雇用統計ショックだけで済めばいいが・・・。タイミング悪し!

雇用統計ショックだけで済めばいいが・・・。タイミング悪し!

だいたいどんな手段を講じても前月の雇用の状況を翌月第一週の金曜に発表する、なんて正確な数字ベースではできるはずがない。けれども株式市場はもちろん、債券市場もコモディティもすべてのマーケットが、雇用統計を重要指標とみなしているわけで、しかも織り込まれるのは速報値だけ、となるとマーケットは全く正確でない数値を当てにして織り込んでることになる。

でも、今回ほど疑わしい雇用統計は前代未聞だったと思うし、雇用への見方が大きく変わるんじゃないか?と思えるくらいだ。

個人的には、こんな雇用統計の発表は、どうせ政権によって仕掛けられてるんじゃないのか?という視点でいろいろ調べて記事を書いたけど、真偽のところは分からない。

分からないけれど、今回の発表値を見れば見るほど、そう疑いたくなってくるんだけどね。けれどトランプ大統領はこの発表に激怒し「雇用操作」として労働省労働統計局長を即座に解任した。

仕掛けだと思ったのは「ここで雇用が急激に悪化しつつあるという演出をすれば、それも6月にさかのぼって雇用の悪化を強調すれば、それはトランプ大統領の利下げ発言を肯定することになる」からだけど、政権のスタッフが独自の判断でやった可能性もある。

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でも故意であろうと怠慢の結果であろうと、今回の雇用統計は酷かった。なかでも修正値に関して言うと、5月14.4万人→1.9万人6月14.7→1.4万人と改定され、25.6万人の雇用が消し飛んだ!その上で、7月7.3万人と言う雇用増を信じろ、と言う方が無理と言うもの。

そして正規雇用が44万人も失われているにもかかわらずパートや非正規を出鱈目にカウントして増やしていたわけで、トップが首になるのは当然だよ。

これを担当レベルで勝ってにやることはないだろうから、何処からか降ってきた指示のもとに変造したのは間違いない。なのでマーケットは大いに雇用統計に不信感を抱いたに違いない。

今回の雇用統計騒動をFRBパウエル議長はどうみてるのだろうね。

けれどもここで問題なのは、このことが単に米国経済の国内問題で済むような状況にないということ。つまりこれから取り決められたトランプ高関税は実行に移されるからだ。

米国経済は予想以上に減速しているにもかかわらず、その上15%もの関税をかけられたらますます売れなくなるじゃないか!ってことで、当然この雇用統計の出鱈目は世界中に伝搬した。所謂世界同時株安の引鉄になった。

景気が減速する中で高関税政策を導入することが、どういう意味か?は明らかで、その上米国の債務上限問題が取りざたされる8月ということもあって、この金曜の株価下落はちょっと看過できないんじゃないかと思うけど。

とりあえず来週は週初から厳しい局面を迎える可能性が濃厚だけどね。

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とにかく今のタイミングが悪すぎる。日米欧ともに株価は過熱感を伴った高値圏にあるということ。俺に言わせれば意味のない高値圏、と言うことになるわけで、なぜ意味がないかと言えば、此の先の上値が見通せないからだ、と言うのは何度も書いてきた。

これで、もしかしたら一番割を食うのは日本市場かもしれないと・・・。

決算はここから上値を見るには、全く物足りない。しかも海外勢は延々と日本株を買ってきた。その意味は米国市場の警戒感からの資金逃避だったはず。でも、冷静に見れば、本当に日本株がリスクヘッジになるのか?というと、逆に15%関税って相当に厳しい数字なんじゃないか?という懸念がこの週末には一気に盛り上がったのではないかな。

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じゃ中国はどうなんだ?というと、これが相当に危険な状況になっているという認識もあるだろうから、そうなると日本の輸出先のワンツーがダメとなると・・・。エレクがS安したことからも、そうした心理はうかがい知れるというものだろう。

さて今回の雇用統計は、下手をすれば世界中の株価の梯子を外したかもしれないと思う。一旦は金利を下げようと、高関税政策を発表したトランプ大統領だったけど、逆に財政危機からドルが売られて長期金利が急騰したことでTACOになり、慌てて政策を株高へと舵を切った。具体的にはトランプ減税を強引に成立させたわけだが、そうしたら今度はこんな雇用統計騒動になってしまった。

裏目、逆目の連続で、怒るのも無理はないけど・・・。

結局、強権的で野蛮極まりない高関税の押し付けのツケを米国は支払うことになるかもしれない。当然、日本も呉越同舟だから・・・。

キツイのが来るね。