やはりトランプ大統領の経済観は間違ってる!

やはりトランプ大統領の経済観は間違ってる!

経済的に見れば、トランプ減税法案とは10年間で650兆円以上の減税をして、経済がどれくらい成長、拡大するかの賭けでもある。巷間言われてる赤字額は確定で3兆ドル以上、それに現在の政策を継続するとしてその赤字分が上乗せになる。

だから、4日成立したトランプ減税・歳出法に対する見方は経済成長という側面で様々な解釈が行われているわけだが、ここに低所得者層に対する負担増、メディケア等低所得者層に対する各種ケアの適応条件の厳格化、DOGEによる予算削減、関税収益の増加というバリアを張っていると言える。

それを真っ向から「絵に描いた餅」と批判してるのがイーロン・マスクなのだ。

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そもそも、低所得者層から中産階級の下層レベルでは、今後トランプ関税の負担増がますます厳しくなるのは明白で、高所得者層を優遇する法律の内容では、国内的な所得移転が止まらなくなる。そしてそれは明確な格差拡大を助長するわけで、米国の貧富の格差が拡大するばかりだ。

そしてそもそも米国製品の輸出がトランプ関税によって増加ずるのか?と言えば、さらに高額になる米国製品を買う意味がない。一方対米輸出国にとっては、関税がかかったとしても、単純に関税分を上乗せして従来通り輸出するだけ。その製品が米国内で消費されたら、それは米国の消費者や事業者が結果的に負担するということになる。

確かに連邦政府の関税収入は増加するけれど、それは輸出国のみならず米国内の消費者からも徴収した結果であって、その結果経済効果は全く測れない、どうなるか分からないというのが現実だと思う。

それよりも危惧されるのは今後最低でも10年間は、米国の連邦債務は今のペースで増加し続けることが、この法案成立によって確定したと言えること。そして低所得者層や中産階級下層の米国民は今後10年間、状況が悪化し続けるということになる。

もっともイーロンマスクはもっと厳しい予想をしていると思う。つまりは、インフレが上方で硬直化してしまうことが、さらに米国経済の大きな打撃になるということを懸念していて、状況が悪くなると結局、政府支出を増やさなければ経済が維持できないというジレンマに陥ってしまうこと。

さらに海外展開している企業にとっては、地域別、業種別に異なった高関税の適用が、事業継続をさらに困難にすることを危惧してる。ネット系のハイテク企業は別にしても、製造業にとっては非常に厳しい条件になり、特にテスラやアップル、半導体装置企業等にとっては、悪法以外の何物でもないと考えるだろう。

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とにかく、財政政策に重商主義的な保護政策を導入し、少なくとも米国の財政赤字を減らすことが主眼となっているトランプ大統領の一連の政策は、自国製品の輸出が増えないのに、輸入量を規制することになって国内消費を減らす政策であり、まさに意味のない前時代的なもの、と言うことになる。

そしてその大きな懸念が結局は金融システムに大きな悪影響を与えることになる。現に米国の商業用不動産の下落は壊滅的で、AI時代ではハイテクや金融であっても、オフィス需要は生まれないし、メーカーは衰退を余儀なくされるから、もはやカウントダウンの突入したと言える。

イーロンマスクでなくても米国のメーカーの経営者たちは、軍需産業以外は苦虫を嚙み潰してるに違いない。これで恐らく米国の自動車産業は壊滅することになると思うし、半導体産業も成長率を失い、インフラを含めた建設業もますます苦しくなる。

そもそも富裕層を減税しても経済効果などは、出るはずがないのだ。

ちょっと、トランプ大統領の考える経済は、前時代的なのだろうと思うし、それを指摘しないベッセント財務長官も全く引用できないということ。よくぞヘッジファンドマネが務まったものだと感心する人物だ。

MAGAどころか、残念だけどトランプ大統領は米国衰退のトリガーを絞った大統領になりかねないと思う次第。