上値の重い膠着相場の週:日本株を読め!【7.20~7.22】
- 2020.07.18
- トレード予想
7月17日(金)日経平均株価 ¥22,696(前週予想なし)日経平均CFD ¥22,693
前週の日米市場
新型コロナの感染急増の最中にある米国は、14日(火)のギリアドのレムデシビルの治験報告によってセンチメントの悪化を跳ね返し、一段の上昇を見て6月5日(金)~10日(水)までに形成されたアイランドを捉えた。同様に日経平均は6月16日(火)から約1か月間のもみ合いを上抜ける動きとなり、¥23,000にタッチする非常に強い動きになった。
米国市場
米国では連日6万人以上の新規感染者を出しながら、7月16日(木)にはついに7.73万人となり過去最悪の感染状況となった反面、連日の新型コロナ治療薬やワクチンの治験報道によって投資家のセンチメント悪化を跳ね返す形となって、結局米国ダウは堅調に推移したと言える。
また決算シーズンインとなって金融機関決算を無難に切り抜けたことや、6月の景気指標が好調だったこともあり、景気の先行きを懸念するような株価の動きにはならなかった。
ただし、トランプ政権の対中制裁に関し、新たな動きが出てきた週でもあり、香港問題に関する具体的な中国高官への制裁は見送られたものの、ファーウェイやZTE等中国ハイテク5企業に対する制限をより強化するという動きも見られ、今後の米中対立の激化を示唆する週でもあった。
また週末の7月米消費者マインド指数が予想外の低下となって、国内消費に対し新型コロナ感染者急増が改めて暗い影を落とし始めたことを確認させた。トランプ政権は、11月の大統領選挙まで何としても国内景気を回復基調に持っていこうと躍起になっていて、新型コロナ感染を無視する姿勢を続けているが、来週以降出てくる企業決算次第では、嫌でも意識せざるを得ない状況に、株式市場は追い込まれる可能性がある。
その意味では絶好調だったNASDAQ市場が、週初(13日)に大陰線を引き頭打ちを示唆したことも無視できない。したがって、米国市場はダウ、NASDAQ、S&Pそれぞれに上値の重い展開が来週は予想される。
ダウ日足チャート・テクニカル
今回からはより現実的な状況を考慮して、移動平均線は5日線、20日線、60日線を用いることにする。そうすると、25日線、75日線はだいぶ景色が変わってくる。25日線・75日線の場合、GCしたのが5月28日なのだが、20日線・60日線の場合は5月11日になり約2週間も早かったということになる。
したがって現時点での株価を考慮すると、25日線・75日線のGCポイントから$1000上昇の位置ということになり、それほど妙味はなくなってしまう。しかし20日線・60日線であれば$2000以上の上昇となって、かなり順張りのパフォーマンスが良いことになる。
今回はそういう傾向になったけど、万能ではないだろう。だが、5月11日前後は、ロングの投資家にとっては最終チャンスであったことは間違いない。
というわけで現行株価は、6月5日~10日のアイランドリバーサルを否定して窓を埋めた。3線ともに上回る位置であることから、今後も基本的には上昇トレンド維持と見える。少なくとも来週押したとしても、20日線上を維持すれば、押し目となって買いチャンスの可能性が高い、非常に堅調なチャートと言わざるを得ない。
日本市場
現在の日本市場は、日本独自の材料や要因で上昇を続けているとは言い難く、基本的には米ダウ追従だ。しかし、個々の現物株ベースで空売りが大量に入っていること、調整局面となれば日銀のETFオペが入りやすいこと、出来高が全く膨らまないこと、などの需給要因から下値が極めて底堅い状況が継続している。
日本でも、東京での新型コロナ感染者数が急増し、感染第二波を懸念させる動きになってはきたものの、海外投資家は新型コロナを材料にはしていない。つまり、下値が堅い状況で安易に売り叩けないという意識があるのは間違いない。
こうした状況で日本でも4-6月の企業決算を迎えているが、すでに1Qが業績ボトムという共通の認識があり、「悪決算は悪材料出尽くし」となっても不思議ではなく、その場合はショートカバーが先導して株価を持ち上げる可能性もある。
だが、中国経済の悪化という悪材料をどのように評価するかが、そろそろ来週あたりから意識される可能性もあり、香港を意識した上海市場の急騰は、暴落局面を迎えるかもしれないということも、多少影響があるのかもしれない。
したがって、上も下もそれぞれに要因が絡み合っているために、大きな値動きはなくもみ合い継続の公算が大きいと思う。
日経平均日足チャート・テクニカル
ダウ同様に5日線、20日線、60日線、そして200日線を加えた日足チャートとした。3線上の動きで非常に堅調であることは間違いないが、ここから¥24,000を奪還する動きになると、新値を取りに行く展開になりやすいのは、60日線と200日線がGCするからである。
そうなると、新型コロナは完全に市場材料から消えることになり、センチメントは経済の戻りを志向するだろう。しかし、ファンダメンタルズの回復は長期戦になることが予想され、またコロナ後の株価は、企業の勝ち負けが鮮明になるはずで、そうなると勝ち組は割高に、負け組は買われず、という非常に遣りづらい相場になることが想定され、またどちらも下がり辛い値動きになりそうで、非常にいやらしい。
さて来週は、素直に¥23,000をとれたとしても、そこからの材料は今のところ見当たらず、反対に米中対立等ネガティブな材料が目立つのではないか、ということで素直にもみ合い脱出は難しいとみる。そして、米国市場で急激に増え続ける新型コロナ感染者数が、突飛に増えるようだと一気にセンチメントが悪化する可能性もあるので、その場合には、簡単に20日線を割り込む可能性も十分にある。
なので、買いで取るには厄介な株価の位置だと思うし、¥23,000超は十分に売り勝負できる位置だと思われる。
7月22日(水)日経平均予想
個人的には今の相場自体、相当に無理があると思っているが、チャートは堅調さばかりが目に付く形になっていることから、非常に厄介な、しかもボラも少ない取れない相場が継続するとみている。米国で16日に新型コロナの1日の感染者数が7.73万人となっても、容易にワクチンのニュースで打ち消されてしまうところが妙に気になる。
しかも、7月の米消費者マインド指数の低下が妙に気になるし、相場の重しになるのでは?と感じている。したがって日本市場も簡単には上値を追えないだろうと思う。したがって7月22日(水)の日経平均株価は(僅か3日間だが)・・・、
日経平均株価 ¥22,400 ドル円 ¥106.50
を予想する。
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