こんなにホンダが好きなのに・・・【初代S-2000 AP1型】
- 2025.08.31
- 自動車

NSXは温存して泣く泣くインテグラ TYPE Rを手放してどうしても我慢が出来なくなり、衝動買いしてしまった車がS2000 AP1型だった。ずっと以前から、ロードスターかビートに乗りたくて何度も販売店に通ったけれど、室内高や足元空間が体形に合わず、泣く泣く諦めた経緯があったので、もしかしたら乗れるかな?という期待もあり、展示車を見に行ったのを覚えてる。
十分とは言えないものの、室内高で苦労したNSXよりもましで、何ならオープンにしてしまえば問題は一気に解決、とニヤついてペダル回りを確認すると、なんだかしっくり来てしまって、即刻オーダーを入れて帰ってきた。
エンジンやシャシーの性能の蘊蓄満載のプロモーションだったけれど、はっきりいってそんなのは二の次だったかも。とにかくオープンカーに乗りたくて仕方なかったのだと思う。
オープンカーへの憧れ
本当に欲しくて仕方なかったのは、Mini-Mokeという軍用車ベースの車。JEEPという選択肢もあって三菱ブランドでライセンス生産していたから、壊れても安心というのはあったけれど、タマが多すぎてつまらない。どうもギブミーチョコレート的な印象も良くないし、アーミールックでないと乗れないかなとか・・・。でもMini-Mokeは良いぞ!と。
もちろんJEEPと同じような軍用車からの派生なんだけど、保安基準をクリアできるようなロールバーと幌が掛かる仕様のリメイク車がたしか販売されていて、大いに心ときめいたもんだよ。
こう見るとほとんどサンドバギーのような車なんだけどね。カスタムした下段の写真なら4人乗りで、なんとかずぶ濡れだけは避けられるだろうけど、実際に購入したらとんでもない車だったろうと思うし、壊れたらパーツから作らないと、という覚悟も必要だったろうしね。
でもいまでもこんな車が欲しいもの。というかEVでもいいからこんな車を出せよって言いたいくらい。というか、ちょっと本気で検討(投資)もしてるんだけど、保安基準がクリアできそうにない。なのでパーツを作って輸出して第三国で組み立てて輸入車登録できないか?ってね。
とにかくこの車がオープン嗜好の原点になったわけです。
ユーノス・ロードスターを試乗する
販売店の試乗車に乗ってみたんだけど、とにかくオープンカーと言うのは次元が違うんだなと思った。当然だけど車って箱の中にすっぽりと閉じ込められちゃう。いわば外の世界と遮断された空間にいるわけで、いかに快適に密閉空間を作り出すかがテーマなんだろうけど、オープンカーは全然違う。如何に車外と同一性を最低限の快適性を維持しつつ作るかという車。信号待ちしてて歩行者や自転車よりも低い目線で同じ空間に居る奇妙さが本当に堪らなかった。
けど車自体はそれこそ日本人向けの作りで、走りもヨタヨタ。オープンでも下半身が縛り付けられてるような束縛感があったりね。ペダル回りのヘナヘナでステアリングが引っかかるからヒールアンドトゥも出来やしない。ということで×。
ホンダビートはどうなの?
