米国対中関税引き上げ延期は最後の仇花か!?

米国対中関税引き上げ延期は最後の仇花か!?

WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、「米中が15日引き揚げ予定の対中関税について延期を協議している」と報道して、売りこまれていた米国ダウは、なんとか昨日(10日)の引け値あたりまで戻している(11日0時40分現在)。

しかし、如何にダウCFDが$100以上マイナスしていたと言っても、このニュースに米国株が反応しているとは言い難い。「関税引き上げの延期」ということは「米中合意に関する協議継続あるいは年越し」という意味であってもあくまで「合意を前提にしている」という意味になる。

時期は分からないにしても、遠くない時期に米中合意第一弾が決まる、という期待感にはそれほど影響はないはずだが・・・。

米国のパーデューの農務長官という人が、「前向きなコメント」をしたと言うニュースもあったが、いかにも役不足であるし、株式市場は反応しなかった。それどころか、12月3日に大きく下げた米国ダウが、これまたあっという間に値戻ししたことで、いまだ期待感は大きいという印象を与えたが、ここから史上最高値を更新するか否かは、かなり微妙な情勢になってきたと思われる。

関税引き上げ延期は材料にならず

すでに株式市場はトランプ政権によって予告された15日の対中関税引き上げの延期、または中止を織り込んでいるだろう。そして日米市場ともにいつまでも、現在の水準を維持していられるわけではない。既に米国市場も日本市場も待つのは限界、というチャートになっている。

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米中合意は当面ない?

WSJのニュースが配信された時、多くの投資家は「何ゆえに延期の協議をしているのか」と思ったに違いない。仮に米中合意がまとまるのであれば、「延期」ではなく「停止」または「中止」のはずだと。

報道されてから、米国ダウCFDは$100上昇し、そして市場が寄り付き後すぐさま▲$100と沈没。その後、ジワジワと下落した▲$100を取り戻す動きになった。株式市場は既に米中合意に関して疑心暗鬼になっているのは明白で、CFDも含めて$100幅で1往復半のハイボラとなったからに他ならない。

そして、仮に関税引き上げ延期が発表されたなら、市場は大きく嫌気して下落するだろう。この時期、こうしたことが取り沙汰されるようでは、「順調に進展している」とは言えないはずで、この問題は恐らく年越し必至でしかも当面は決着しないのではないか?

トランプ大統領がNATO会議の出席した折、機内で「選挙後でもいい」とコメントしたが、本音かもしれない。

$28000で上値を抑えられたダウ

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そうした現状を踏まえ、米国ダウは見事に$28,000で上値を抑えられるような動きになっている。上記上段はダウ日足、下段はダウ週足である。

日足で見れば、原因がはっきりしない3日の大幅下落から僅か3日で元値回復を果たしたわけだが、戻りは$28,000で頭を押さえられた。これは弱いとも強いとも判断できないものだが、週足で見た場合、$28,000は5週線の位置する株価で、短期的には極めて重要なレジストラインと言える。

また週足での(先週の)陰線トンボ(下髭付き)は、かなり不吉な足でもある。

従って、「関税引き上げ延期」となるのであれば、それは年内合意はないのは当然として、今後合意の時期的目安が分からなくなると言う意味で、株式市場は大きな調整場面に成る可能性が高いと思われる。

動かないドル円

既に久しくドル円は¥107台~¥109台のレンジで推移している。海外勢の連続買い越しによって¥109台まで押し上げられたのもつかの間で、¥108台に押し戻されている。安倍政権が大型補正を決めたにも関わらず、である。

しかし、この大型補正予算はつまり、日銀が追加金融緩和を打ちだすという観測を打ち消した格好と海外勢は考えたのではないか?もちろん為替は政策のみで決まるものではないかもしれないが・・・。

このことから既にドル円相場は、円安一杯の状況になっていて、これ以上の円安は望めないレベルにあるのかもしれない。

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日経平均は揉み合いブレイクできるのか?

改めで日経平均の日足チャートである。

通常に考えるのであれば、この三角持ち合いの形は上値ブレイクを示唆していると理解できるし、現にこのチャートを手掛かりに自分自身買い建ての持ち越しポジションなのだが、それはあくまでも、状況の大きな変化がない場合だから、単純に確率論でしかない。

しかし気になるのは、この1ヵ月あまりの高値持ち合いの間、海外勢は買い越しているということ。つまり、大きく買い越しても10月のように株価は上昇しなくなっているということで、そこには明確な理由が存在するのではないかと考える。

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恐らく、米国ダウとの連動相場を演出しているのは、米系と言うよりも欧州勢なのかもしれない。そして、其の欧州勢は間もなく(今週中?)サウジアラムコの上昇というイベントがあるはずで、一気に換金に傾くこともあり得ない話ではない。

なのでこの三角持ち合いをブレイクしても、1~2日程度で日経平均では¥200~¥300程度ではないか?それ以上に今週のMSQをロールオーバーするのであれば、11月SQの¥23,300以下と考えるかもしれない。

いずれにしても、ブレイクもするが頭も抑える、みたいな状況であることは確かで、今後上値追いをするとも思えず、イベントやサプライズで高値ブレイクしても短命なのではないか?と思う。

ハイボラに備えるべきか?

すでにハイボラの兆候は今夜あたりから出始めている。先週あたりまで、上にも下にもハイボラとなる可能性が高いと考えていた。しかし、現時点では、同じハイボラでも上の可能性よりも下の可能性を見ている。

早ければ今夜の米国市場で、大幅下落で引けるかもしれない。

仮にそうなったなら、明日大人しくポジションを圧縮しようと思う。また運良く変わらずの水準で返ってきたならば、明日の前場でチャンスを伺えるかもしれない。

どの道、これ以上の上値を見てのポジションは危険すぎるのかもしれない。それでも、金融相場で¥24,000を目指す、となるなら、後はご自由に!というスタンスで臨むかもしれない。

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