新型コロナによる実体経済悪化が金融に波及するという危機
- 2020.03.22
- 放言
米国トランプ政権は、今回の新型コロナ蔓延による景気落ち込みへの対策として最大約2兆ドルの財政政策を行うと発表した。これは日本円で約220兆円という、ほぼ日本の国家予算の2倍規模となる。
こうした緊急を要する景気対策というのは、基本的には景気の落ち込み分を財政で補うという方向。つまり米国政府は、米国のGDPが約20兆ドルなので、今回の景気減速を現時点で約10%の景気減速と見ているわけだ。ただし、あくまでも現時点ということなので、実際に時間の経過とともに、実態が明らかになってもっと減速幅が大きければ、追加の支出を行うだろうし、米国のみならず、資本主義経済では、このような場合にはそうするしか処方箋はない。
財政政策で常に後手に回る日本
もちろん日本も・・・、日本には麻生太郎という疫病神が、常にこのようなパニック的な景気減速時に政権の中枢にいる。リーマンショックの時は、麻生政権であって、日銀が何もせずに傍観していたと同時に、ほぼ真水のない緊急対策を発表し、お茶を濁し続けた。財政・金融政策が殆ど何もしなかったわけで、日本は世界で最もリーマンショックの影響を受けた国家に成り下がってしまった。
その影響はリーマン後約数年の間、最も回復の遅い先進国のままで影響は長引いたわけで、本当に疫病神以外の何物でもない。
良かれ悪しかれ日本の運命は、この経済的無知・無能のボンボン政治家によって、常にメチャメチャにされて仕舞う。この極めて厳しい緊急時に、時限措置としても「消費税減税は考えない」を平然と発言する神経は、尋常ではないのは明らかである。
保守の政権政党にこのような血筋だけの無能な政治家が総理や財務大臣として居座る以上、そしてそれを選んでしまう選挙民が居るからこそ、左派の令和新撰組などが台頭してしまう。麻生太郎、山本太郎、どちらも太郎でどちらも絶対に政権の中枢にはおけない人物なのだが・・・。
とにかく欧米と比較して日本経済の回復が遅れるとすれば、それは間違いなく麻生太郎財務大臣のせいであり、それを良しとする安倍首相の責任だ。
とはいえ、景気対策としての財政出動は、統計的にまたは数学的な推計を基に、淡々とやるしかないわけで、やれば必ず何とかなるもの。実体経済のリペアはそれほど難しいものではなくて、米国のみならずEU各国も、英国でさえも大型の対策を次々に打ち出している。残念ながら現時点で何もやっていないのは日本だけなのだ!(でもいずれやるだろうが)。
金融危機に波及寸前
しかし本当にどうなるか分からない、どうしていいか分からない、手の打ちようがないと言うのが、膨大に膨張しきってしまった金融資産の毀損対策だ。リーマンショックもサブプライム債券という流動化を失った債券がミックスされたあらゆる債券が世界中の金融機関に蔓延し、金融機関の被害が推計できなことで金融期間相互の疑心暗鬼を誘発したのが始まりだった。そしてあらゆる金融商品の流動化が停滞し、企業そのものの資金繰りに影響が出るという形で株式市場が暴落し、被害が拡大した。
今回の新型コロナショックは実体経済の急激な減速が主導するものではあるが、やがてはリーマンショックのように金融に波及することは避けられないかもしれない。
つまり順序はどうあろうと、結局のところこの新型コロナ問題は、目先リーマンショック時の何倍、何十倍もの規模に膨張しきってしまった金融に波及せざるを得ないのだ。
FRBは即断・即決でゼロ金利の導入とともに約235兆円の金融緩和を打ちだした。これは裏を返すと目先の危機回避のためには一声で235兆円という膨大な資金が必要だった、と言うことになる。トランプ政権は約220兆円の財政支出を示唆しているわけだから、米国は金融・財政政策合計で555兆円の新型コロナ対策を打ちだしたわけだ。
しかし財政支出の220兆円はある程度計算できているものが、FRBの235兆円は、この先どの程度金融毀損が起るのか、まったく予想もつかず、ただ目先の安定のために金融緩和を打ちだしたに過ぎない。
現状では米国の株式市場、債券市場での追証は約12兆ドルあると言われている。これは日本円にして1,320兆円のも及ぶ巨額なもの。もしもこれが事実に近い数字だとすれば、一体米国市場はどのくらいレバレッジを賭けてどのような資産運用をしていたと言うのか!?まさに金融緩和バブル、マネーゲームに明け暮れていたからこそ、12年もの間米国ダウは一本調子で上昇を続けていたのではないか!?
そんなものは、ファンダメンタルズと乖離して当たり前である。
こうした新型コロナによる景気減速の推移を考慮するならば、ここからの展開は、新型コロナの蔓延がどうなるのか?はもちろんだが、どの程度金融資産を毀損し、どのような影響が出てくるのか、という視点になってくるだろう。そういう意味では、現在のところ全く楽観できる状況にはないと考えるべきだと思う。
金融に対する影響が鮮明になってきて、ウォール街で行われていたメチャメチャなバブル取引の実態が明るみに出てくると、もう一段の極めて厳しい暴落が来るかもしれない。恐らく、バブルに踊った金融にはほうぼうに地雷が埋まっているだろうから。
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