あれは作り過ぎたゴーカートって感じ。子供向け。チャチ。狭い。チンケ。おまけに幌が後頭部を直撃してアウト。問題外だった。何年かして社員のビートに試乗させてもらったけど、レイアウトもなにもかも何の意味もない。軽でもいいので普通に乗れるオープンカーでいいのに、と思ったけどね。小人向け。論評も出来やしない。
同じような小排気量の車ならMOKEの方が1000倍マシだね。
諦めきれずS2000
実は最初から気に入らないことだらけだったんだ。オープンカーに乗りたくて衝動買いはしたけれど、納車になったS2000で最初の違和感は、ロングノーズ過ぎること。ボンネットを開けるとスカスカなんですよ。覗くとイージーに地面が見える。どうして?って感じ。
エンジンを賭けると、パネルはデジタル。昔のトヨタソアラが出たときのような新鮮味はなくて、ただ見づらいだけ。デジタルメータって嫌いなんだよね。後は膝回りを考慮したステアリングとか、速度感応型で切れ角が変わる違和感たっぷりのステアリングも気分悪し。
もう少しフロントガラスのピラーの位置が高くないと、大男には視界が遮られちゃって・・・。
それでもシートはインテグラよりもはるかにマシで室内高も幌を閉めてもNSXよりもマシ。と言うことはドライビングポジションがまぁまぁ決まるという感じだった。
納車早々早速乗り出して、一速、二速で8000rpmまで回してみたけど、確かにVTECは強烈で、6000rpm越えたらふけ上りが加速する。でもはっきり言って6000rmpまでのパンチ感はないし、停止からロケットスタートを決めるにはタイヤを鳴らす必要がある。やたらとクラッチを酷使しそう。
ホンダの至宝と言われた4気筒DOHC VTECだけど、はっきり言って振動はかなりがさつだし、なりふり構わず回してしまえ!みたいなF3用エンジンのような感覚になる。まぁ、どう感じるかは個人差なんだろうけど。
オープンカーの楽しさは満載
もちろん日常の足として使っていて最初のうちは、オープンにして乗るんです。けれども目的地に着くと当然オープンのまま駐車は出来ないので、ルーフを閉じる。1日に何度もその繰り返しがだんだん億劫になってくる。でも、飽きるまではそのれを繰り返したけれどね。
S2000に乗ってると信号待ちでよくバイクの御兄さんに声かけられた。妙なコミュニケーションが成立してしまうんだよね。一度オープンで信号待ちをしていると後方から轟音を轟かせた集団が・・・そう、族の方々ですよ。周りを取り囲まれちゃって、奇声は発するわ「恰好付けてるんじゃねえ!」とか暴言を吐かれるは、とにかく相当怖い思いをしたけれどね。
でも、いまから思うとそれも楽しい思い出かな。
そして以外にも楽しかったのが高速道路。夜間交通量の減った時間帯で、VTECをぶん回すんだけど、この車オープンのまま180km/hで巡行できるんですよ。100km/h程度なら風の巻き込みも思ったほどじゃないし、普通と言えば普通に乗れます。でも5000rmpから70000rpmくらいまでのVTECの切り替わりを利用した高速での加速は結構病みつきになるほど気持ちいい。
でも・・・
確かにカブトムシの奴だろ!?
一度高速でかなり空いていたので例によってオープンのままVTEC加速を楽しんでいると、いきなりガツンと頭に何かが当たった!半端ない衝撃!もちろん痛くても我慢してサービスエリアにたどり着いたんだけど・・・。
見ると衣服に血痕が・・・。何?と言う感じで頭をなでると凶器攻撃されたプロレスラーのようになっていて・・・。出血してるのにはビビった。最寄りのインターで降りて病院を探して、事情を説明してなんとか診療してもらったけど・・・。事情を説明してもなかなかドクターは信じてくれない。
「高速を走ってて、何かがガツンと・・・」
「そんなことってあるんですか?」
「あるからここに来たんですよ」
と数分間説明してようやく理解してくれたけどね。その先生は女医さんで、縫わないで済ますので、と言って髪の毛を外科縛りしてくれたみたいで数日間は洗髪しないでくださいと言う事だったんだけど・・・。今考えるとそんな治療ってアリなのかね。
それで1ヵ月くらいして社内を清掃していた時に、なんとシートバックから折れたカブト虫の角を発見したんですよ。マジ、カブト虫だったかぁ・・・。思わず苦笑いです。
実態は走る棺桶!?
