世界経済の大転換を暗示させる各国の「予算」を巡る攻防
- 2024.12.06
- 世界情勢
よく考えてみると、韓国でもフランスでも、今の政治的混乱は「予算」を人質にとって繰り広げられている。韓国は予算を議会の採決なしに通そうとし、戒厳令という強硬手段にでて大混乱となったし、フランスも度重なる福祉予算の削減で混乱したところにさらに緊縮予算を通そうとした内閣が倒れた。
これは他山の石ではない。年明けから始まる日本の通常国会の最大の焦点は来年度予算なのだが、予算委員長のポストは立憲民主党が握っている。これを人質に取られたら、日本のますますの左傾化は回避できないだろうし、妥協に妥協を重ねた末に予算を成立させて、石破内閣はお役御免となる可能性が高い。ならばその後で誰が首相になるか、を巡って混乱するのは明らかだ。
さらに混乱は続く。そもそも石破内閣の外相が米国で訴追されていて、どうして日米関係を維持できるというのか!この岩屋という人物は、今現在懸命に中国礼賛を続けているのだから。
石破首相は、トランプ次期大統領との電話会談もままならず、就任後の日米首脳会談も米側の了承が得られていない。バイデン政権は新たな対中半導体装置規制から日本とオランダを外す方針を打ち出したけれど、トランプになれば、国内企業を規制して他国企業を自由にさせると言ったやり方を容認するはずがないし、日本には外交で解決する手段ももはや残っていない。
これで予算を人質に取られたら、立憲は野田首相を要求するだろう。そうなると日米関係は韓国の混乱もあいまって、同盟が崩れることも十分にあり得る。
そして米国。早速始動したイーロン・マスクは連邦予算の最低でも2兆ドル(約300兆円)の削減に向かって議会側との話し合いを始めた。関税の引き上げと連邦予算を切り詰めて、個人や企業の減税を推し進めようとしているけれど、RFKJが保健福祉長官に指名されていることもありメディケアとメディケイド以外の医療や薬価関係の予算も大幅に削減されそうだ。
しかるに、米国もまた予算を人質に取った政治運営となるのは確実だ。
地政学リスクを度外視しても、世界は予算を巡る凌ぎ合いに突入している。年が明け2月にはドイツの混乱も想定されているし、関税を巡る米中貿易戦争の再発も懸念される。
明らかに世界の流れは変わったのだ。従来財政拡大で支出を増やし続け、それが日米欧でのリスク資産の上昇を招いてきた。がしかし、新型コロナ対策と地政学リスクによって、先進国の財政は一気に危機的状況に陥った。正直、対策をせずに従来の予算方針で行くとなれば、もはや金利上昇を抑え込むことは出来ず、一気に危機的状況に直面することになる。
今の世界経済の完全なるウィークポイントは、金利上昇だから。
日銀はそんな見識があるのか、分からないけれど、8月5日のブラックマンデーを繰り返したくないと考えているのならば、12月利上げなど絶対に出来ないのだ。アナリストや評論家の中には、世界の金融政策に逆行する日本だけは独歩高になるなどとクレージーな発言をする者がいるけれど、これだけ輸出に依存する日本経済に何処にもそんな理屈はない。
なので、少なくとも株式市場の意味不明の年末ラリー突入などと言う現象は直ちに終了となるべき。いらぬ誤解を個人投資家に与えかねない。
世界のそうした経済状況、政治状況の上に、今の一触即発の地政学リスクは存在しているのだ。無暗に第三次世界大戦と言う言葉は使いたくないが、今のウクライナーロシア、そしてイスラエルーイラン紛争とそれを各国が財政支援と武器供与をしているという状況は、すでに突入していると言っても過言ではないと思う。
従って先進国は、言ってみれば戦時経済・戦時財政に突入しているということだと思う。
プーチンの独善的な理屈もロシアを再興するという理想も、結局は戦争という殺戮の果てにしか実現できないものだということをウクライナ戦争は証明している。そうした企てをゼレンスキーを通して煽りに煽っているバイデン政権は絶対に許すことは出来ない。
よく考えてみよう。米国・バイデン、中国・習近平、ロシア・プーチン、北朝鮮・金正恩、フランス・マクロン、ウクライナ・ゼレンスキー、韓国・尹錫悦・・・。皆、いざとなれば議会決議なしに軍を動かせる存在であるということを。
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