4月29日(木)昭和の日 休場

4月29日(木)昭和の日 休場

GWが今日からスタートだ。株式投資にとってはやはり鬼門だろうと思うし、特に明日は月末のアノマリーと言われるほど、ここ2年、ほぼ大幅安する展開が続いている。そんな中にあって、どうしても気になるのが、日経平均のチャート(日足)ということで、決算シーズンに突入して今後続々と決算が出てくるわけだが、嫌な予感を感じさせる足になっている。

そんな中にあって、GW、それからGW後の日本市場は、どうなっちゃうの?という感じが否めないので、その辺を少し考えてみた。(あくまでも個人的な考察なので、読み物程度に流してもらえたらと思ってます。)

チャートがすべてじゃない

今の日本市場を表す日足チャートは、日経平均もTOPIXもどう贔屓目に見たところで、安心できる形とは言えないし、逆に見れば見るほど不安になってくる。なので、まずはチャートを見てみよう。

日経平均日足チャート

(移動平均は5日、20日、60日)

日経平均に関しては、単純にチャートだけを見れば、すでに20日に20日線、60日線を割った時点で短期のトレンドは下落転換していると見える。ただ、そういう話は今になって日柄が出たから言えることで、割ったからと言って決算等の様々な要因があるから、その時点では言えないよね。けれども、仮に明日、月末のアノマリーということで下落するようなら、日足チャートとしては最悪の、5日、20日、60日の三線でDCになってしまう。

個人投資家ならば、そこは意識しているだろうから、明日(30日)はアノマリー通り下落してしまうんだろうと思うけどね。

けれども、米国市場は日本のGWを特に意識するはずもないから、後は米国次第で上下するのをただただ眺めるだけ、ということになるだろうし、ようやく4日(火)に何かしようとしても、30日(金)、3日(月)の米国市場が荒れちゃうと手遅れになる。次は6日(木)、7日(金)で7日はSQ日だから、GWが鬼門というのは、こうした手も足も出ない日程になってしまうということに尽きるよ。

もちろん、株価の上下はチャートの形で決まらないというのが、日本市場の弱いところで、あくまでも米国次第と言うことなのだろうがね。しかし確実なのは日経平均の日足チャートでは買うに買えない状況だということだよ。

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TOPIX日足チャート

(移動平均は5日、20日、60日)

日経平均よりも堅調に推移してきたと思われるTOPIXもまた、このままでは三線DCは確実にやってくる状況。しかも今は半年ぶりに60日線を下回って揉み合っているという状況で、これを見ても買うにけない状況と言うことが一目瞭然だと思う。

がしかし、TOPIXには天下の宝刀?と言える日銀のETF買いオペがあるわけで、仮に明日下げたとして最速での介入は4日になるんだよね。もちろん、下げ幅次第では介入するか否かは分からないけれど。

とすれば、もちろん日経平均ともダブってるけれども、海外勢とてSQ前に下を狙っての売り叩きは非常に遣り辛いという事情も見えるよね。だから今のところ、極端なオプションのポジションは取ってきてはいない。

しかし、日足チャートの形としては、ほとんど最悪に近い弱さだけどね。

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需給の問題が大きい

現時点で気になるのは、個人投資家の主力株に対する信用倍率(信用買/信用売)がちょっと高すぎるという点だ。過去一年間で最高水準というか最大の4.67(4月23日)まで来てしまっている。

ちょっと待ってくれよ!現時点の日足チャートの株価の位置で信用倍率最大と言うのは、言ってみれば「最悪の需給」なんじゃないのか?と愕然とするよね。だいたい過去の暴落を見ても信用倍率が4台、5台なんだよなぁ・・・。

少なくとも3月までは3台で推移してたのに、4月に入るといきなり4台に跳ねあがって、以降毎週ずっと4台が続いてる。上値切り下げの持ち合いのなかで、多くの個人投資家が逆張りした証だよ。本当に馬鹿な証券辺りが日経平均の先高観を連呼し始めたのも4月。上昇は第二ステージへ、なんて言いながらGPIFのポジション変更に伴う売りに加担したのだよ。

けれども、それに乗った個人投資家は、まぁ、買ったということだろうけどね。

そしてこの日本市場の需給を最も気にしている投資主体は常に海外勢だってことが重要なんだよね。これだけ信用倍率が高くなってくると、なかなか買っては来ないだろう。彼らはもちろん、プロ中のプロだから、まず需給に逆らうことはしない。

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海外勢の狙い処

米国市場では今後、新型コロナワクチンの接種状況を確認しながら、良好な景気指標を材料に、当面は実体経済と株価のギャップを埋めるような揉み合いになるだろう。そして次々に出てくるバイデン政策が、株価に与える状況を注意深く観察するはずだ。しかし、景気回復が株価をプッシュするような動きに、少なくとも年内は上目線のはずである。

