方向感なく決算に備える週:日本株を読め!【4.20~4.24】

方向感なく決算に備える週:日本株を読め!【4.20~4.24】

4月17日(金)日経平均株価 ¥19,897(前週予想¥18,500)日経平均CFD¥19,591

日米相場概況

米国市場は経済復活(再始動)に対して、相当に楽観的なセンチメントに傾いている。新型コロナの感染者数が頭打ちになって減少傾向が見られたことで、トランプ大統領は「各州の事情で」という条件付きで感染の少ないところから、外出禁止を解除し経済活動を再開というプログラムを発表した。これを好感し株価は3月安値で底打ちし、回復基調に乗るという予測が主流となっている。

その楽観的な見方の裏には、アマゾンやマイクロソフトなどの業績好調という背景があり、すでに株価は暴落前を回復しさらなる上値追いを始めていることがある。

しかし、それはあくまでも新型コロナ特需という側面が強く、またレイオフされた2200万人の再就職が今後可能という判断は時期尚早で、失業者は今後も増え続けるであろうこと、そして企業が景気回復を見越して再雇用をするのか?という疑問もあって、実体経済の悪化は今後も続くと思われる。

とすれば現在の株価の上昇は、決算本格化とともに、実体経済のファンダメンタルズに抑え込まれるだろう。

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一方日本市場の株価上昇は、中国経済の底打ちと復活を見越している部分が大きいと思われる。特に半導体や電子部品においては、中国の経済活動の回復とともに需要が復活するという読みもあり、また5G関連が思った以上に好調であるという裏付けもあるだろう。

そのうえで米国株の戻りが急となっている状況で、国内の新型コロナ対策が失敗しているにも関わらず、引っ張り上げられているということ、日銀のETF買いによって売りが制限された形になっていることで戻りを試すような株価の動きになっていると解釈できる。

米国市場

リーマンショック後、米国の株価上昇に背景には必ず金融緩和があった。ファンダメンタルズ云々というよりもまずは金融緩和ありき、という相場になってきたのは事実。そして今回は、危機拡大に伴ってFRBが積極的に金融緩和を行い、また暴落寸前だった債券市場にほぼ無制限の資金供給を行うことを表明し、ジャンク債の買い入れをも実施するという、捨て身の防衛策を繰り出した。

いずれにしても今回の米国ダウの戻り相場は、新型コロナによる経済悪化は十分承知の上で、「FRBが米国企業を守る」というお墨付きを与えたことが大きいのは明らか。

したがって現時点では、ある程度各企業の決算の悪化は織り込みながら、新型コロナ感染が収束できるという読みのもとに買い戻されているという状況だ。

日本市場

日本経済は内需の悪化が急激に広がりつつあり、また期待されている輸出も半導体関連以外ではさほどの伸びもない状況で、今後さらに悪化するであろうことは容易に想像できる。そして安部政権のジレンマは、緊急事態宣言を全国に広げ、少なくとも5月6日までは現状の外出80%自粛要請を継続しなければならないわけだが、それをいつどのような形で解除できるのか、全く予想がつかないことだ。解除が早計ならば再度感染爆発が起こることは、北海道の状況がすでに証明している。

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したがって現状打ち出した、新型コロナ支援は支給や融資が実行される頃には、もう一段、二段の景気悪化となっていて、予定効果を発揮できないだろう。

つまり、こうした場合後追いの対策はすべて効果なしとなる可能性が高く、実体経済の状況は厳しくなる一方だろう。したがってそうした経済実態を重視する投資家は買えない局面だろうし、米国のようなセンチメントの投資家は買い勝負に出るだろう。つまりは、決算発表が本格的に開始される4月第5週から連休後の5月中旬までに、相場に方向感が出る思われる。

米国ダウ日足チャート・テクニカル

米国ダウは3月底値から順調に戻り足を重ねていて遂に17日、引け値で$24,000を回復し、半値戻しまで僅かな地点に到達した。短期的には25日線のGCがこれまでのところフェイクにはならず十分に機能していて出来高もそれなりに回復しつつある。5日線に沿った堅調な上昇なので、まだ株価は十分に上を睨んでいる状況と短期的には判断できる。

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しかしここまで戻ってきて決算発表が本格化するわけで、つまり今回の1Q決算、そして今後の見通しに関して中立な位置にあると解釈できる。3月の下落はいささかオーバーシュートでヘッジファンドの投げ売りなどもあった結果と言うことだが、来週以降は嫌でも決算を意識する相場になるだろう。

つまりダウ$24,000が、割高なのか割安なのかの判定が下されると思われる。

日経平均日足チャート・テクニカル

海外の投資家は日本経済、日本株に対し現状好意的に見ている可能性がある。本来日本経済は米国同様に内需主導型の構造なのだが、海外勢の輸出主導型という見方は現在でもまったく変化していない。つまり、米中の経済が回復するのであれば、それは日本経済の回復と判断するということだ。

したがって、海外投資家がそう見ている以上、政権の株価対策は輸出有利な条件づくりとなり、輸出企業は守られる。しかしその政策は内需を疲弊させ内需企業を苦境に追いやるものであって、その結果日本のGDPは全く増加しなくなってしまった。

これは日本国民にとって極めて不幸なことで、消費税も含めて重税を課されるのは常に日本国民であるという矛盾はますます広がるばかりなのだ。

しかしそれでも、日銀はなぜか株価を支えるために今年も12兆円のETF買いをするという。すでに未曾有の金融緩和後24兆円もの株式を市場から購入しているにも関わらず、有事の国民支援は僅かに一律10万円と12兆円程度しか出さない政治・・・。

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もはや狂ってるとしか言いようがなく、そうした狂った国の株価がどうなるかと言っても分かるはずもない・・・、では身も蓋もないので、予想するとこの相場の戻り上限はあっても日経平均¥21,000程度で、第五週の決算本格化までは、もみ合う展開が続くと思われる。

4月24日(金)日経平均予想

来週の日本市場は、米国以上に新型コロナ悪化と米中経済の回復の綱引きになると思われる。したがって大きな株価のトレンドは出ないだろうし、とにかく決算までは動きようにない状況ではないか、と思っている。まずは23日(木)のキヤノン、24日(金)のファナック、アドバンテスト辺りに注目が集まるだろう。精密機器、機械、半導体とそれぞれのセクターで参考になる銘柄だ。

新型コロナによる経済の悪化を株価は織り込んだのか?が試される時期に差し掛かろうとしているが、来週は個人投資家に人気の銘柄が売られるだろう。

日米ともに内需の急激な悪化が、足を引っ張る相場にやがてはならざるを得ないはずなのだが・・・。来週末の株価を・・・

日経平均株価 ¥19,000 ドル円¥107.00

と予想する。

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