糸の切れた凧相場:日本株を読め!【11.18~11.22】
- 2019.11.17
- トレード予想
11月15日(金)日経平均引値 ¥23,303(前週予想ナシ)日経平均CFD ¥23,368
日米市場現状
米国ダウは10月31日引け値の$27,046から11月に入り11日立会で$28,004は何と8勝2敗1分。下落分は僅かに$1.7しか下げず、さらに前日とセント単位まで同じという引き分けを演じると言う、鬼のような強さを発揮してしまった。一方の日本市場、日経平均は為替が¥108台に振れたことによって流石に調整含みの展開になったわけだが、それでも10月31日の¥22,927から¥23,303までの上昇は堅調というほかはない。
ただし2Q決算終盤で個別銘柄の動きはマチマチだったので、買い方の勝負は銘柄次第だったろう。
FRBは利下ストップ
FRBパウエル議長は議会証言で、現在の金利水準は経済情勢に照らして適正であるとし、当面利下げは現状維持で行くということを明言した。
これに関して、トランプ大統領はいつものように噛みついたわけだが、トランプが言うようにFRBがマイナス金利を実行していたなら、米国株は25%高かった、ということは単なる想像に過ぎない。
それどころか、債券金利低下によって嫌気した資金がリスク投資に向かうことで、バブルになっていたかもしれず、そうなれば山高ければ谷深しとなるだろう。その場合、ネガティブファクターを無視できたかと言うと、恐らく暴落場面もあったはず。
もちろん、市場のことだから成ってみないと分からないが・・・。
自動車関税発動の判断出ず
トランプ大統領は自動車関税の25%引き上げに関して、6月の予定とされた結論を180日先送りして、11月14日に期限を迎えた。恐らく何らかの結論は出していると思われるが、ホワイトハウスの報道官からもそうした情報が出てこない。
この週末で欧州と日本に対する25%の自動車関税適用は回避される、という読みでポジションを建てた投資家もいると思うが(自分もその一人だが)、これが土日の懸念になっている。
恐らく25%関税適用はないと思っているが、いかんせん米国の自動車産業の業績が悪く、レイオフを相次いで発表したこともあって、発動される可能性は(遅れている以上)高まったのではないか?その動きは7270SUBARUのさえない値動きに現れてると思われ、現状では買い建ては危険なのかもしれない。
下院弾劾決議は決定的
13日にウクライナゲートに関する弾劾調査の公聴会が下院で開催され、その模様はTV中継された。この問題に関しての焦点は、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に直接指示したバイデン(民主党大統領候補)とハンター(息子)が、ウクライナで利益供与を受けたことに対する調査が、軍事支援とバーターされたとなると問題であるだけでなく、これを顧問弁護士のジリアーニ(元ニューヨーク市長)に指示して圧力をかけたことが、弾劾に当たるとされている。
もちろん現状では下院での弾劾決議は年内にも行われそうだが、世論が盛り上がらなければ上院では否決の公算が大で、そうなると来年の大統領選挙でトランプ再選を勢いづける結果になる。ただし、バイデンでは勝ち目はなく、ヒラリー再登場の芽は温存されている。
米中合意は12月?
さて、香港情勢の悪化も気になるところだが、株式市場唯一無二の材料は米中合意第一弾の行方だ。これは情報が錯綜しているが、市場は大方米中合意は成ると見ている。しかし、農産物の購入方法やその検証方法によって交渉は難航しているとも伝えられて、やや肩透かしとなった。
米中合意において農産物交渉よりも、知的財産権侵害、や資本規制の解除に関する部分的な合意が期待され、その上で株式市場は、関税の段階的な解除を期待しているわけで、交渉に関するポジティブな発言はあるものの、合意レベルに関する情報は出ていない。
いっそのこと、このまま年末まで引っ張ってくれた方が、株式市場は有難い?
米国ダウ日足チャート・テクニカル
5日線を基準にして全く下げる気配なく上昇を続けた先週の米国ダウ。米中交渉におけるカドロー発言で、遂には窓空けしての陽線(ほぼ)坊主となって、状況が変わらなければ月曜も上値を追うことは決定的な形。これが史上最高値の青天井での動きということで、流石に来週は調整も十分あり得る展開だ。
しかし三角持ち合いブレイクでの上値追いと言うこともあって、仮に順調に米中交渉が第一弾の合意となれば、場合によっては$30,000までの大相場もあるようなことも想像しておく必要があるかもしれない。
仮にそこまでの大相場となると米中関税全面撤廃位のインパクトある材料が必要になるわけだが・・・何が起こるか分からないのがトランプ相場ということだから・・・。
個人的には現在の相場自体、すでにバブルと感じていて、金融緩和相場の最終局面であると思うが・・・。
日経平均日足チャート・テクニカル
一気の上昇で過熱感も相当に出てきている日経平均だから、先週の調整は必然だったと言える。年末相場を作るには、もう少し深押しする必要があったと、個人的には考えていて、来週はヘッジファンドの利食いも想定されることから¥23,500は届いても維持できないと見る。
さらに12月になれば本格的にクジラの利食いや、米系ファンドの利食いもあるだろうから、年末高へ勢いが付いて・・・という展開でもなさそう。
なので、ここからは買いはあまり期待しないほうがいいのではないか?と感じる。
いずれにしても米中合意で年末高になれば、年明けは材料出尽くしでの調整入りも視野に入ってくるので、ここからは出来高に要注意。米国のセンチメントの影響も大いに受ける可能性あり。
11月22日(金)日経平均予想
来週の日経平均は、為替次第の様相になるのではないか?¥109.50辺りまで円安が進んでからの反転で¥108.784と言う水準は、¥23,500を維持できない。つまり、ここからの上昇は米国市場の動向もさることながら、再び¥109台入りするか、さらには¥110タッチという局面が必要になってくる。
とりあえず米中合意と成らなければ、揉み合いから調整気味に推移するだろうし、合意と伝われば走らざるを得ない。個人的には、合意は(来週は)ないとみて、糸の切れた凧のような相場なのでは?ということで
日経平均株価 ¥23,100 ドル円¥108.30
を予想する。
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