日米株式市場の連動性解消:日本株を読め!【2.17~2.21】

日米株式市場の連動性解消:日本株を読め!【2.17~2.21】

2月14日(金)日経平均株価 ¥23,687(前週予想¥23,000) 日経平均CFD¥23,553

日米市場現状

日米株式市場の連動性は薄れつつあると確信の持てた週末だった。今週は2度ほど、連動する日米市場に疑問を持ちながらも、買いポジションを建てた(持ち越し中)が、週末の米国市場と日経平均CFDの値動きの差が、連動離脱を印象付けた。

本来、日米経済は余りに状況が違い過ぎるなかでの連動した動きが余りに不自然だったわけで、今後、新型コロナの影響も加味すると、日本株は上昇するのは一部のセクター限定となるのではないか。相場全体の上昇は、日銀が下値でETFを買い支え、そしてGPIFが外債購入をこの時期にオペレートしてきたことで円安誘導となったことが、明らかに実体経済を無視したノイズになったことも否めなかった。

米高ダウの上値余地は僅か

米国経済は好調を保ちながら、米国株の長期的な上昇を裏付けている。しかし、2018年初頭から2019年秋までの1年半は、$27,00~$22,00という大きなボラティリティをともなった荒れ相場だった。その理由は、FRBの金融政策と米中貿易戦争だったことは明らかで、特にFRBは資産買い入れの減額や利上げを行って、過熱したマーケットを冷やそうと躍起になっていた。

しかし、2018年11月から2019年年初にかけての急落場面で、FRBは金融引き締めに対するマーケットの過剰反応にビビッて、即座に利上げ方針を撤回した。これに株式市場は鋭く反応して、V字回復し、さらに史上最高値を更新し続けて今に至っている。

株式市場は今回の新型肺炎に寄り影響も加味して、今年2度の利下げを予想しているわけで、それが米国市場が新型肺炎をあたかも無視するかのような動きに導いているのは明らか。しかし、今度はパウエル議長は議会証言でレポ市場への資金供給を含めた短期市場への金融緩和は今年6月まで、と示唆した。

加えて、悔しそうに、今後のリセッション局面ではもはやゼロ金利と資産買い入れしか方法がなくなったと証言した。つまり、これ以上マーケットが過熱したら、暴落を支える方法はFRBにはない、と言ったも同然だ。

それらを総合して考えると、現在の上昇は最大で今年6月までで、その後は▲$5000級の下落が起きれば、ゼロ金利に踏み出すしか方法がない、ということになる。

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いまは、新型肺炎の蔓延が、ドル買いを誘い、実害の発生していない米国株や米国債の買いを誘って相場を押し上げてると言う、実に皮肉な結果となっている。しかし、今回の新型コロナの蔓延が収束するとなると、米国から資金は流出傾向になる。まして、パウエル証言がある以上、今年の6月以前にそうなる可能性が濃厚なのだ。

米国株の上昇余地は、思うほどないのではないか?

日本市場は新型コロナを回避できない

一方経済が好調な米国とは真逆な形で日本経済は悪化の一途をたどっていると言える。そして、現政権や日銀には、今の景気後退に歯止めを掛ける手段はほとんど何もない。特に政権はその見識も能力もない。

こうした中で日本株がダウ連動で¥24,000まで上昇しているのは一重に、半導体と電子部品の将来的な需要回復だ。少なくとも半導体セクターは昨年の1~3月期が底、という見方が支配的で、以来半導体セクターは米中貿易戦争を跳ね返して右肩上がりに上昇してきた。

また電子部品も同様で5G需要によって大きく上昇し、日経平均を牽引してきたと言える。仮にこの2つのセクターが上昇しなければ、日経平均は日本株の評価も加味すると、¥20,000程度だったのではないか?

そして今回の新型コロナで、日本経済は想像以上に窮地に立たされている。米国は1月末の段階で、中国人の入国を拒絶し、また台湾もそれに追従した。それは、米国、台湾ともにハイテク分野への影響を危惧したからだ。その結果台湾のTSMCは国内生産を従来通りに行い、また米国も中国生産を切り捨てる格好で、国内消費を維持したわけだ。

しかし、親中派が多数を占める安倍政権は、現在でも湖北省やセッ江省からの入国のみの拒否しかしておらず、他地域は自己申告でフリーパスを続けている。そのために日本国内では新型コロナの感染に歯止めがかからない状況に成りつつある。

ただでさえ深く中国と関わっている日本の産業界、インバウンドに頼っている国内消費、そして新型コロナの蔓延・・・という日本を海外投資家はどう見るか?ということになる。

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半導体や電子部品は確かに日本のお家芸ではあるものの、日本国内に生産拠点が極めて限られることから、流石にこれ以上の新型コロナの蔓延を、海外投資家は見逃さないと思う。

日米株式市場の連動性が薄くなる

こうした日米経済のおかれた立場を海外投資家は見て見ぬ振りができなくなる可能性が高い。週末の米国ダウの引けにかけての動きと日経平均CFDの動きが、そのことを如実に物語っている。

来週の日本市場は、現政権の対応の甘さから、かなり下落するのではないか?

