マーケットは実体経済との乖離を埋めようとする

マーケットは実体経済との乖離を埋めようとする

日経平均CFDは米国市場引け後も時間外でジリジリと下げて、結局昨日に引け値から▲¥1,250安の¥35.140で取引と終えた格好。これは▲¥4,451だった8月5日の寄り値¥35,249を下回ってるわけで・・・。

これで、日経平均をベースに考えるならば、8月5日はもちろん、6日、7日、8日の買い方さんの玉がかろうじて、プラスを維持しているという恰好になってしまった。実質的には8月16日から9月3日までの揉みあいながらの上昇は、9月5日に窓空け大陰線になったことで、アイランド・リバーサルの形になってしまったわけで、非常に厳しい形になったと言わざるを得ない。

それでも5日~8日くらいの取引は売買高も多く、一般的に下値の抵抗線として意識されるとするけれど、その辺の見極めが週明けは非常に重要になって来て、その上で13日(金)のMSQを迎えることになるわけで、そこは今ポジション的に置いて行かれてしまった海外勢がどんな手を売ってくるかに大きく依存するかもしれない。

以下はまた個人的な放言なのでそのつもりで読んで欲しいんだけど。

いろいろあり過ぎて何をどう話したらいいか分からない部分があるので、気になる点を箇条書きで簡単に書いて行きます。

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米国市場

〇 米国市場はここからジリジリと下げる展開になるかも。もちろん上下を繰り返しながらと言う意味だけど。そして12月が意外に怖いかもしれない。なぜならば、年末商戦で雇用と売り上げが思いのほか伸びなかったことに失望感がでるから。年末高はちょっと期待できない年になるかもね。

〇 その雇用だけど、やはり思った通り雇用統計の本番は9月の数字かなと。9月の数字は10月4日に発表だけど、FOMC後なんだよ。この数字が悪化した場合、今月のFOMCで利下げしたのは予防的措置ではないという見方が台頭するからね。

〇 さてもっとも恐ろしいのは、トランプが大統領になった場合、政権の空白期間が年明け以降最低でも3ヵ月は続くことになる。その間に景気が悪化しても、財政的な対策は打てないということになる。株式市場はそのことを大いに意識することになるだろうと思うからね。もしも米国経済を持たせるにはもうジャブジャブしか手段がない。それはトランプでもカマラでも同じこと。

〇 けれどもそこに至るまでにはいろいろな問題が噴出する可能性が高い。商業用不動産のデフォルト問題や個人ファイナスのデフォルト問題も出るかもしれないし、もっと言えば米国債金利の乱高下なんかもあり得ると思う。中国がいよいよ米国債を大量に売るかのせいもかなりある。

〇 原油価格の不安もあって、これが$50台に突入なんかしようものなら、OPECも生産調整どころの騒ぎではなくなるし、BRICSは新たに2025年から加盟国が増えるし、なんとシンガポールも申請中だそうな。と言うわけで対ドル対抗という意味合いが鮮明になってくるのが2025年だと思うし、その意味で米国債が売られてもおかしくはないからね。

〇 米国の本格的なリセッション入りの一つの目途はHYG(ハイイールド債)の動きで、これが底割れした場合は長期低迷もあり得る事態かも。ビットコインも売られてるけど、米国債が売られるようなことになると、また戻るかもしれない。

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日本市場

〇 ドル円の試金石は去年の年末に付けた¥140.255と言うことになり、ここを割ってくると日経平均はドル円に比例的に下落することになる。今月FRBが利下げをするけれど、今後どのような形で利下げを継続するかが焦点になるけれど、他方で国内には日銀の利上げを煽る勢力が多いので、今後の動きは¥140ー¥160のレンジを見るにはちょっと無理があるかも。

〇 日経平均の年初1月6日の引け値は¥33,377で、8月5日はここを割り込んだことで投げが加速したという側面があった。昨日の日経CFDの引け値が¥35,140であることを考えると、この水準は1月後半からの買い玉が全て(8月5日~8日の下値を除く)が含み損になる水準で、3月と7月のダブルトップを考えると、需給は非常に悪くトレンド転換したとみるべきかもしれない。