S2000・・・確かに楽しい車ではあると思うし、いまでもこの車の評価は高い。でも、車を購入するとき、自動車雑誌の記事とかを鵜呑みにすると痛い目にあうと思う。特に元レーシングドライバーとかが自動車評論家をやってたりすると、スポーツカーをサーキットで走らせて、どうのこうのと書いてるけれどね。
「S2000はファストバックのFRで重量配分は前後50:50という理想系」みたいな記事ね。そして「限界のスタビリティは・・・とかハンドリング特性は・・・」なんて言う評価や「コーナーからの脱出は・・・、ブレーキ特性は・・・」とか本当にいらんインプレッションばかり書き立てる。
色々な乗り方も練習したりしたけれど、結論から言うと、このS2000と言う車は、公道でははっきり言って「走る棺桶」だと思うんだ。まず自分のような素人にはリアの滑り出しをコントロールすることなど至難の業なのね。とにかく反応が速すぎて対応できないし、意外に簡単にリアが滑り出すからね。
とくに雨の日は、本当は乗らない方がいいくらいの危険な特性の車になる。
だからと言って大人しく乗ってると、これほどつまらない車もない。音は煩いし、音楽もいい音で聴けるはずないし、第一音量を上げることも出来やしない。
怖い目には何度もあって、カウンターを充てるんだけど所詮素人の反応が遅れるからオツリのオツリを喰らうことになるし・・・なんだろうねぇ、結局こういう車を乗りこなすには、それなりの技量がないと無理なわけで、もっと言えば苦労して乗りこなさなければならない車にわざわざ乗る必要があるのか?って思えてきちゃって・・・。
自分自身もいい歳になってやんちゃなことはしてられないという自覚!?も芽生えてきちゃって、NSXとS2000を卒業しました。
速さだけが技術じゃない
NSX、インテR、そしてS2000と他人から見れば無謀な道楽をしてきたけれど、ホンダというメーカーは速さが技術と確信してるメーカーだったように思う。まずエンジンありき、そして足回りやシャシーを仕立ててシリーズのトップグレードに速い車を置く。
でもこの会社の悪いところはすぐに飽きるし、すぐに止めちゃうところ。経営者が代わる度に、たくさん売れない車は金食い虫なので止める。それっていままで鼓舞してきた企業イメージを捨てちゃうってことでしょう。
だから、速さのイメージを捨てたあとに、次はどうするのか?と悩んで迷走しちゃう。あれこれ迷うから軽を出してみたり、ワンボックスを試したり、もちろんRVもやってみる。もしかしたら?ということで2500万でNSXを出したりね。試しにプレリュードもハイブリッドで復活させてみる。
課と思えば全車種EV宣言とか、意味不明の方針を打ち出してみたり。もうレシプロはやりませんと言ったら、軽しか売れなくなった。
確かに速さだけが技術じゃないということをホンダは悟ったのかな?って思うこともしばしば。結果として今のホンダには魅力的な車が無くなった。
S2000って何だったのか?
S2000は悪い車じゃないと思うし、もう少し丁重に作り込んだらきっといい車になってたんじゃないか?って思う。マツダのロードスターよりもよほどいい車だったことは確かだとは思うけど、危ない車だったことも事実。
ホンダはNSXをフェラーリやランボにする必要はなかったし、シビックをスポーツカーにする必要もなかった。営業的にもNSXを2500万で、シビックを500万、600万で売る必要など毛頭ない。S2000の当時の新車価格帯は350万前後。いまなら800万とかにしないと釣りあわない。
今ではNSXもインテRもS2000もコレクターズアイテムだ。
もうホンダのやんちゃを見ることもないかもしれない。ホンダと会社は本当に面白かったし、好きでもあった。けれどもEV戦略を唐突に出してきたとき、この会社は終わるかな?と言う予感がした。
そうではなくて、これからは20万キロでも30万キロでも壊れない車を追求すべきだと。速さばかり追求すると必ず部品は壊れる。壊れないと車が売れない?そんなことは迷信なんだよ。過酷な条件下でも壊れない車を作れば必ず売れる。けどそれは速い車を作るよりも難しいんじゃないかな。
それには出したり止めたりの車種展開はだめ。苦しい時も我慢してじっくりと取り組む。なぜそう考えるかと言えば車には20万キロでも壊れない部品と5万キロで壊れる部品が同居してるから。実は車って非合理の塊なんだよね。
壊れない車を作れば低コストで販路が世界中で広がるんだ。そういう発想をしないとガチンコでトヨタ戦略をやったら負けるに決まってる。
本来ホンダはそういう極端な発想が出来る会社だったのにね。間もなく新型プレリュードが出るらしいけど、デザインや価格を見て反吐が出た。S2000は確かに走る棺桶みたいな車だったけど、最高に楽しい車だったことは確か。それに比べると新型プレリュードなんて多分クソだな。
もうホンダをあまり好きじゃないな。
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