今頃大騒ぎのトランプ関税!問題はその効果と悪影響?
- 2025.03.07
- トレード雑感

株式市場は今頃になってトランプ関税への懸念であたふたしているのが少々滑稽だ。トランプ大統領の政策に関しては、都度いろいろ書いてきたけれど、大統領に就任して以来、ほぼほぼ事前に発表した通りの政策を次々に打ち出していて、おおむね予定通りに見える。
関税に関しては、主要政策としてMAGAの実現のために必要だと主張していたし、インフレ対策としては、原油価格の引き下げを実現するので大丈夫と主張していたけれど、実際にWTIは$60台に低下している。
人事は、ほぼほぼ大統領の専権事項であって、議会承認の必要なものは議論はあったものの、おおむね承認された。連邦政府のスリム化は、イーロンマスクの参加によって相当に進捗していて、1年以内にはほぼほぼ目指した形になるだろう。USAIDの解体ばかりがクローズアップされているけれど、今年の目玉は司法省改革なのは明らかなので、今後も物議を醸すだろう。
不法移民の退去問題は就任当日から始まっていて、流石に不法移民の中でも犯罪歴があるものから国外退去を順次行ていて、3月中には数万人規模になるということ。
こうしてみると、大統領就任から約2ヵ月でこれだけの成果を出しているのだから流石だ。そして近々ウクライナーロシアの戦争は停戦になるだろうし、その後は中東和平に向かうと思われる。ただしEUとの関係、英国との関係はむしろ悪化しているし、世界経済における関税導入の影響は依然として未知数だ。
どうやら、世界経済全体としては、いままで金融ジャブジャブによって支えられてきたという部分で、実体経済の悪化をどう織り込むのかが分からないので、楽観はできない。もちろん世界経済が偏重をきたせば、米国も大きく影響を受けるわけで、恐らく政策の着地点は、やってみないと分からない部分がトランプ大統領自身にも大いにあると思うし、それなりの覚悟はしていると思う。
そして、やはり最後は金融への影響が、最大の懸念になるのかも。所謂ドルに対する信認が揺らぎ始めている問題だ。基軸通貨としてのドルに対する信認は、米国経済が一強になればなるほど、崩れてゆくというジレンマがある。米国に対し資金が流入し、新興国からは資金が大量に流出する。そこに高関税となると、世界経済のバランスが崩れてしまうと同時にドル不足が顕著化するだろう。
そのことは国際間格差となるわけで、それが新たな火種になる可能性は十分にある。だからこそ元FRB議長のバーナンキは「関税は穏やかな戦争」と言い放ったのだろう。
そしてもう一つの強烈な火種、それは米国の金準備だ。イーロンマスクは「米国には本当に金を8000トンも保有しているのか?」と投稿した。とりあえず数十年間、米国の金保有量は米国政府によってチェックされていないばかりか、最近では大量の金輸送が報告されている。
金本位制ではないけれど、基本的にドル信任の裏付けとなっているのは、金保有高であると言われているし、世界的な財政赤字の急拡大に伴って、ますますこの見方が強くなりつつある。世界的に金の保有高が問題にされてくると、現在の公表された各国の推定保有量は、一変するとまで言われていて、そうなると財政債務問題が大きくクローズアップされるかもしれない。
そうなると、世界的な金融危機の勃発となるので、身構えておく必要はあるかもしれない。
兎に角、明日の雇用統計を無事に通過することが、目先の大問題だけど、意外にコンセンサス通りの数字が出そうな気もするけどね。
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