ウォール街の茶番劇

ウォール街の茶番劇

こうして米国でイベントがある度に、日本市場が引けてからCFDが思い切り買われて大きく上昇してゆくことが、今年何度あったろうか。雇用統計にしてもFOMCにしても、はたまた他の経済指標にしても、事前には内容が漏れることはないはず(と信じたい)だが、まるで結果が分かっているような買い方をしてくる不思議。

その根本には大きなサプライズがない限り、株価を上昇させるか下落させるかというのは、ウォール街のコンセンサス通りということなのだろう。彼らが上昇させると言えばまずCFDでGUさせておく。逆に下落させると言えば、大幅GDで嫌気を誘う。けれども資金量に物を言わせて投資行動をとれば、結果はどうにでもなるというものだ。

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それが、金融相場という意味なのだろう。少なくとも自分はそう理解している。

今夜の注目(材料)はもちろんFOMCで、「国債・モーゲージ債ともに買い入れ額を即日減額」「半年で債券買い入れの終了を目指す」くらいの最大級サプライズがない限り、なんだかんだと理由を付けて株価を引き上げるだろう。

こうした行為はもちろん今のシステムでは規制のしようがないし、そうしたことを安易に可能にしているのが、無尽蔵的に行われてきたFRBの債券買い入れだと思う。ほぼセロ金利で無尽蔵に通貨供給を行っている株式市場なのだから、こうなってもしかたないとは思う。

しかし、こうしたことにどこか矛盾を感じるのは俺だけだろうか?

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というわけで、ここ数日悪材料視されてきた中国恒大集団の破綻危機であるけれど、23日の人民元建て社債の利払いをすると発表して、なにやら一件落着したようなムードになった後場からの日本市場は、引け後になると日経CFDで俄然大幅上昇となって、▲¥200をほぼ消し去った。がしかし、常に思い通りに相場を操作しているウォール街が、いくら金融相場とはいえ、慌てる場面もたまにはないと、疑われるよね。

それに恒大集団の年内利払いは次のような日程と金額で控えているらしい。

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で、今日の前場に急騰したのは、この赤の楕円で囲ったドル建て社債の利払い91億円も実行すると恒大が発表したから。あと3カ月余りは手持ち資産を処分すれば、やる気があるなら利払いは十分にできると思う。けれど、年が明けるといよいよ社債の償還が始まるわけで、それはほぼ不可能だろう。

つまり、恒大集団のリスク一つとっても何も解決していないどころか、これから日々悪化するのだ。さて、恒大集団以上に資金に詰まってる不動産ディベは何社もあると言われていて、中堅クラスでも破綻すれば1兆円、2兆円の債務不履行になるわけで、そうなると中国の不動産リスクは、ますます厳しくなってゆく。

 

だからこそ、FRBはテーパリングを急がないというのが、今夜のウォール街の主張らしい。それはそれでとんだ茶番であることに変わりはないが・・・。