AIバブルを崩壊させる絶対に無視できない2つの理由

AIバブルを崩壊させる絶対に無視できない2つの理由

もう長く株式投資をやってきて、何度も失敗して、本格的に、というか生死を賭けるくらいの無謀な取引を始めてからでも、11年目に突入してるけれど、その間にもいろいろと株式市場が暴れる局面はあったし、新型コロナの時には、このまま世界は終わるんじゃないか?なんて思ったもの。でも、大幅に落ち込んだ株式市場もジャブジャブ資金の恩恵を受けて、」倍返し、3倍返し、みたいな上昇を演じてきた。

こういうのを目の当たりにすると、本当に株式市場っていうのは凄いな、と思ってしまう投資家も多いんじゃないかな。ここ数年では株式市場は強気一辺倒!とにかく米国株投資をやれば誰でも富裕層入りできると、そんな論調に何の疑問を抱かなくなってきたよね。

特に新NISAになってからは、やれオルカンだのS&P500だの、って米国株信仰はすさまじいものだったし、最終的に追い打ちをかけたのが、まさに今のAIバブルと言うやつ。大した規模の会社ではなかったNVIDIAが、一躍時のスターに躍り出て、まさに現在進行中で莫大な利益を叩き出し続けているという・・・。これが始まってから、AIは本当に(俺見たいな)素人投資家でさえ語ってしまうという爆発的なブームとなった観がある。

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けれども、ことここに至るまで、AIバブルの反動は着実に表れてきてる。すなわち、米国の2%のGDP成長率の1.9%分はチップやデータセンターに対する超過大投資がもたらしたもので、実質的には0.1%しか米国経済は成長していないという、絶対に無視できない極端な偏りとなってしまった。

要するにAI関連以外、インフレを考慮すると米国経済は完全にマイナス成長だということになる。それって、一般の国民にはほとんど何の恩恵ももたらさないAI投資が、活況なだけで既に米国経済のファンダメンタルズの悪化を無視できる状態ではないということ。

でも「米国景気は好調で、利下げすれば何の問題もない」と言う雰囲気が醸成されているという点で、すでに米国経済は幻想の域に突入してると言ってもいいかもしれない。投資家は、実際には高金利とインフレで実生活は破綻寸前なのにもかかわらず、それでも国民の目をAIに意図的に引き寄せるがごとく、AIはとんでもない成長とともに将来的には莫大な利益を産みだす、と言うわけだ。

そんな夢を見せられてる投資家は、割高だとは感じていても、AIに投資することを躊躇いもしない。というか業績が好調な世界的大企業であるMAG7がこぞって莫大なAI投資を行っている姿を見せられて、AIの爆発的な成長を信じて疑いもしない。多少の株価の浮き沈みはあっても、必ず高成長するというわけだよ。

けれどもはっきりと書くけれど、AIバブルを崩壊させる絶対に無視できない理由が二つあるんだ。他にも様々言われているけれど、致命的と思われ、今は歯牙にもかけられていない事実という深い闇があるのよ。

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まずその一つが、AIの開発競争に置いて、米国は物理的に中国にはかなわないということだ。実際、OpenAIにしてもGoogleにしても、ChatGPTやGeminiの開発の中核を担っているのは中国人技術者たちで、実働部隊はインド系の技術者だということ。中国は、国家プロジェクトとして精華大学、北京大学を中心にすでに数百万人と言われる理工系技術者を養成してきた。中でも、ミドルクラスの技術者であっても米国人開発者よりも優れているという。もちろん人数も比較にならないし、アドバンテージを持つ部分は全て、中国にダダモレしていて、その上で中国は圧倒的な人員投入で、高度なAIを開発している。

単純な比較論は通用しないかもしれないけれど、現時点でも達成度と言う点では、米国製AIと肩を並べているのではないか?とする意見もある。

また中国には資金という縛りが実質的に存在しないということもある。米国では巨大データセンターに莫大な投資が行われるとされるけれど、結局それらの資金は市場で調達しなければ実現はしない。けれども共産主義体制の中国では、そうした資本主義的な縛りがないと言えし、データセンターも大小を含めて数千はあると言われていて、そこに優先的な電力供給が行われている。

日本の半導体装置メーカーで比較的中国比率の高い東京エレクトロンの業績を見ていても、中国の半導体投資が絶え間なく行われているということが分かったりするほど。またレアメタルアドバンテージは圧倒的で、BYDを見れば分かる通りどんな無茶振りでもやって世界一を取ってくるというのが中国の体制であることを考えると、今後間違いなくAIの分野でもスマホのファーウェイ、EVのBYDと同じ戦略に出てくるのは間違いない。

そうなったときに、米国製AIのアドバンテージが優位に保たれるのか?というと過去の歴史を見ても、素直に大丈夫とは言えないだろう。

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そしてもう一つは、AIはいまだ開発途上の技術であり、かつこれで到達というレベルは存在しない技術でもあるということ。これはつまり、現在で最高水準とされるロジックとそれを支える最先端製品は、2,3年後には早くも1世代前のレッテルが貼られることになるということ。なので、AIの最先端性能を維持するためには、継続的かつ莫大な投資を行わなければならないということ。

これが今、40年債とか言われる寝ぼけた社債いよって資金調達されている現実をみると、ビッグテックが何をどう見ているのか訳が分からなくなってくる。いま10兆円投資してデータセンターを作るとして2年後には稼働が期待されている。そしてその投資は40年間で償還されるというのだから実際のGPUユニットが7年で償却できたとしても、未来永劫利払いは続くという矛盾が出てくる。

そしてこれをサイクルで考えると、2年、3年後には最先端を維持するために新たな投資の必要性がでてくるわけで、同時に新たな資金調達の必要性も生じるという、ビジネスとしては最悪の悪循環に陥る可能性が高いということだ。

それでも計算通り、収益の爆発的な伸びが実現すればいいが、米国経済が疲弊している最中で、それだけの収益をあげられるはずもないどころか、本業の収益さえままならなくなってくるのではないかな。

 

「夢を買う」と言うのはどこぞの宝くじのキャッチでもあるけれど、まさにAI投資と言うのは、夢を買う宝くじのようなものだと思う。その1等を引き当てたのがNVIDIAであって、以降1等当選は出ていない。でも新橋のチャンスセンターに夢を買う人々が列をなすように、ビッグテック企業やベンチャー企業も群がってるというのが、今のAIバブルの実態なのじゃないか?って思う。

本気で1等を引き当てるつもりで大量資金投入で物量作戦に出ているのは、いかにも米国企業らしいと思うけど・・・、個人投資家としてそれに乗っていいのだろうか?と思わざるを得ない。