日本株は期末の暴騰!しかし・・・
- 2021.03.27
- トレード予想
昨夜の米国市場は今までの下落を打ち消してしまうような怒涛の如くの上昇となった。上げ幅が怒涛とは言えないものの、その大引けにかけての上昇の仕方は、3市場ともに天を突く抜けんばかりの勢いがあった。米国は欧州が新型コロナ変異種の感染拡大が急激でロックダウンが増えているような状況とは裏腹に、景気はスピード回復していることが、新規失業保険申請件数の驚くばかりの低下で裏付けられていた矢先に、バイデン大統領がワクチン接種数を倍増させるとコメントし、総じて景気回復感に拍車がかかった格好になった。
それを受けて日経平均CFDも金融のザラ場で¥446上昇し、なおかつ夜間で¥436の上昇を加えて実質1日で¥879というすさまじい上昇となった。先物ベースでは期末配当を差し引いても¥29,440で取引されていて、これは水曜(24日)の引け値¥28,405から僅か2日間で配当落ち分を計算しても¥1,000以上の上昇というまさに期末の暴騰となったということだ。そして29日は期末配当権利取り日となる。
しかし、同時に日米ともに新たな懸念も出始めているわけで、株式市場はこのまま一本調子というわけには行かないのではないか!?
米国:バイデン政権が揺れ始める!?
バイデン大統領の曖昧な移民政策が、米国の国境付近では大問題となりつつある。ことの発端は昨年の大統領選挙におけるバイデンと民主党が、トランプ前大統領と共和党保守派の移民政策を、人権問題、人種差別問題から激しく攻撃し、バイデン大統領は「移民にすべて市民権を与える」と発言してしまったことだ。
バイデンはトランプ前大統領が国境の壁を建設し、不法移民の入国を排除しようとするとともに、すでに入国し国境の収容施設で待機していた移民の待遇を槍玉にあげた。そうすることで、ヒスパニック票を獲得するのが狙いだったわけだが、この発言と大統領選挙の投票結果を期に、南米各国から移民キャラバンが再開してしまったのだ。
そして、拍車を掛けるように「移民は受け入れる」と発言し、その数は怒涛の如く増え始め、現時点では劣悪な収容施設に大人や子供もすし詰めギューギュー詰めの状態になっているわけで、すでに入国審査は全く手が回らない状況になっている。
2月の時点で米関税・国境警備隊は10万人を超える移民が入国したと発表しており、現時点ではすでに20万人に迫っているとされている。しかも数巡万人の米国入国希望者が、メキシコや南米でキャラバンを組んで国境を目指していると伝えられている。
新型コロナ禍で景気が大きなダメージを負った最中での大統領選挙では、夢物語のような政策を次々にぶち上げたバイデン大統領。大統領就任直には、米国の最低賃金を$15/時間に引き上げると宣言したことも、移民流入に拍車を掛けているわけだが・・・。
大量に押し寄せる移民の中には、入国後の生活費を全く持たない者や出国時に借金をしているも者が大半で、必然的に生活費と借金返済のためにドラッグを持ち込む者も多いし、南米の麻薬組織による非合法の手続きで出国してきた者も多い。これが米国社会をますます混乱させる要因であることは火を見るよりも明らかで、国境の各州はバイデン政権の移民政策に対し一層の反発を強めている。
そんな中にあってバイデン大統領は移民管理のトップとして副大統領のカマラ・ハリスを任命し権限を与えた。つまり民主党左派の代表であるカマラ・ハリス副大統領は今後もすべての入国希望者を受けいることはほぼ確実である。
そして大統領選挙以来一貫して反トランプ(共和党)、親バイデン(民主党)報道を繰り広げてきた米国主要メディアだが、おおよそ初めてこの問題をCNNが報道した。
莫大な景気対策によって国民やマーケットはバイデン政権の政策に好意的であるが、しかしこの移民問題といい、完全に拗れ始めた米中関係といい、さらには俄然怪しくなってきた中東問題、そして北朝鮮問題といい、ネガティブな問題を覆い隠している大統領選挙以来の米国主要メディアの姿勢は大いに問題であるが、少なくともトランプ前大統領が築いた平和主義外交もいま崩れ去ろうとしている。
株価は絶好調であるけれど、米国はすでに内外情勢ともに大きく揺れだしている。
日本:機関投資家の地銀株売りが始まる!