一方日本市場は、半導体や電子部品を中心に、高PER銘柄が何処まで現状の水準を維持できるかが一つのポイントになるかもしれない。が、しかし、現物をひたすらに売ってきた個人は、結果として保有していた浮動株はことごとく日銀に吸い取られ、代わりに信用買いを増やし続けてきた結果、非常に脆い需給関係を形成してしまった。

海外勢は、まず現時点での積もり積もった個人信用を、何かのきっかけで払いに来るのは、過去の経緯から明白だと思われる。具体的に動いてくるとすれば6月第2週金曜のMSQを意識してポジションを構築してくるはずだ。そして恐らくその時には日本は新型コロナ対策で最も遅れた先進国となっているはずだ。

従って今回のGW前後での意図的な大きな波乱は意外になくて、さらなる個人の信用買いを誘発するような動きになるのを虎視眈々を待っているような気がする。

ちなみに現時点での海外勢のオプション取引のポジションでは、SQに向かってとりあえず¥29,000上から¥29,000下へ変更しつつあるように見える。

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リスク満載のまま

バイデン政策(所得税増税)、中国金融、新型コロナ感染拡、SEC規制(ファミリーオフィス問題)、SPAC問題、CCC債、イエレン政策(法人税増税)等々。あたりを見回せばリスク、リスクのオンパレードなんだが、とりあえず株式市場はリスクを重視せず、ポジティブなファクターだけを織り込む格好で推移している。

結局、未知な部分は多々あれど、ある程度想像できるリスクと言うのは、話題になった時点で株式市場は織り込むように動いているというのが理屈なので、決して無視しているわけではないという議論がある。それはそれで分かる気がするけれど、例えばファミリー・オフィスの規模とか、SPACの上場証券の新株取得権の問題とか、金融に関してのリスクはやたらと伝搬するので、侮れないんだよね。

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けれども、やはり最大のリスクと言えば、世界のインフレ懸念や米国長期金利の上昇だろうと思う。これに関して言うと、現時点で世界がインフレの入り口にいるのはほぼ確実で、今年は新型コロナの収束に向かいつつ経済が急回復する年であるわけで、パウエル議長が言うような一過性のものではないと俺は思っている。

今、コモディティ価格が再度上昇し始めた。産業のコアとなる銅市況は新高値を更新し揉み合いブレイク。そして原油価格も高値維持しつつ、遂に天然ガス市況が上昇に転じてきた。また農産物価格も急上昇の匂いがプンプン、とくれば、今年後半は世界はインフレに悩まされることはほぼ確実な情勢だと思う。

そして米国債10年物金利が、いよいよ2.000pに向かって動き始めるとなると、流石にFRBも意外に早期のテーパリングを起草させる発言が出るかもしれない。昨夜のパウエル議長会見では特にインフレは「一過性」を強調していて、10年物金利は1.650pから一気に1.607pまで下落したけれど、その動きこそが一過性に違いない。

さて、金利上昇は株価にとっては、ネガティブとはいえず、個人的にはむしろ上昇要因ではないか?と思っている。ハイテクにしても2.000pくらいでは本来影響などないはずだ。物価が上昇し、バイデンが新たな政策を打ち出すたびに、それらが金利上昇のエンジンになる。

しかし、日本市場にとってはかなりキツイ重石になる。日米金利差がすなわち円高を牽引するからだ。さらに米国ではHYG債、CCC債等々ジャンク債が暴落する可能性が濃厚になってくるのも怖い。10年物国債の金利上昇は、そうした現実離れした債券に大きな影響を与え、その結果債券も株価も暴落してしまうという恐ろしさがある。

そういう事態が起きない限り、株価は上昇するので、見極めるのが大変に難しくなる。GW前後の話ではないが、そのことは少なくとも今後常々意識しなければならない大問題だと思う。

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結論として

今の日米株価の位置は確実に割高水準にあり、何らかのきっかけで水準訂正に動く可能性は常にあると思う。それがGW前後に起こるという事ではなくて、いつ起こるか分からないという慢性的なリスクだろう。

なので、現実には対応のしようがないし、ある程度の下落は覚悟してポジションを建てるか、または市場参加を見送るのも良手だと思う。

チャートの形が悪いから、株価が下落するという事でもなく、また需給が悪いから下がるというものでもない。まずネガティブファクターが出て、それに反応しようとするときに、下げ幅が拡大したり、下落が長期化する原因ではあると思うけどね。

ただし、市場参加者が少なく閑散としているときは、意図的な売り崩しがやり易い。GW中に仕掛けるとGW明けが狼狽相場になる可能性があるので、ヘッジファンドはタイミングを計っているに違いない(実際に行動するか否かは別問題だが)。

なので、GW前後は大きな動きはないというのが基本線で、あるとすれば叩かれる、と想定しているから、ピンポイント狙い以外の買い勝負はできないと思っている。

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