〇 米国NASDAQが厳しい下げになっていて、今後15,708Pを割り込むようだと、半導体に牽引された日経平均はさらに厳しくなってくる。世界的にEVが壊滅的な状況になっている中で自動車関連にも期待が出来ず、米国債券の乱高下ともなれば金融セクタも厳しい。つまり、ネガティブな外的条件が日経平均を押し下げかねない。

〇 また日経平均は米国景気後退を織り込んでいないことも大きな問題で、この夏をピークにしてインバウンドも減少傾向になるだろう。つまり訪日外国人数が海外経済の大きな目安になってくるのだが、その時には海外の景気悪化は止まらなくなりそうだ。

〇 次期首相候補は軒並み親中であって、中国経済とともに日本を沈めようとする人ばかり。そういう意味では高市早苗と茂木敏充以外は、親中・増税になって日本経済は完全に壊れると思う。政策的には茂木が最も真っ当だが、現実は親中派が押す小泉と高市の一騎打ちになりそう。この二人以外自民党の生き残る道はないと思うけど、ここまで親中議員ばかりだったことに唖然とさせられる。

〇 ドル円のトレンド転換が確定したことで、残存する円キャリーの解消が一気に進む可能性がある。その意味は株価の下落だけでなく、大手金融機関がドル箱を失うに等しい。

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マーケットに生じた実態との乖離

米国の債務問題を解決する手段として高インフレ政策は、ある意味では作為的なものだったし、企業も国家も、個人も膨れ上がった債務を解消するには、インフレ意外になかったと言える。が、すでに2023年の米銀破綻で安易なインフレ政策による金利上昇には限界があることが示された。以来、米国は見せかけの景気指標と雇用統計を駆使して、何とかソフトランディングの道を探ろうとしてきたわけだが・・・。

インフレ状況では経済が持たないことが証明され、債務は膨れ上がるばかりだったことを考えると、金融システムを維持しつつ景気を冷やす(悪化させる)政策という道をFRBは選ばざるを得なかった。けれども、景気減速プロセスに入れば、何をしようとも大きな痛みを伴うことは不可避である。かつての日本経済がそうであったように、痛みを伴いつつ低成長経済に移行するしか、着地点はないと思う。

問題は、米国経済も、そして日本経済もそのプロセスの只中にあるということに気付かないこと。少なくとも現時点では、経済は、株価は右肩上がりになると、誰もが信じてい疑わないということが、負のサイクルを生み出すと思う。

新NISAで老後の資産形成を、という全く意味不明の国家プロジェクトは多くの日本国民を巻き込んだ。この大前提は、株価の右肩上がりを信じて疑わないという証拠となる。けれども、今後10年後、20年後の世界が見通せているような、そんな理屈が今の時代に通用するだろうか?

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国家の社会主義化が年々進み、規制なくしては何も成り立たない世の中に急速に変貌してきている。そして制度や仕組みに対してある程度規制を設けることは否定しないまでも、資本主義・自由主義国家にもかかわらず、平然と情報統制や情報操作が行われ、その先にあるものは、婚姻関係の崩壊と個人管理の徹底であることは否定のしようがない。

それにはLGBTや選択的夫婦別姓を通して、従来の婚姻概念を打ち壊す必要がある、と言うのが世界のリベラリストの主張であり、それぞれの民族や国家単位での伝統を打ち壊し、標準化することがグローバリストの真意なのだと思う。そのためには個人単位での把握や管理が大前提となる。

普通に考えても、普通に社会の変化を眺めてみても、危機的な変化を感じ取ることが出来るはずなのに、巧妙な情報操作によってオブラートに包まれるから、国民の大半は気付くことはない。でも気が付けば、前回の米国大統領選挙から以降繰り広げられた米国の情報操作の波は、実はマーケットにも及んでいたということを、意識している投資家があまりにも少なすぎるのではないか?

株式市場や債券・為替市場では実体経済などはどうでも良くて、まるで実体経済とは遊離した部分にマーケットは存在するかのような錯覚に陥る。けれども現実は常にマーケットは実体経済そのもののはずで、乖離すればするほどに、大きなショックを伴って乖離を埋めようとするもの。かつての不動産バブルに踊った日本がそうであったように、米国経済もまた、莫大な通貨バブルによって乖離してしまった実体経済との差分を埋めようとするに違いない。

今はそのプロセスの始まりにあると、個人的には考えています。