いよいよ日本では地銀の再編が本格化する可能性が出てきた。現時点では地銀をまとめて第四のメガバンク化を模索するSBIホールディングスの北尾社長の戦略に基づいて、地銀7行がSBIとの資本提携を結んでいる。
しかしこの構想も、遅々として、順調に進んでいるととも思えない状況だったわけだが・・・ここにきて、このタイミングで日本生命が「2021年度から3年間で、保有する地銀の株式を簿価ベースで約250億円程度売却する方向で調整している」と報道された。
すでに地銀約40行にそのことを打診済みで、時価ベースでは約1000億円になる売り物が「業績の低調な地銀株から優先して売る」と宣言しているのだ。
その目的は、2025年度に導入されるソルベンシー・マージン比率の引き上げに対応しなければならないという事情がある。特に日本は高齢化社会の進行で若年層の比率が極端に減少している社会では、保険料支払い負担が急激に重くなるという事情を抱えている。そしてその中での自己資本規制基準の引き上げはまさに、確実に死活問題となっている。
そしてこれは日本生命だけの問題ではなく、全生保の問題であり、最大手の日本生命の動きに他の生保が追従してくるのは火を見るよりも明らか。3年間という時間があるとはいえ、他の生保の追従によって売却金額は時価で3000億円程度に膨らむという試算もある。こうしたことに他の投資家も追従する可能性も低くはないわけで、直近で地銀の異変が起こる可能性は結構高いと思われる。
いずれにしてもこうした状況になって、いよいよ2021年度以降地銀再編成が本格化するのは必至だろう。すでに数年も前から地銀の再編成は金融庁の主要課題であり、その進度が遅いことで度々問題になっていたわけだが、昨年は新型コロナ禍でさまさまな対策事業のために棚上げ状態になっていた。
しかるに、このタイミングを抜け目のないSBIホールディングスの北尾社長はじっと待っていたのかもしれない。いずれにしても業績低調な地銀株は、意外な売り物が出てくる可能性があり、なかなか騒々しくなってくると思われる。
また、日本では再度新型コロナの感染が緊急事態宣言解除とともに急拡大の様相を呈し始めている。首都圏では結局規制解除できるほどの感染者減少を実現できないままの見切り発車となったが、今回は特に地方での感染拡大が著しい。ワクチンの接種が遅れている日本で、再度の感染拡大となると、今回は菅政権も緊急事態宣言の再発令もままならない。
すでに今年秋までには衆議院の任期切れが迫っているし、その前に東京五輪の開催というイベントも控えている。そしてこのコロナ禍で十分に感染者を減らすことができないままに、聖火リレーが始まってしまった。現状では首都圏の感染者はこれ以上減ることはなく徐々に感染力の強い変異種の拡大で、事態は悪化する一方だろう。そして、地方はこの変異種の蔓延とともに従来になく感染が拡大する恐れがある。
そうなってくると、ワクチン接種が予定通り行えるか?という不安も出てくる。菅首相は今回の緊急事態宣言解除にあたり最終的には自らの責任で判断すると言い切っている。と言うことはつまり、感染拡大を防止できない責任は甘んじて自らが負うと宣言したことになる。
日本では新型コロナがいまだに株式市場の最大の懸念材料であるという状況が露呈しかねないと思う。となれば百貨店株やJR株、JAL、ANAなどの内需株は、戻り期待腰折れの可能性もあるのではないか?「内需のファストリ」と言われるOLCなども優待取り後の急落があるのではないか?と予想している。
権利取り日はどうなる!?
米国株高を受けて日経平均は(このまま何事もなければ)月曜に大いに高寄するだろうと思う。そしてテクニカルでは、月曜引け値で日経平均¥24,900処の25日線をクリアすれば、上昇トレンド復活を思わせることになる。そのポイントで期末配当権利取りになるわけだ。
29日(月)の米国市場が堅調でさらに高値を追うならば、30日(火)権利落ちの株価はその日のうちに配当分の穴埋めをする銘柄も出てくるかも入れないし、日経平均に買いが入ればさらに上昇と言うこともありえる。
しかし、今のところ海外勢のポジションは¥29,500辺りに集中していて¥30,000までは見ていないと思う。したがって、簡単に¥30,000を取るような動きになるとは考え辛い。しかも、日米の懸念材料や、新型コロナ変異種の感染拡大が嫌気される場面もあるはずで、この週に¥30,000を取ったとしても維持するとは思えない。
多くの投資家が、権利落ち前の利食いを考えるだろうということも含めて、意外にここから先は重いのではないか?と思っている。ただし、米国の状況次第で状況は変わると思うので、下落リスクの方が少ないかもしれない。
なので権利取り29日(月)は、利食いに押され、30日(火)は配当を埋める動きにはなると思うが埋められるかは定かでないと思っている。
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