株式市場雑感:日経平均は三角持ち合い下離れ!?

株式市場雑感:日経平均は三角持ち合い下離れ!?

一進一退を続ける日本株式市場・・・。理由は大変に単純で、海外勢が買わないから。今年の3月まではあれほど買ったのに、あれよあれよという間に売られてしまって、日経平均の高値¥41,087(3月22日)から、まず第一波の売りが来て、4月19日には目先の底値¥36,733まで約10%の下落となった。そこから戻り高値は5月20日に¥39,437まであったけれど、5月30日には目先の2番底¥37,617まで下落し、総じて大きな三角持ち合いの様相を呈している。

けれども、日経平均って本来ならばもう少し調整しても良かった気がするんだよね。トヨタやUFJの不祥事もあって市場全体がもう少し調整ムードになるかな?と思ったし、フランス、イギリスがこれだけ政治状況の混乱で売られるならば、日本の政治はどうしようもないところまで堕ちたからね。英仏、だけでなくて欧州全体が、保守主義に傾きつつある中で、日本は元来保守的と思われた政党が実はリベラル一色だったというどうしようもない状況だったし、多少期待感のあった日本保守党もYOUTUBEばかりやっていてくだらない批判ばかり繰り返しているだけでは、話にならないし・・・。

資本市場は保守的な政治を好まない、というかとにかくリベラルが大好きなんだよ。リベラルならば何でもありだから、投資機会がグッと増える。とにかくここまで資金がジャブジャブになって有り余った資金の投資先を確保することが最優先課題になっているからね。気象変動でもEVでも、資源や戦争だってかまわない。ワンデイオプションでもいいし仮想通貨でもいい。

相対取引に至ってはそれこそ、ありとあらゆる金融商品を開発しては投入して荒稼ぎをする。銀行、保険からファンドや商品投資等々とにかく儲けのネタを作りまくって世界中の企業相手に商売をする。ネタは金利と為替ヘッジ、仮想通貨のETF組成、そしてAI。

Advertisement

特にAIに関しては、今後あらゆるメーカーがスマホやPCにAI機能を搭載してくる。それでどうするか?と言えば数分に一度とかの頻度で、中身のデータを全部抽出してAIセンターのデータベースへ。AIの名のもとに遂に禁断の手法を大っぴらに導入するわけだよ。

そういうことに関して、欧州は結構危機感を持っていて、米国のテック企業に対し何かと規制をかけているけれど、この流れはもう止められないところまで来てしまった観がある。とにかくなんでもかんでもAI化することで、今のテック企業は賭けようとしているんだろうけど、はっきり言って相当に危険なことには違いない。

でも投資やビジネスのためなら何でもする、というのが大資本の原理なので、もう絶対に後戻りはしないだろう。なのでそうした流れに対して、最も障害となるのが「保守主義」というわけだよ。まずは、イギリス、フランスで保守主義の芽を摘もうという動きになった。言うまでもなくこの秋の米大統領選挙を見据えているのは明らか。個人的にはこのまま大統領選挙が行われるのかどうかさえ、分からないと思ってる。

岸田が辞めないのも、米国が許可しないから。米国は自民党全部を、いや日本そのものをリベラル化したいわけだから。実際自民党はリベラル政党になってます。自民だけじゃなくて維新も同じ。ほぼ、世界の流れは意図的に!?リベラルへという図式。

Advertisement

そういう世界の状況なので、例えば株式市場だってAI関連に事業の舵を切った企業は恐らくどんどん伸びる。ハードもソフトもビジネスモデルもなんでもかんでもAIに依存する形を作る。よくある名前だけのAIじゃなくて、本質的にAIをベースにしたビジネスを作れば、これから先も伸びていけると思うけど・・・。従来通りのビジネスを引きずるような企業、規模だけ拡大して業績が伸びているように見せかける企業は、下手すると逆にAIに見破られるでしょ。

例えば今の日本市場では、防衛銘柄が買われてるけれども、基本的に日本の防衛産業は儲かりません。それに輸出も円安でダメ。ただし予算規模は倍増しているわけで、決算は業績が伸びてるように感じる数字が出る。そのことが分かってないと、重工を買えば安心、なんていう気持ちになったらちょっと怖いけど。IHI、川重はPERが低いので伸びるかもしれないけれど、それはある意味水準訂正だからね。いまは祭りだけど、そうそう長くは続かない。

じゃ日本でAIで伸びる企業はあるのか?というとこれが探すのがかなり難しい。逆にダメになるかもしれないという企業はごろごろしてるけどね。なので、個別企業を見極めていかないと、痛い目に会うと思いますよ。

そんななかで、最も懸念される事件が言うまでもなく農林中金の外債損失だよね。これはもうある意味とんでもない爆弾かもしれない。農林中金はとにかく米国債金利の低下を心待ちにしてる。そして焦げ付きまくってるCLO(ローン担保証券)の穴を出来るだけ米国債売却で埋めようと。けど、そもそもCLO自体早期に処分しないと大惨事になる恐れもある。何せ景気悪化中だからね。こんな時は株のロスカットと同じで、すぐに一気にやっちゃった方がいいと思うけどね。その後の金利とか値動きは誰にも分からないし結果論でしかない。けれど、損失を確定しなければ次が無いもの。

Advertisement

そのCLOはどんな組成内容かにもよるけれど、今年から来年にかけては相当にヤバイ感じになってくると思うし、2番手の2兆円台の保有額の三菱UFJとか3番手のゆうちょ銀とかにも影響出るかも。何せ今は超円安で為替ヘッジだけで5%もかかるから。ブルームバーグが懸念するように、これからハイイールド債とかも危険だろうし、そうした高金利債全般に影響が出るかもしれないし。米銀破綻に続く次の金融懸念はやはり債券まわりの金融商品だな、という気がするんだよね。

というわけで、この米国の株高を信じるのは自由だけど、なんかちょっと違う気がするんだよね。

またドル円もとうとうこの週末には¥159.767とかまで円安が進んでる。¥160を越したら為替介入があるか?なんて話題になるだろうけど、多分もうできないと思う。なぜならイエレンが相当に怒ってるから。だとすると、7月の金融政策決定会合では何らかの利上げを思わせるアクションがあるんじゃない?その辺も日本株に買いが入らない理由なのかもしれないけどね。

こうしていろいろ考えていると、日経平均って三角持ち合いを下離れするんじゃないかな?いう気がしてならないんだよね。