ウクライナ軍必死の抵抗!キエフを守り切れる可能性も

ウクライナ軍必死の抵抗!キエフを守り切れる可能性も

主要メディアはロシア、タス通信の影響を大きく受けてるのか、ロシアによるウクライナ侵攻はロシア軍有利で首都キエフは陥落寸前という論調の物ばかりだった。昨夜の株式市場は米国ダウが$834の上昇で、これについてブルームバーグはウクライナとロシアの停戦交渉を好感、としていたが実際にはその時点ではプーチンの一方的なメッセージだけだった。要するにウクライナが非武装化し、ゼレンスキーが政権を渡すなら停戦してやる、みたな要求にたいしてウクライナ政府は反応していなかった。

次にブルームバーグが理由としたのは、ウクライナ情勢でFRBの利上げが下火に成るというもの。例えば3月に0.500Pの利上げから0.250Pになれば市場は歓迎するというもの。しかしこれも、???だろう。なぜならウクライナ情勢でますますインフレは加速するだろうから。じゃ、なぜ株式市場はこうも大幅に上昇をしたのか?と考えてみると理由は二つあると思う。

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一つは1月の個人消費支出が前月比でコンセンサス0.8%のところ、発表は1.6%と大幅に伸び、1月耐久財受注もまた前月比でコンセンサスが0.4%のところ発表が0.7%と悪くない数字になったこと。これはインフレ高止まりという状況を考えると、やはり凄い数字と言わざるを得ない。米国経済は消費が厳しいという数字が出ている最中での発表で、サプライズ感がかなりあったと思われる。

そしてもう一つは、ウクライナ軍の奮闘で、ロシア軍がかなり苦戦しているということが徐々に分かり始めたから。ロシアへの制裁に関しては米国(バイデン)の腰が引け捲る中、英国ジョンソン、ドイツ・ショルツ、フランス・マクロンが厳しい口調で新たな制裁と非難を続けている。英国は全面的にロシアのシティでの取引を停止するとともに、英国領のロシア資産を片っ端から凍結するとし、なおかつプーチンやラブロフの個人資産にまで言及した。またマクロンはプーチンに直接電話を入れて真っ向から非難した。そしてショルツは「NATOを舐めるなよ!」と穏やかな口調で言い放った。勿論NATOはウクライナ軍に対してポーランド国境から大量の武器援助を行っている。

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そうした状況下でゼレンスキーは米国を非難するとともに、かなり強気でウクライナを守り抜くと宣言する動画をキエフ市内で撮影して投降してる。つまり、キエフ郊外では両軍の戦闘があったものの、キエフにはいまだにロシア軍が入ることはできていないし、主要道路などではウクライナ軍は徹底抗戦しているということだ。ロシア軍の空挺部隊は空港占拠に失敗し、郊外の森に敗走した。さらに今後はウクライナ軍はキエフの守りを固めてロシア地上軍を排除する作戦だと英国情報部は伝え、ロシアの初期作戦は失敗したと断じた。

こうした状況が伝えられて株式市場はウクライナ軍がロシアの侵攻を死守するかもしれないという思惑が働いたことも大きな要因であることは、間違いない。そして米国市場の大引け後、ウクライナ政府はロシア政府に反応し停戦交渉を始めたということが伝えられたわけだ。

現在ウクライナは朝の4時で、まだ具体的な動きはなく、日本時間で午後になると新たな局面となる。そこで大きなカギを握るのは、優勢とは言い難く苦戦をしているプーチンと、欧州に出遅れているバイデンだと思う。

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プーチンは、停戦交渉となればウクライナの非武装化と政権交代を要求するだろうから、たとえ交渉が実現してもまとまるはずもなく、したがってさらなる強硬手段に出る可能性が濃厚。一方のバイデンは、先のアフガン撤収でチキンぶりをいかんなく世界に見せつけ、国内の支持率の大幅低下を招いたが、今回の欧州に先を越され、SWIFT除外の同意も出来ないとなると、さらに世界中にチキンを晒すことに成り、当然今年の中間選挙は惨敗するだろう。そうした圧力がいま大きくかかっている最中で、少なくとも欧州各国よりも厳しい制裁を打ち出さないと、米国民さえ納得しないだろう。

米国ははっきり言って核大国・軍事大国でありながら核アレルギーに陥っている。オバマ大統領が核軍縮演説でノーベル平和賞を受賞して以来、核保有国に対する対応は弱腰の一途。そのことがイランや北朝鮮の核開発を助長してしまったわけだが、すでに核保有国となった北朝鮮には強硬な態度は取れないだろうし、来週にも核合意で復帰するとみられるイランも、現在核兵器開発は3ヵ月で出来るという水準にまで達してしまった。

そうした経緯のなか、米国がまともにロシアを構えることなどできるはずもないし、それをいまやロシアのみならず中国も十分に熟知しているわけで、今回のバイデンにロシアに対する追加制裁は中途半端だと、米国の落日は明瞭になってしまうだろう。ロシア産アルミや原油を制裁の対象とはしない、SWIFT除外も嫌だ、などと眠たいことを言ってる暇はない。

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そこで個人的にはウクライナ軍に頑張ってキエフを死守して欲しいけれど、劣勢に立たされた時プーチンがどんな行動に出るかが非常に怖い。元来軍事力は圧倒的に有利なロシアが負ける、失敗するということを許すはずがないわけで、そうなると飛び道具(ミサイル)を使って無差別に攻撃するとか、場合によってはチェルノブイリ地区で核爆発を起こして脅迫するとか、何でもありかもしれない。

株式市場はこの2日間に大幅な戻り相場を演じたわけだが、気が付くとFOMCカウントダウンの3月が目前で、なおかつウクライナ情勢は一段と緊迫の度を増していて、SWIFT除外となればロシアと関係のある企業は大いに影響を受けるし、なおかつ原油と天然ガスでロシアが商売できなくなる可能性も高まる。結局ロシアにとっては現在の旧西側の経済圏から干されることがもっとも怖いのだと思われる。

まだまだ株式市場の先行きが楽観できるじょうたいではないのだと思う。