米中合意への期待と不安:日本株を読め!【12.2~12.6】
- 2019.12.01
- トレード予想
11月29日(金)日経平均引値 ¥23,293(前週予想¥23,700)日経平均CFD¥23,323
日米市場現状
日米ともに株式市場を吊り上げてきた米中合意に対する期待感は、トランプ大統領が香港人権法案に署名したことで、先行きの懸念とせめぎ合う展開になった。ただし、著名にあたりトランプ大統領が、柔軟な発言を行ったことで、米中合意は関税引き上げ期限の15日までには決着するという期待感が多数派であると思われる。
そのため日米株式市場は高値圏を維持し、12月相場に突入しているが・・・。
米中合意の取り扱い
仮に米中合意が成立し、15日の関税引き上げが回避されたとするならば、米国経済にとってはプラス要因と受け取られる可能性が高いわけだが、その場合でも米国の輸出が増加するわけではない。
関税の引き上げ対象であったスマホやパソコンなど、米系企業の中国生産品に課税されることは回避できるが、ファーウェイやZTEなどの中国製品は、政府機関、一般企業ともに購入禁止となったために、中国側のメリットはほとんどないわけで、そこが交渉難航の理由となっている。
香港の取り扱い
そして金融センターである香港の機能は、香港人権法案によって徐々に剥落する可能性が高い。香港ドルはUSドルペッグ制で価値を裏付けられているが、制裁発動となれば制度維持は不可能となる可能性があり、その場合には中国企業のドル調達に支障がでるのは明白であるとともに、香港を通じた対中投資も急減するだろう。
それが容易に予想できることが、中国当局にとっては大きな懸念となっている。
好調な米国のクリスマス商戦
米国の個人消費は、順調な雇用と賃上げによって極めて堅調に推移していると思われる。既に感謝祭からクリスマス商戦に突入しているが、実店舗、ネット販売ともに数パーセント昨年を上回っている。
昨年のこの時期の急落時、クリスマス商戦の苦戦が米国株下落に拍車をかけたが、今年は完全にプラス要因と意識されるはずだ。
10月反動減から立ち直れない日本の消費
一方日本は、消費税導入開始の10月において、個人消費は7%台の大幅な反動減を記録し、さらに11月も厳しい状況であると観測されている。もとより増税をした日本の個人消費が好調なはずもなく、また企業業績も減少している状況では、今後が非常に憂慮される。
従って日米の個人消費の差が次第に意識されるようになる可能性がある。
韓国経済が危機的状況へ
日韓GSOMIA問題で韓国は、米国に対し極めて侮辱的な発言を繰り返した。そもそも、GSOMIA破棄は韓国の親中行動でもあったわけで、文在寅大統領は一気に中国寄りを鮮明に打ち出す政策だった。
しかし、中国経済の悪化とともに、韓国経済もまた急激に悪化し、米系資金の流出が止まらない状況に追い込まれて妥協せざるを得なかった。その過程において、明らかな反米行動をしめした韓国を、米国はすでに見捨てたと言ってもいい状況。現状では再度1200ウォン/ドル超えは時間の問題であり、そうなると一気に韓国経済は破綻の危機に陥る可能性が濃厚となっている。
しかるに、対韓国輸出比率の高い日本(7.1% 2018年)への影響は無視できないだろう。
米国ダウ日足チャート・テクニカル
米国ダウは6月のG20で米中が米国農産品購入を承諾したという情報で、米中貿易戦争への懸念が遠のき、約35日間の上昇局面となった。そして10月以降、米中交渉の進展と合意期待の高まりによって同様の上昇局面となったわけだが、香港人権法案著名が頭を抑えた格好になっている。
トランプ大統領は再三「合意は近い」とコメントし、市場に期待感を持たせているが、状況は期待と懸念が入り混じる格好になっていることから、来週の米国市場はこの高値圏でもみ合う展開が想定される。
しかし、12月はファンドの決算月でもあり、合意の如何に関わらず利食いに走る可能性も、75日線からの乖離から想定しなくてはならない。また、合意となって急騰すると、そこが上髭天井ということも十分に考えられる。
日経平均日足チャート・テクニカル
一方日経平均は高値を追って揉み合って、というパターが続いているわけだが、現状は7月のパターンに酷似していると見る。すなわち、もみ合いから一度急落して下値を伺い、急反発して元値になるという動きである。
しかし、7月のパターンを踏襲するとすれば5日線割れから再度急落するという動きが想定され、先週末は5日線割れの陰線で引けていることから、週初の値動きは要注意だろう。
現状の日本経済は海外投資家が考えているほど良好ではない。
しかも、米中合意がそれほど恩恵をもたらすとも言えず、地合いによっては外資による先物売り叩きも出やすい場面になってくるはずで、来週の値動きは要注意と見るが・・・。
12月6日(金)日経平均予想
ここまで日本株を引き上げた最大の要因は、米中合意期待と言うよりも、恐らく邦銀や国内機関投資家のドル買い需要による円安なのではないか?と見る。国内メガバンクや年金資金は想像以上に外債へ向かわざるを得ない状況なのではないか?
そしてたとえば、SBGなど個別企業も国内調達資金をせっせと海外投資に振り向けているし、M&Aによって内部留保も海外へ向かっている。
しかし日本経済そのものはこれから非常に厳しい場面が予想され、また企業業績も悪化しつつあることから、年明けにはそうした流れは止まると思われる。従って、12月には、米国ダウとの連動も剥落すると予想。来週の日本市場は海外勢の買いが止まったことも併せて考えると一足早く調整局面になると想定している。従って
日経平均株価 ¥22,500 ドル円¥108.50
を予想する。
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