退職代行サービスはトラブル続出!?
- 2019.07.28
- 放言
日本ではニュービジネスがなかなか出ません。既得権の壁があったり、法規制が複雑だったりといった社会の壁が問題で、起業するのが難しすぎるからですね。
しかし、昨年あたりから「退職代行サービス」という新しいビジネスが注目され出しました。折しも4月1日から安倍政権による働き方改革法が施行され、労働環境はますますタイトになってきて、改正入管法も同時に施行され外国人労働者も急増中です。
こうなると労働市場は混沌としてきますし、こうしたニーズはますます高まってくるのかもしれませんが・・・。
退職代行サービス出現の背景
退職希望者は自ら申し出れば済むことですが、実際にはそれができないケースが非常に多いのです。まして人手不足が慢性化している状況で、はいそうですか、と簡単に止めることができなくなっていると言うのが実態です。
辞めたいのに辞められないと言う状況は、いつの時代でも有り得る話ですが、今は「辞めますと言いだせない」ケースが急激に増加しています
辞めたい理由はいくらでもある
働かないと生活できなという不文律があるので、多かれ少なかれ働く人は我慢を強いられています。それが許容限度を超えると精神的にも肉体的にも厳しい状況に陥ってしまう・・・。まして、
●ブラック企業等過酷な労働環境を強いられてる
●職場での人間関係の急激な悪化
●上司や同僚によるセクハラ・パワハラ
●低賃金
●上司が退職の意思を受け付けない
という事態になると完全に許容範囲を超えます。
辞めさせたくない理由も同じだけある
とにかくデフレマインド充満で景気が悪いなかで、少子高齢化で若年層の労働人口が急激に減少している上に、何を狂ったか政府は消費税を増税すると言う・・・。働く人の言い分もわかりますが、雇用する側にとってもとんでもない時代になっているのです。たとえば、
●人手不足で新たな雇用ができない
●安い賃金で雇用を継続したい
●上司が退職を握りつぶす
●退職されて違法な状況を外部に知られたくない
ということです。けれども一番大きな問題は国内景気が悪いこと。デフレ下では企業経営は本当に難しいのですね。
退職代行サービスの出現
こうした事情は今に始まったことではないでしょう。しかし、経済拡大期であれば、積極的に転職すればなんとかなるという楽観もあって、退職を勇気を持って申し出ることができます。しかし、今のような一度離職したら再就職もままならないという状況では、なかなか踏み切れないのも事実です。
雇用する側もそうしたこと(労働者の弱み)は十分に承知していて、投資をして労働環境を改善しようとは思いません。中小企業の多くが何らかの違法状況にあったり、大企業、上場企業であってもサービス残業が慢性化していたり・・・。
そうした悪循環のなかで誕生したのが退職代行サービスです。
これ以上会社と揉めたくない、トラブルになるのは嫌だ、嫌な思いはしたくない、と思うのは当然で、そこには大きなニーズがあるのでしょう。
料金はリーズナブル!?
