日本株を読め!【5.27~31】ECRAを織り込む週

日本株を読め!【5.27~31】ECRAを織り込む週

5月24日(金)日経平均引値 ¥21,117(前週予想¥20,800)日経平均CFD ¥21,132

相場・地合い概況

今週は米国の中国に対する強硬な姿勢が次々に打ち出され、そのたびに株式市場は日米ともに一喜一憂する展開になった。ファーウェイに対する米国政府の強硬姿勢を受けて、米国ハイテク企業は次々にファーウェイへの供給を止め、またECRA適用を懸念した日本企業もパナソニックを筆頭に順次供給停止に呼応し始めた。

日経225主力の半導体、電子部品が売られ、それに伴って相場全体が週前半のリバウンド基調の頭を抑える格好になり、結局23日(木曜)に再度5日線を割り込み、回復できないまま引けた格好。

一方米国ダウも戻りを試したが結局は5日線に跳ね返される形になって、この問題がまた完全に織り込めない状況が継続している。

日本企業がECRAを織り込み始める

今週半ばからチラホラと出始めていた日本企業のファーウェイ取引見直しは、携帯3キャリアの販売停止に続いて遂にはパナソニックが供給停止を発表すると、市場の懸念が一気に拡大する格好になった。

しかしソニーは会見でファーウェイに関する事業の動向に触れず、市場の懸念は払しょくできなかったし、半導体や電子部品に関しても影響は数パーセントの域を出ないとする報道にも関わらず弱含んだまま。

その背景には、ECRA(米国輸出管理改革法)に関する認識の浸透不足にあると思われる。

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ブレグジットは合意なき離脱懸念

一方英国では、週末に議会の同意が得られずにいたメイ首相の辞任発表があった。これは英国よりもEUにとって痛手となる可能性があり、後任候補の最右翼と言われるボリス・ジョンソンは保守党きっての離脱強硬派でもある。仮にジョンソンが首相指名を受けると、EUに対し強硬な要求を突き付けると言われていて、ブレグジットは合意なき離脱に近付くことになる。

また現在の英国ではブレグジット党の勢力が急拡大していて支持率では、保守党と労働党を合わせたよりも多いという世論調査も出てきている。

仮に、合意なき離脱になれば、英国経済よりもEU経済への影響が大きいという見方が有力で、場合によってはコメルツ銀行との合併に失敗したドイツ銀行の破綻懸念がクローズアップされる場面も出てくるだろう。

米・イランの仲裁役は安倍首相

大統領選挙を考えると、トランプ大統領はイランとの軍事衝突だけは避けたいと考えている。しかし強硬派のボルトン首席補佐官やポンペイオ国務長官は、中東危機回避には軍事衝突も辞さずという姿勢。

確かに現在の中東は一触即発の緊張状態で、イランの行動如何によっては軍事衝突は避けられそうにない。とにかく目先のハプニングが起るようなら相場は揺れる可能性がある。この週末トランプ大統領は中東への1500人増派を支持している。

そんな中、安倍首相の6月イラン訪問が具体的になってきた。

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米国ダウ日足チャート・テクニカル

週初めから戻りを試す動きになった米国ダウだが、相次ぐ対ファーウェイの取引停止のニュースや、中国監視カメラ企業の新たなブラックリスト掲載によって、完全に頭を押さえられた格好になった。

しかし米国にとって対中政策の影響はさほど大きくないという意味では、$25,200が下値の抵抗線となって、リバウンドで週末を終えたことから、来週の急落は考え辛い形にはなっている。

ただ、株価の需給は5日線下、25日線の傾きからして短期的には芳しくない状況に変化はないので、何かがあれば下方に反応する微妙な株価の位置に変わりはない。

日経平均日足チャート・テクニカル


日経平均は株価の位置は違えど、テクニカルでは米国ダウとほとんど同じ状況にあると言える。ただし見逃せないのが為替の状況で、ドル円は¥109.300で週末の取引を終えている。

これは、米中関係だけでなく、イラン情勢やブレグジットも今後微妙に影響してくることから、¥110/$の回復は難しいのではないかと思う。さらには依然として消費税増税が株価の重石になっていることは否定できず、¥21,000が岩盤とは言い難い状況も想定すべき。

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来週の日米市場地合い予想

米国の中国に対する強硬な姿勢は、つまりは中国がイランに対し支援を表明したことでエスカレートしたと見る。

なので来週も強硬な姿勢は継続するだろうし、新たなニュースも大いに出るだろう。そうなると、米国ダウにしても上値を追うのは難しいのではないかと思う。仮に75日線と25日線が短期のDCになれば、下抜けの可能性も出てくる。

一方日経平均もマインドとしてはリバウンド基調だが、米国市場の動きに追従するだけの相場に成らざるを得ない。なので為替が動かない限り、上値追いは(来週の段階では)難しいのではないか?

従って日米両市場ともに、もみ合う公算が大と見る。

注)ロング/ショートで勝ち抜く地合いは明白

5月31日(金)日経平均予想

米国市場は一旦は戻りを試す動きになる可能性もあり、75日線トライをしてくると思うが、結局は越えられないという揉み合いの展開を予想。日経平均は追従であることから、

日経平均¥21,200 ドル円¥109.50

を予想します。

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