今後の日米株式市場を冷静に考えてみる
- 2020.12.13
- トレード予想
新型コロナのワクチン接種もようやく始まりつつあり、米国の大統領選挙の混乱はこのままでは年明けのジョージア州上院再選挙までは縺れ込みそうな状況で、日米ともにこれ以上の株価押し上げ要因は、あまり見当たらないというのが現状だよね。
もちろん、米国の新型コロナに関する追加対策予算(約90兆円)の行方も気になるところではあるけれど、基本的に各州に配布するコロナ対策のための予算、そして中小企業に対する補助金が骨子なので、成立したとしても株価をどれほど押し上げるかは、未知数の部分がある。
それよりも何よりも、今の米国の政治情勢が落ち着かないことには、次のフェーズを睨んだ展開にはなり難いというのが、(俺の)今の感じだけどね。
けれども日米市場ともに、日足チャートをじっくり見ると、行き詰まり感が徐々に出てきてるし、年末年始はそこを警戒して行かないと嫌な思いをするかもしれないので。
米国ダウ日足チャート(MACD)
11月3日の投票以降、$26,500付近から$30,000超えまで、急激に$3,500もの上昇を演じた米国ダウ。この間に起こったことと言えば、バイデンがトランプ大統領を選挙人獲得数で上回り勝利したとする大手メディアの一斉報道と新型コロナワクチンの進捗および緊急使用許可申請と承認、そして選挙後も継続している追加経済対策に対する期待感と大きく分けて3つの材料があった。
そして株価(ダウ)は11月9日に大きく窓を空けてGUした後、ジリジリと史上最高値を更新して、11月24日に節目の$30,000を突破して、現時点でも$30,000上をキープしている。
GU後の日足は、右上がりの持ち合いフラッグ型であり、一見極めて堅調に見えるけれど、一歩引いてみれば、上昇の勢いは行き詰まっていて天井サインは見られないものの、これ以上の上昇を期待するならば、トランプ大統領が現在の法廷闘争を引き払い、敗北宣言をして政治の混沌に終止符を打つこと以外見当たらないのも事実。
このような状況下で、米国の新型コロナ感染者数は全く減ることはなく、今週は4日連続で20万人を再び突破し、11日(金)には遂に237,775人(過去最多)を記録するに至った。現時点で多くの州では夜間外出禁止令がでていて、一部ロックダウンも行われている。いくらワクチン投与が開始されたからといって、感染者数が急激に減少することはなく、むしろクリスマスや年末年始を考えるとまだまだ増加すると思わねばならない。
政治は混乱し、新型コロナは増え続け、さらには景気指標も相当に悪化しつつあることを考えると、やはり株価で警戒すべきはアイランド・リバーサルということになるのではないか?
そもそも右肩上がりの持ち合いフラッグは、下落のタイミングをうかがうチャート形であるということもあり、この局面で備えるべきは、ポジションの調整、ヘッジポジション、であって、きっかけは12月景気指標の悪化や、トランプ大統領の次の行動と言うことになると思う。
今の米国メディアはあまりにも選挙報道、そして反トランプ報道に偏り、実体経済の動向を無視しすぎていると思う。
個人的には、早ければ12月中、そして遅くても年明け1月には、米国株の急落局面がやってくるのは避けられないと思っている。
ちなみにMACDの下落転換、および株価上昇中にもかかわらず右肩下がりのMACDは、出来高の急激な現象の影響でもあると思う。個人的にはすでにトレンドは転換していると考えている。
日経平均日足チャート(MACD)
片や日本市場もダウ同様に大統領選挙後、予定通り?(海外勢の)ショートの巻き戻しが一斉に起こり、日経平均は¥23,000から一気に¥26,500まで駆け上った。その結果現時点では、海外勢はほぼ中立のポジションを取っているわけだが、週末にかけて売り越し傾向に傾いている。
連動性が薄れたとはいえ、日経平均とダウの相関は戻りつつあり、ダウよりも行き詰まり感の強いチャートになっている。米国ダウ同様にこの天井付近での揉み合いを上抜けするような材料は見当たらず、上があるとすれば米国の材料に連動高するしかなく、その場合でも梯子が外されたような状況になると思っている。
また、日本市場の特殊性も考慮しておく必要がある。これから年末にかけて、GPIFの利食い売りが結構な確率で起こると、個人的には思っている。またメガバンクの持ち合い解消も記事になっていて、仮に解消するのであれば、このタイミングを見逃す手はないと思う。
いままで、日経平均が岩盤のように見えた裏には、海外勢の約1.3兆円あまりのショートカバーがあった。選挙後、海外勢はショートを解消し、バイデンポジションの強化というスタンスに移行したわけだが、現状の混沌とした政治状況を見れば、手放しでバイデン勝利を期待する気にはなれなくなっている気がする。
モルガン辺りは、来期の株高を盛んに喧噪しているのも、かなり怪しい。日米において新型コロナ前の水準に企業業績が戻るには、なお1年、2年というスパンで時間がかかるという事を考えると、そろそろ、利食いのタイミングであると考えても不思議ではない。
日経平均はこれから年末にかけて、下値を見に行く確率がかなり高いと思っている。
普通なら日米ともに下げ!
株式投資は換金してナンボの世界だ。ただしそのタイミングが今なのか来年なのか、が分からないだけだと思う。市場の期待は大きく二つ。バイデン政権になってイケイケのイエレン財務長官が大型の公共投資を繰り出してくるか、またはFRBがそれに追随するか否かであると思う。
しかし、最も肝心なことは、たとえバイデンが大統領になっても、すぐに最も力を入れるのは、新型コロナ対策だという事。これがある程度目途が立たなければ、おいそれと他の予算は実行できないという事情がある。
従って選挙公約は公約として、実体経済に対する影響は全くの未知数であって、パウエル議長が財政で、という趣旨を変えない限り、投資家の思う方向にはなかなか進まないのではないか?と思う。
また、トランプ大統領の法廷闘争もまったく終わる気配がなく、ますます対中国共産党への締め付けを強化していることも考えると、ハイテク、半導体では大いにブレーキがかかるかもしれないという要素もある。
米中関係をメディアや株式市場は相変わらず無視しているが、(振れれば選挙介入という虎の尾を踏むことになる?)実体経済への影響は無視できないもののはず。
となると、いまの米国経済は思ったよりも内容が悪いのではないか、と思う。
従って、普通なら日米ともに深めの調整を入れてくる局面だとは思うし、年末年始は要警戒だろうね。
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