積み上がった債務を異常と思わない異常な状況

積み上がった債務を異常と思わない異常な状況

おかしい、どう考えてもおかしいと思える今の経済状況。素人の身としては、こんな経済でいいのか?って自然に思えてくる。経済学の知識がないとか、金融なんか分からんだろう!とか言われて当然かもしれないけれど、でもやはり狂ってるとしか思えないのだよ。

1990年台から今の今まで、米国株がひたすら右肩上がりになって、バフェットのようなオマハの賢人とか言われる投資家が莫大な財産を築くことが出来たのは、米国のマネーストックがずっと増え続けてきたことで、ほぼ正比例的に株価が上昇してきたことが原因なのは明らか。それくらいは知ってるつもり。

今だって、米国株が押しても毎回戻して新値を獲ってくる理由は、米国のマネーストックが(FRBの金融引き締めに関わらず)増え続けているから。つまりは莫大な国債発行による資金調達で財政支出を増やし続けていて、経済全体としてはマネーストック、つまりM2マネー(市場全体に供給される通貨(マネー)の量で、現金通貨や預金通貨、定期性預金、譲渡性預金(CD)などを含む)は確実に増加し続けているという事実があるからです。

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今回の急激なインフレの主要因はコロナ禍での給付金ばら撒きと言われているけれど、それだけではなくてエネ価格(原油価格)や不動産価格の高騰が拍車をかけたわけで、給付金が底をつき、原油価格も落ち着いて、さらには不動産の賃料もジワジワと低下しつつあれば、インフレは自然に沈静化する。

FRBは急激な利上げやQTの導入によって、経済活動を鈍化させることでインフレを抑制しつつあると言われてるけれど、考えてみれば、コロナ禍以降爆発的に増え続けたM2マネーには例外なく金利があるわけで、低金利から一気に5%時代になってM2マネーの増加以上に金利負担は増大してるんだよ。

と言うことは、金利が高止まりするということは莫大な、想像できないほどの金利負担が経済全体に重くのしかかっているということだろう?M2マネーの増加量はコロナ禍以降とんでもなく急激だった。そして財政支出という観点ではなおも増え続けているわけだよ。そこにほぼゼロ金利から5%台に金利が駆け上がったのだから、経済全体としてそれで大丈夫なの?って誰だって思うんじゃないか?経済成長は2%も行かないのにね。

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景気は悪くないから、ソフトランディングだからと米国債10年金利は4.104pまで上昇した。これにしたって今のインフレ水準からすれば、金利は低すぎると思う。まして10年後に米国政府債務がとんでもないことになるということが決定的なのにもかかわらず4%の金利しかつかないって言う方がおかしいだろ。10年後の米国財政負担の内6割が利払いなんてことに今の状況ではなってしまう。それって言えば財政破綻同然だからね。

FRBが0.500pの利下げをしたけれど、米国経済全体を眺めると、もう手の施しようがないくらいの悪循環に嵌ってると思う。要するに利払いのためにM2を急激に増やし続けなければ、どこかでクラッシュするという状況。こんなのはまともじゃないよ。

こんな状況だから株式市場は上昇し続ける。そしてSFのような夢をAIに託したりしてね、どこかに莫大な投資が必要となるネタを作って市場をホットにしたりしてね。

 

なので、米国に移民流入が止まらないのは、移民による経済が大きな成長ファクターになってしまっているから。移民に様々な給付をする、移民はそれで消費する、やがては就労し、永続的な消費となり米国経済は拡大してゆくというプロセスを捨てられなくなってる。常に戦争を引き起こし、需要を喚起するというのも、マクロで見れば必須になってるしね。路線としてはAIは真っ当だけど、それでも過大な期待感でしかなく、移民政策には勝てないくらい。

そうやって財政拡大の理由を次々に作り出して行って、とにかくM2マネーを増やし続けるしかない状況。それが此の先無限に続くと考えること自体が、もはや異次元だね。

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不動産でほぼ壊滅した中国経済だけど、バブル崩壊の後始末の反面教師は日本だった。けれど、中国は気付いてしまったというか、米国のような財政拡大路線でしか今の経済は運営できないということ。債務が無限大であろうと、究極的には利払いを上回るM2マネーを意識して緩和路線に切り替えるしかないということ。そこで40兆円の金融緩和・財政出動をやると発表した。リーマンショック直後に世界経済のけん引役となったときの財政出動規模と同額だけど。

それで期待感から上海や香港市場の株価は急騰したけれど、当時のインパクトを得るには200兆円くらいでなきゃ見合わないはず。でもそんなことをしたら急激なインフレで国内経済は完全死するだろうけど。

ドイツ経済は2期連続のマイナス成長が決定的になっているにもかかわらず株価だけは上昇トレンド継続!フランスも財政悪化からネガティブ格付けを喰らったにもかかわらず株価は上昇中!その理由はただひたすらにM2マネーを増やしてるから。完全に自殺行為に等しい。

 

そういう意味では、米国がM2拡大基調にある限り、世界中が追随するかのように財政拡大路線だから、こういう経済は高金利政策が続く限り、どこかの時点でクラッシュするとしか考えられないんだけどね。リスクが高くなればなるほど金利は上昇する。特に金利政策に依存しない長期金利は上昇基調でノーマル。けれどもそのノーマルが、現在の状況ではアブノーマルと認識されてやがて(経済が)立ち行かなくなると確信している。