退職代行サービスとは「会社側に退職の意思を代行連絡、労働条件を確認し有給を消化するといったことを代行確認し手続きを行う」と言うもの。つまり、個人が退職を申し出て普通に行われる手続きですから、料金は安くて当たり前なのです。
恐らく現在の料金相場は3万円~10万円程度。追加料金は一切なしというのがお決まりのキャッチです。
ならば、一般的に考えると代行サービスを使う必要はどこにも感じられない?辞表を書いて会社に提出すればコストもかからずに済むことなのですが・・・。
にも関わらず、ニーズがあるということは、退職に際して何らかの障害やトラブルが生じる可能性があると、依頼する側が感じていると言うことになります。
(補足)弁護士による退職代行の相場は約10万円前後から多くても15万円前後です。
退職代行は代理業務
そもそも、個人の退職申し出を代行するという行為に関捨ては明確な法規定は存在しません。しかし、雇用関連の仲介業務ではないと主張しているので、雇用する側が代理人の主張を認めた場合のみ成立するサービスなのです。
しかし実際には無条件で会社側が代理人の主張を認めた場合以外は、労働基準基準法に基づく手続きとなるわけで、会社側が承知しなければ、成り立たちません。
退職代行サービスとは「依頼者の代わりに退職の意思を伝える代行サービス」でしかないわけで、3万円~10万円の料金がリーズナブルですか?と言うことになる。
代理業務のリスク
退職代行サービスには所属の弁護士や行政書士が名前を連ねている場合もありますが、直接交渉をする場合を除いては、単なる代行サービスの域を出ません(非弁行為はできないわけです)。
従って会社側が「業務引き継ぎができないことを理由」に退職手続きに応じなかったり、退職後に企業から損害賠償請求されることもあります。
また、会社側が代行サービスを利用したことで心象を悪化させ、退職手続きに応じないケースも続発しています。
無責任なメディアの報道
「ニーズがある」という視点でのみ退職代行サービスを取り上げ、報道するメディアの姿勢はいつもながら軽薄で配慮に欠けたものと言わざるを得ません。
サービスを利用しようと思う人は「困っている人」「精神的に追い込まれている人」である可能性が高く、「退職時の法的トラブルを解決できないこと」を正しく報道しなければ、返って追いこんでしまいかねません。
そうしたメディアの姿勢は常に、悪影響を及ぼし続けているわけです。
会社が納得しない場合
退職にいたるプロセスでは職場で何らかのトラブルが表面化している場合があります。退職者はそのような問題の解決を拒否するために退職代行サービスを利用すると会社が理解した場合、素直に代行に応じるとは思えません。
会社が非弁(弁護士法違反)を主張した場合
会社側が退職代行サービスの主張に対し、雇用契約違反を主張し、またはそのような行為は法律行為だとして非弁(弁護士法違反)を主張した場合、代行サービスの継続は不可能になります。
また現実に生じているトラブル等の解決も一切交渉出来なくなってしまい、返って依頼人の立場が悪化してしまうことも十分に有り得るのです。
会社が必要な手続きを拒否した場合
会社の心象が悪化してしまうと、場合によっては退職後に様々な悪影響が出る場合があります。たとえば、
●一方的な退職日の指定
●私物返還に応じない
●再就職を制限される(離職票を発行しない、再就職の応募先への誹謗中傷等)
●有給や給与の清算をなかなかしない
●社員や家族に向けて(退職者の)誹謗中傷を行う
などです。もちろんそれらは違法行為ですが、退職代行サービスではそれを防止する手段がないのです。そうなってしまうと、返って利用者の負担は増えるばかり。最終的には弁護や行政書士の力を借りるか、労働基準監督署へ駈け込んで、膨大な時間を費やして調停を仰ぐしかありません。
まとめ
基本的には多少嫌な思いはしても、自分で勇気をもって退職を申し出ることが重要です。その際に納得ができないことがあれば、労働基準監督署などの相談窓口へ足を運んで見るべきです。
辞職するという決心に至るには相応のトラブルもあるでしょう。しかし退職代行サービスは「退職の意思を伝達することはできても会社が拒否すればどうすることもできない」わけです。
特に安易な代行サービスの横行で社会的には非弁を主張する動きも。離職はそれほど安易なものではないと考えるべきですね。
離職に伴うトラブルが想定できる時は、法的強制力を主張できる弁護士に依頼するべきです。弁護士に依頼する最大のメリットは、スムーズで確実な手続きが可能であることももちろんですが、退職時または退職後の嫌がらせや妨害を受ける心配がないと言うことです。
代行サービスとは比較にならない安心と引き換えに10万円~15万円程度の少々割高な安心料が必要ですが・・・。さっさと解決して新たなスタートを切るべきです。
(補足)弁護士による合法的な退職代行の相場は10万円前後から多くても15万円前後です。相談料無料で24時間受け付けの弁護士による退職代行がお勧めです。
-
前の記事
日本株を読め!【7.29~8.2】底堅く上値を追う可能性も秘めた週 2019.07.27
-
次の記事
日韓問題を警戒!?:7月29日(月)前場 2019.07.29