そんな折、茂木外務大臣は中国の王毅外相と、4月の習金平訪日を「予定通り」と15日に確認したそうな・・・。

米国ダウ日足チャート・テクニカル

▲$603の下落から、各国の中銀の金融支援策やFRBの利下げ期待からV字回復を果たし、なお5日線上で順調に上昇を続けている米国ダウに、日足チャートを見る限り下げる要素はあまり感じられない。

しかしながら、まったく収束の目途が立たない中国の新型コロナ感染拡大や、パウエル議長の議会証言が徐々に重石として意識されそうな気配は十分に感じられる。

現在米国ではインフルエンザが大流行し、死者は1万数千人に上っているが、15日、現在のインフルエンザ蔓延に対し、新型コロナ検査を開始すると発表した。いまだ米国では僅かに400例しか検査が行われていなかった。

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そして来週、何名か新型コロナ感染者が出るとネガティブ・サプライズとなる可能性がある。なので、テクニカルは悪くはないものの、上値は限定的ですぐに$30,000タッチとはいきそうにない中で、新型コロナ感染とのニュースは調整入りに十分だと思う。

日経平均日足チャート・テクニカル

週末の日経平均はかろうじて25日線上にとどまった。米国市場連動の戻り相場のお陰で、その25日線の傾きは上方向となり、テクニカルでは目先5日線を回復すると、¥24,000トライとなるはずである。従って揉み合ってはいるものの、この日足チャートからはあまり危険な状況とは思えない。

しかし、徐々に日本株と米国株の連動性が剥落するような傾向は、週末の米国市場で見られた。

現在の日足チャートの怖いところは、あっという間に5日線ー25日線のデッドクロスとなってしまうこと。そして大きめの調整がくれば25日線ー75日線のデッドクロスも難しくない、三線接近状況にあることだ。

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その時、株価の動きを左右するのは、日足の需給ではなく、投資家のセンチメントと日本経済のファンダメンタルズだろう。となると来週の日経平均は上昇を期待できる状況にないと言える。

CME日経平均先物(円建て)日足チャート

週末のCME日経平均先物は、日本市場に先駆けて75日線にタッチする下落を見せている。米国ダウは大引けにかけて大きく切り返し▲$25まで回復したにもかかわらず、日経平均先物は切り返せなかった。

従って、75日線がレジストラインとなる可能性もあるが、米国投資家の判断、75日線割れを示唆していると考えるべきかもしれない。

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TOPIX日足チャート

来週の日本市場の動きを示唆しているのが、TOPIXで日経225とは色合いがかなり違っている。日経225は海外投資家の強気が繁栄されやすい指標だが、TOPIXは東証上場全体の値動きを反映しているわけで、すでに75日線を割り込んでさらに下を伺うといった弱気相場入りをしている。

今回のSQではロールオーバーで出来高が膨らむことはなかった。そして積極的に清算したのは野村くらいで、その野村も売りポジションに傾きつつある。

来週の日本市場は、新型コロナが暗い影を落とす、と見て間違いないのではないか?

2月21日(金)日経平均予想

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横浜に停泊中のクルーズ船で、感染者が355人になった(16日現在)。これは何を意味するかと言えば、まずまったく感染検査が追いつかないということ。つまり、僅か数千人の感染を調べられないというのが実態であることを意味する。

ことさら左様に、国内感染者を感染検査する術はいまのところ極めて限られて、しかも中国武漢に滞在した、または滞在した人と接触のある人、に限られるというのだから話にならない。ちなみにこれは厚生労働省の通達である。

従って、経済的な影響もさることながら、もはや新型コロナの脅威は日本社会が背負い込んだ社会全体の脅威となりつつあるのだ。そしてそれは、未だに中国人をフリーパス状態で入国させていきながら「水際対策に万全を期す」と言い放つ安倍首相の信頼感欠如に繋がる。

その姿を、海外投資家はどのように見るのだろう?

ということで、来週の日本市場は少々厳しい下落に見舞われるだろう。よって、

日経平均株価 ¥23,000 ドル円 ¥108.50

を予想する。

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