雇用統計、インフレ、そしてビットコイン
- 2025.01.11
- 時事問題
またしても予想に反して強く出てしまった12月米雇用統計。けれども予想に反した、と言っても個人的にはそんなに強いとは思えない数字なんだけど、結果として株式市場は厳しい下落に見舞われている。
好調な雇用統計は直近のインフレ再燃懸念を裏付ける形となり、FRBの利下げが遠のくと同時に米国債10年金利は4.788pまで上昇し、その結果米国株式の割高が強調される結果となって、株価が水準訂正に向かってるという理解。
直近の米国三市場のチャートを見ても、天井水準でのボラティリティが高まっていて市場は明らかに過熱感を意識した動きになっていることが分かるけれど、これで米国市場はしばらくの調整局面に入るのかもしれない。
問題はトランプ政策との整合性がとれないこと。雇用がこれだけ強いということになれば、就任式当日にも大統領令にサインすると言われている移民の送還プログラムは、一層の雇用のタイト化をもたらすかもしれないという懸念が出てくる。
強硬な姿勢を続けている関税の引き上げに関しても、インフレ再燃を助長する懸念がある反面、原油価格を引き下げてインフレを抑制しようとする動きに対しても、産油国(特にサウジアラビア)が、シェールのコスト高を見越して今月から価格を引き上げたことで相殺されてしまう可能性もある。実際WTI原油は$77.81まで今夜跳ね上がった。
しかし、民主党政権は最後の最後まで、トランプ政策に抵抗するというか・・・。バイデン政権は先日出た政府所有のBTCのうち、犯罪摘発で押収した69370BCTを売却すると発表した。土壇場で司法省は売却許可を裁判所から取り付けた格好なのだが、これはトランプが推進しようとする政府資金積み立て計画を阻害するものと市場は受け止めた。
仮にトランプの政策が順調に進めば、BTCは鰻登りになるのは確実と見られている。なぜならば、FRBの金融政策に左右されないデジタル資産を米国投資家は完全に認知し始めているからだ。仮に現状では少なくともドルの現在価値に左右される相場の動きになっているけれど、トランプ政策によって独自の動きが確立されると思われているからだ。
これで、現在米国所有の19800BTCを政府管理に移行すれば、総数が2100万BTCと決まっているわけで全体の約1%を所有することになるけれど、喪失したBTCが400万あるわけで実際的には約1.16%になる。もしもこのデジタル資産が金利や景気の影響を受け変動が激しい各国通貨からの退避場所になるとしたら・・・。
だからこそそうした未来を予想するからこそ、BTC1億円説、10億円説が飛び出してくるわけで・・・。BTCは価値の裏付けのないバブル資産だという酷評は後を絶たないけれど、ならばドルの裏付けはあるのか?と質問されると答えに窮する。野放図に発行されるドルの裏付けというのは、すでに返済の目途が立たない政府債務となってしまっているわけで・・・、これを不安視するのは当然のことだからね。
いまは、米国経済の在り様がドル高を推進している。ドル高とは世界中の資金がドルに向かっているという意味でもある。なぜならば米国金利が世界で最も高いしステーブルだから。しかし、景気変動によって本来価値を毀損しない資産という意味では昨今のゴールド相場にも表れているよね。今夜のような資産価格の変動(下落)を資産家達は大きなリスクとみなしている証拠でもある。ならば資産価値を固定化しようとするのは当然の成り行きのように感じる。
そこに目を付けたのがトランプで、成り行きによっては仮想通貨全体に十分な資金が流入してくれば、それ自体が政府債務の担保になることも考えられるし、場合によっては買い集めることで、将来的に米国政府債務の信用の裏付けにもなる可能性だってある。
にもかかわらずこれを売り飛ばしてしまえ!というのは、いかにもディープステートと言われる民主党を動かしている莫大な金融資産家たちの考えそうなこと。彼らはFRBがドルを管理するなかで、ボラティリティによって収益を得る現在のシステムが変わってしまっては困るのだから・・・。ましてドル価値が下がることなど絶対に容認できないわけで・・・。
トランプ政策のどれもが、米国や世界にとって大きな変革を意味する。仮想通貨政策ひとつでこれほどの影響があるわけだ。移民政策や減税政策はどう考えてもインフレを助長するもので、政府雇用のリストラも米国雇用(失業率)にとってはネガティブだけれど、ある意味移民政策のカウンターパートになり得ると考えている。所謂理想主義に近いと個人的には思うけれど、だからこそ、変革の影響はより一層大きくなるのだろう。
もはや、石破がどうの、と言った日米関係など、トランプにとっては重要でないことなのかもしれない。
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