日本株暴騰の理由は政局ではない!?

日本株暴騰の理由は政局ではない!?

首相が退陣の意思を表明すると株価が爆上げになる?昔から政局になると株価が上昇すると言われているけれど、根拠のある話ではなくて、そうなる場合が多かったということ。記憶に新しいのは安倍元首相が2度目の首相になるきっかけになった民主党・野田首相との党首討論で、解散総選挙を迫っていた安倍氏に対し、売り言葉に買い言葉で野田首相は言わなくてもいい解散総選挙を口にしてしまい、安倍氏に何度も念押しされる始末だった。

もちろん年末解散の年末選挙で自民党が政権を奪還し、安倍首相が誕生したわけだが、その前後から株は本格上昇を開始し、年が明けてアベノミクスの3本の矢と4月頭の日銀の異次元緩和によって怒涛の上昇を見せたことは記憶に新しい。

政局は買いという典型的な例で、政局で買った投資家は、5月23日の大暴落までに大きな利益をものにした。運悪く暴落に巻き込まれても年末までホールドすれば、さらに利益を積むことが出来たわけだ。

そういうことを思い出すにつけ、自分が高市早苗氏がいい、と言い始めたころが、実は買い時だったということになるし、8月の底値さえ十分に狙えたわけだが、もちろんそんなところでさえ、懸命に売り建てていたわけで、まったく買いのセンスの欠片もない。

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株式投資で長いキャリアを積み、様々な経験をしている投資家なら、恐らく「株式投資はレンジ相場」ということを熟知しているに違いない。意味はと言えば、下がり続けることも上がり続けることもないということ。ただし、株の基本は経済成長が続く限りは基本的に右肩上がりであるということもよく知られている。だから、安値圏での買いに間違いはないというわけだ。

ところが個別株はなかなかそうはいかなくて、個人投資家の失敗の多くはそれで躓く。以前株を始めたころ、それで何度となく躓いた経験もあるし、いつの間にかそれをリスクと考えるようになったから、それを師匠に相談するうちに、いまの自分のスタイルがリスク回避しやすいという結論になったわけだが・・・。気が付くと、まともに買いが出来なくなっていた。

株式投資の基本は、買い玉を握りしめてジッと時を待つこと。師匠も必勝法は実はそれ以外にないと言っていた。それが出来なくなってもうどれくらい経つだろう・・・。

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で、話を戻すと、今回の政局は買いと言う意味。それはやはり株価の位置やバリューエーションによるんだと思う。いま、雇用統計を目前にして日経平均CFDは上昇したきりまったく下げる気配すらない。今の水準はなんと¥29,370(△¥826)ということで、引け値からすでに¥242もぶっ飛んでる。

それで、じゃあ米国ダウCFDの値動きにどういう反応をしているかと言えば、ほとんどダウCFDは無視しているような感じがする。これはどうも、政局だから買ってるというだけではないような気がします。菅総理の退任が決まって、新たな総理になり、おまけに総選挙もあるわけで、今までと違った、所謂政策転換が起こるかもしれないという期待感は確かにあるのだろうけど。

俺自身の結論としては、この上昇はバリューエーションで割安に取り残されていた日本株から、その株価がさえない(海外投資家が買う気になれない)要素が取り除かれつつある、ということ。具体的には今、ワクチン接種が凄い勢いで伸びていて、おそらくこのペースならば9月半ばには米国の接種率を上回り、9月末には目標の60%を超え、なおかつ10月半ばには「確実に集団免疫を獲得できる」とされる70%を超えることが、見えているからだというのが、海外勢に認識されたのだと思うわけです。

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ちなみに現時点での米国は52%、最も進んでいるカナダが66%でEUの平均が58%であるわけで、各国とも今はそれ以上接種率が伸びずに踊り場となっている。けれども1か月後には日本は世界最高水準の接種率となるのは、ほぼ確定的であるということから、それが今回の日本株買いの中心的な理由である(個人的には)結論付けざるを得ない。(2回接種の数値)

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いまさら政局だから、と言ったところで、安倍首相でさえ打ち破れなかったCPI2%を他の首相が簡単に実現できるとは、海外勢もそこまでは期待していないだろう。しかし、ワクチン接種率で世界をリードし、集団免疫を獲得したとなると話は別なのではないか?

個人的には、需給を考えて売り玉を建てて週末を終えたけれど、今回ばかりは大失敗したと悔やんでいる。大陽線三本で相当に過熱感のある日経平均だが、年高を取ってきたTOPIXを見ればその考えも変わると思うわけだが、迂闊にも見逃していたという恥ずかしい結末だ。