トランプ大統領が北朝鮮のミサイル発射を容認してる理由

トランプ大統領が北朝鮮のミサイル発射を容認してる理由

北朝鮮は7月25日以降、米韓軍事演習を挟んで、8月24日までに実に7回の弾道ミサイル発射実験を行った。いずれも射程300km~600kmの短距離弾道ミサイルと見られ、ロシア製のイスカンダルというミサイルだ、という説もあれば米国製の戦略ミサイルATACMSという見方も浮上している。

韓国の東亜日報では、ミサイル一基の発射コストは100万ドルと報じていて、短期間のうちに既に合計7基、1400万ドル(約15億円)のミサイルを発射したことになる。これはもう、連射と言ってもいい発射回数だ。

トランプ大統領は容認

こうした北朝鮮の度重なる短距離弾道ミサイルの発射に対して、国際社会では問題に成りつつあるが、米国トランプ大統領は「米国に届くICBMではなく、短距離であるなら問題ない」とコメントしている。

しかし、北朝鮮による弾道ミサイルの発射実験は、明らかに国連制裁決議違反であって、当然国連安全保障理事会で問題にされるべき事案であり、8月27日に緊急会合が開催されたが、米国はこれに参加しなかった。

つまり、拒否権を保持する常任理事国の米国が参加しなければ、国連安保理で議論にすらならないという状況だった。

金正恩委員長の書簡

6月30日、G20大阪直後、急きょ訪韓を決めたトランプ大統領は、韓国での首脳会談も行うことなく、南北の軍事境界線である板門店に向かい、金正恩委員長と電撃的(な演出により)に会談し、米朝両国の非核化交渉の再開に合意したと言われている。

しかしその後、非核化交渉が再開されるどころか、北朝鮮は7月25日には日本海に向けて短距離弾道ミサイルの発射を強行して見せた。

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その後矢継ぎ早にミサイルを発射している最中に、米国のトランプ大統領に書簡を送り、ミサイル発射の理由に関して「米韓軍事演習」を挙げ、さらに「米韓軍事演習が終了すれば発射を止める」として、トランプ大統領に謝意を示した。

この一連の経緯の中で、金正恩委員長は、韓国・文在寅大統領をトランプ大統領に対して「こきおろした」という情報が伝わっている。そして「2度と軍事演習は行わないと約束したにも関わらず現在、北朝鮮侵略のための軍事演習を行っている嘘つきで信用できない」という意向を示した。

その金正恩委員長の意向に対し、トランプ大統領も機会あるごとに「米韓軍事演習はバカげたコストがかかり反対だ」と表明しているが、G7での日米会談で安倍首相に対して「私はやりたくないが、どうしてもやりたい部署があって私は黙認した」と発言した。

北朝鮮の経済的疲弊

現在北朝鮮は2017年の本格的な経済制裁開始によって、建国以来もっとも厳しい経済状況に置かれていると言われている。1990年代の世界の社会主義崩壊による支援断絶によって100万人規模の餓死者を出した当時には至っていないものの、経済的には外貨準備は底を突いた状況にある。

唯一仮想通貨のハッキングだけが、外貨獲得の手段と言われているほどで、経済的にはほぼ破綻した状況にあると言われている。

国連の制裁決議の強化の中で、韓国は北朝鮮に対し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代に北朝鮮に確約した経済協力の履行を、文在寅大統領は金正恩委員長に対し改めて確約していた。

開城(ケソン)工業団地の拡張をはじめとする経済協力と国連制裁決議で輸入が極端に制限された物資を、文在寅大統領は個別に約束していた。
だからこそ韓国は国連決議違反を犯してまで瀬取りを行う必要があったわけだが、実際のそれは文在寅大統領が広げた大風呂敷のごく一部に過ぎなかった。
金正恩委員長の「嘘つき」「信用できない」という言葉の裏には、米韓軍事演習だけでなく、こうした韓国と北朝鮮の密約があり、これをほとんど履行しなかったことへの罵倒なのだ。
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金正恩が短距離弾道ミサイルを連射する理由

盧武鉉(ノ・ムヒョン)左と大統領秘書室長の文在寅は、同じ弁護士事務所の上司と部下だった。
韓国の文在寅大統領はかつて、朝鮮労働党の党員であったという情報もある。真偽を証明する手立てはないにしても、在韓国の北朝鮮スパイとして金正恩への忠誠を使う書簡に、文在寅が連座しているものが発見されていることから、韓国保守系の間ではそのことが話題に成り始めている。
北朝鮮労働党と言えば、人民管理にチュチェ思想を広めている事でも知られ、その意味では仮に上記が事実だとすれば、チュチェ思想に基づいて文在寅大統領は金正恩委員長に忠誠を誓ったと言うことになる。
しかし、忠誠を誓ったとされる書簡には、実行すべき様々な誓約が記載されていて、それが実行されないことに対する、金正恩の不信感が反感を強めていると言われている。
つまり、北朝鮮が連射している短距離弾頭ミサイルは、韓国、および文在寅大統領に対する威嚇であると言うことになる。
忠誠を誓った労働党党員が、米韓合同軍事演習を行い、さらに確約した経済支援を実行しないとなれば、金正恩にとって文在寅は「嘘つき」そのものになるだろう。

そこでトランプ大統領に語った「信用できない男」の意味は違和感なく理解できる。

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トランプ大統領は理由を聞かされている?

こうした金正恩の言い訳をトランプ大統領は聞かされていると思われる。だからこそ、北朝鮮の短距離弾道ミサイルが、日本を狙ったものではなく、また在日米軍の脅威になるものでもないという点で、「短距離であるなら問題ない」というコメントをしているのだろう。

さらにトランプ大統領は、北朝鮮の核開発に韓国は深く強力していて、同時に中国に対しても先端技術を垂れ流していることを問題にして(文在寅を)一気に追い詰める作戦に出たと思われる。

それにはホワイト国扱いであった日本に輸出規制を要請し、それに日本は協力したというシナリオが最も現実的だ。米国の軍関係者は韓国のGSOMIA破棄に対し、驚きの反応を示しているが、トランプ大統領は未だにコメントを発していない。

北朝鮮問題の解決は意外に近いかもしれない

北朝鮮の金正恩委員長の健康状態が非常に悪化していると噂されている。急激に太ったのはステロイドの大量投与が原因とする説が流れ、また一部にはそれを裏付ける健康不安説が流れた。

仮に事実だとするならば、韓国の文在寅大統領を解任に追い込み、同時に金正恩に関しても不安になるのであれば、朝鮮半島問題は意外な方向で、しかも比較的短期間で決着する可能性も否定できない可能性も浮上してきた。

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