関税協議の行き詰まりと米国スタグフレーション警戒感

関税協議の行き詰まりと米国スタグフレーション警戒感

GW明けの日米株式市場は急落するのか?現時点ではあくまでも8日3:00amのFOMC次第ということになるのだろうけど、早くもここ2、3日の間にドル/アジア通貨で異変が起こりつつある。一説には関税交渉の中に為替(ドル安)に言及する内容が含まれているのでは?という思惑が流れ始めた。

これが事実であるとすれば、当然ドル円にもその流れが波及することになる。ただ為替は日本経済にとって生命線であるから、日本政府は情報を隠蔽する可能性が大いにあるけどね。ただしドル円相場は、それを織り込む形で再度円高方向に動き出している。つい昨日まで¥144台だったドル円は現在¥142.456(23時現在)とまたまた大きく動き始めてる。

それの伴って日経CFDも2日の大引け以来、さらなる上昇を志向していたけれど、高値¥37,314まであって現時点では¥36,753と、何と¥561も溶かしている。やはり日本株はドル円次第という構図は変わっていないね。

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トランプ大統領の悪いところは、各国との関税交渉が全然進んでいないのに、さらに外国映画に対し100%の関税をかけるという極端なことを言い出したこと。理由は海外で製作される映画は米国批判の内容が多いというもので、これは独裁国家の独裁者がやること。こういうことを始めてしまうと、いよいよトランプ批判が高まってくるし、強硬な政策がますます裏目に出る可能性が高くなる。

現に中国との貿易協議はまるで進んでいなくて、現在ではもっぱらフェンタニルの流入に関し話し合ってるとされる。中国は今回は徹底的に米国に対抗するつもりなのだろう。習近平は国内完結型の経済を目指して腹を括ってるのかもしれない。国内経済の立て直し優先という感じがするしね。

そしてインドもまた関税ゼロを米国に要求しているらしく、協議がまとまる気配はないどころか、英国とFTA締結で米国以外の貿易を拡大しようと対策してる。

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とは言え、日経CFDがいつの間にかプラテンして¥100高になってる!円高が進んだにもかかわらず、相変わらず連騰姿勢を崩していないのか?もちろん米国三市場も大きく突っ込んだ後は戻り基調になってはいるけれど。この辺が今回の相場のカオスっぷりという事かもね。全く株価の動きが分からないなぁ・・・。

さて、こういう相場展開は非常に危険で、これでますますFOMCが利下げしないとなった場合の下落幅が大きくなるんじゃないか?もしもパウエル議長が利下げを決断する場合というのは、「インフレよりもスタグフレーションに陥ることを警戒しての予防的措置」に映る。

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現状では、米国経済はまさにスタグフレーションの入り口に立っていて、この状況で物価が上昇し始めると(すでに上昇しつつある)、完全にスタグフレーション入りとなる。そうなればFRBが利下げをすればするほど、インフレは厳しさを増す結果になるのは明白。インフレがきつくなったらただでさえ消費が落ちているところで、さらに消費は減少して景気が悪化してゆく。そうなってしまうと結局FRBに打つ手が無くなってしまうわけで・・・。

そうした状況を知ってか知らずか、トランプ政権は外国映画に100%関税とか減税するとか言っているわけで、ちょっと末期的な状況だな、と思わざるを得ない。

世界は従来のように米国中心主義を受け入れるのか?というとすでに様々な部分で拒否反応が出始めてる。その最たる部分が日本政府の関税に関する強硬な姿勢であり、これがトランプ政権にとっては最大の誤算となりかねない。表面上日本の要求がある程度受け入れられるとすれば、水面下では必ず「円高誘導」という交換条件が出ているはず・・・。

いまのところ株式市場は日本市場への資金シフトという御旗のもとに強気でいるのだが・・・。