年末株高の有無を決定づける週:日本株を読め!【11.5~11.8】

年末株高の有無を決定づける週:日本株を読め!【11.5~11.8】

11月1日(金)日経平均引値 ¥22,850(前週予想¥22,200)CFD ¥22,945

日米市場の現状

FRBの利下げ後、雇用統計が良好な数字を示し、年内の利下げ打ち止め感が出たにもかかわらず、米国市場は素直に好感した週末の上昇。背景には米中の当局が米中合意第一弾に対して肯定的な姿勢を見せていることがあると思われる。

既に米国の株式市場は楽観姿勢を取り戻していて、国内消費に対してポジティブな見方が広がりつつあり、10月の自動車販売も回復傾向を示した。

一方日本市場は、FRB利下げに反応して円高傾向を示したために、日経平均¥23,000から調整ムードも予想されたが、ほぼ値を崩すことはなかった。

経済と反比例の株式市場

日米株式市場ともに、景気の先行きは楽観できる状況ではなく、ジワジワと後退局面へと向かいつつあるものの、株式市場は反比例するかのように上昇局面を描いている。特に、FRBが利下げを断行したことに応じて、日銀は何らかの金融緩和策を講じると思われたが、現状維持とした。

こうなると、米国市場は少なくとも年内はこのまま上昇を続けて史上最高値をどれだけ引っ張れるか、試しに来ることも視野に入ってくる。昨年のような急落相場となって決算をしたくないというのが、ウォール街の本音かもしれない。

その理由はアップルをはじめとするハイテク・IT企業の予想外の好決算にある。米中の貿易戦争は、トランプ大統領の選挙対策によって農業問題に絞られたことが、GAFAにとっては追い風となった。

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FRB利下げ後の楽観

FOMCが終わり、米国では年末商戦へと突入した。雇用が好調を維持していることから、年末商戦への不安はないとする見方が圧倒的で、大統領選挙を控えた今は、トランプ政権は強硬な政策を打ち出しづらいという見方から、株高を演出するには絶好のタイミングとウォール街は見ている節がある。

これが株式市場楽観の正体であって、このまま行けば、例年通り年内株高、年明け下落(材料出尽くし)というリズムになってしまう。

これ以上、楽観で株価を吊り上げてしまえば、「山高ければ谷深し」を地で行くような展開になりかねない。

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トランプ大統領弾劾の行方

それでも、年内で最も大きな波乱要因と言えば、トランプ大統領のウクライナゲートによる弾劾問題で、下院が弾劾調査認定を決議したことにより年内の下院採決が濃厚になった。

既にトランプ大統領は、今年になって十分に大統領選挙での再選を意識していて、株価最優先の政策へと展開していることは明らかで、目先は史上最高値を更新してどこまで株価を引き上げることができるか、が再選のポイントになりつつある。

反面、外交(対外政策)では、すべて「放り出した格好」となっていて、そのことが一段と中国の増長を促しはじめた。トランプは過去の歴代大統領を批判しているが、自らも選挙のために同じ轍を踏むのかもしれない。

ポイントはトランプ大統領が共和党の保守派と(米国の)ディープステート批判を始めていること。このことが上院での波乱要素となりつつあるのは確実だ。

米国ダウ日足チャート・テクニカル

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先週末、米国ダウは三角持ち合いを上放れた。テクニカルでは文句なしに上値追いをするサインとなったわけで、7月16日の$27,398をブレイクすれば、史上最高値圏、青天井相場入りとなる。

だが、現状ではFRB利下げに対して打ち止め感も台頭し始めていることから、続伸して・・・という地合いでもない気がするが・・・。

ここでトランプ政権はポジティブな発言を連発し、高値追いを誘発するのかもしれない。いずれにしても、テクニカルでは、上昇のサインとなった。

日経平均日足チャート・テクニカル

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一方の日本市場は、円安と同時進行で10月相場は強さが際立った格好になった。しかし、円安進行が止まれば、いつでも調整局面入り、という見方ができるチャート形状である。

状況は米国市場が堅調であれば調整したとしても下げ幅が浅くなる。相変わらず裁定売り残、信用売り残の多い需給も値を保つためには追い風となるかもしれない。

従って、決算相場入りしている来週の日本市場を決定づけるのは、トヨタ、ソフトバンクG、そしてメガバンクの決算ということになりそうだ。

11月8日(金)日経平均予想

この日米相場の上昇要因は、基本的に「経済や業績に対する楽観」である以上、この相場を大口がどこで見切るかにかかっている。そして見切ったとき、それが昨年のような急落相場になる可能性はないだろうと思う。少なくとも来週は、もみ合うとしても全体の傾向は変化しない。従って来週は揉み合う相場展開になるのが、自然な動きと思われ、

日経平均株価 ¥22,500 ドル円 ¥108.00

を予想する。

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