎとなり、これである程度のガス抜きが出来たから、「報復作戦は終了し、続行はしない」と宣言したのだ。つまりは米国が了承済みの見せかけの報復作戦であって、だからこそ、バイデン大統領は反撃しようとするイスラエルに対し「支援しないし戦闘に参加することもない」と釘をさした。米国はウクライナへの支援で手持ちの弾薬を相当数供与してしまい、パトリオットミサイルさえ日本に出させる始末なのだから。
チャチなドローンを迎撃するのに10億円もするミサイルを打たされたのでは堪らない。言ってみればその辺も駆け引きであって、だからこそイランは300機~350機ものミサイルやドローンを使ったと思っている。そのことは、少なくともウクライナ戦を戦っているロシアには有利なはずである。
となって、イスラエルはどうか?と言えば、戦時政権とは言えネタニヤフの強硬姿勢に対する国内の反発も相当に強く、ガザ地区侵攻で世界世論もまたイスラエルに批判的で、一般市民を3万5千人も犠牲にしたハマス掃討作戦は、いまだに人質を100人も獲られたまま、停戦も目途も経たない状況。日増しに政権への風当たりが強まる状況の中で、イランが報復攻撃を仕掛けてきた。しかもほとんど形だけの作戦を周辺国や米英仏に事前通知しての茶番劇だが、今度はイスラエル(ネタニヤフ)の番だ。
IAEAはイラン核施設の視察を続行すると発表し、イスラエルの核施設への攻撃を牽制しているから、それはなかなか難しい状況。となると、ネタニヤフもまた米軍の協力を得た反撃をしたいと思っているだろう。イスラエル戦時内閣は15日、「明確かつ強力に」反撃することを決めた。ユダヤ教もまた基本的に同害報復だが、行動原理は「1つの目には2つの目を」と考えるのがイスラエルの歴史でもあるのだ。
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