世界はプーチンの暴挙を決して許さないだろう

世界はプーチンの暴挙を決して許さないだろう

現在、ウクライナとロシアの停戦交渉は続いているのかもしれないね。株式市場は期待を込めて上昇しているといった感じで、焦点はFOMCに移りつつある。米国債10年物金利は2.099pまで上昇し、上昇率は僅かに2年債金利を上回っている。一方コモディティ価格は戦争プレミアムが剥落する方向で推移、注目の原油価格は英国のボリスジョンソン首相がサウジに対し増産するよう説得していて、そのためにサウジを今週訪問すると伝えられた。停戦期待のプレミアム剥落から一旦は$102.40から$105.30まで戻したWTI原油だが、このニュースで再び下落し$101.70を見た格好。

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金、銀、銅、プラチナ、パラジウムといった非鉄金属がさげ、特にパラジウムは▲15.70%と大幅下落になっているし、コーン、大豆、小麦と言った穀物も軟調である。

ロシアのウクライナ侵攻が開始されて以来、外交的、政治的な意味合いは重要だったのだろうけど、米国政府はインテリジェンス機関からの本来国家機密に類するロシアに関する情報を、惜しげもなく開示し、プーチン大統領を牽制した。だがその影響を株式市場や商品市場はダイレクトに受ける結果となり、ボラティリティは急増、乱高下の様相と呈している。

利上げプロセスに入る株式市場、債券市場を尻目に、資金はコモディティへと流れ込んで、市況は過熱した。それが各国のインフレ基調に拍車をかけて、極めて厳しい経済状況を引き起こした。小売段階での物価上昇は遅行的でるとともに、在庫が回転するまでは継続するわけで、2022年の春から秋にかけては消費は厳しい状況に置かれることが決定的となっているが、少なくともウクライナーロシアの停戦が実現すれば、投機ポジションが解消されるから、コスト高は落ち着く方向へ向かう。

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そういう意味では、今後の金融政策にも関わる、極めて重要な意味合いの停戦協議と言えると思うが、少なくとも人道的な意味合いからこれ以上の無駄な血を流すことのないように、世界中が祈っていると思う。

しかし、この無益な侵略戦争のために、ロシア経済はほぼ確実に破綻・崩壊へと向かうことになる。今回のウクライナ侵略は、傍目にはまったく大義のないものであり、その目的さえも非常に分りずらいという極めて奇異な戦争だと思う。これまでいろいろ考察して書いてはきたものの、プーチン大統領にトリガーを引かせた理由はいまだにはっきりとは分らない。

ロシアは資本主義に移行して以来、とうとう資源関連以外の産業が育つことはなかったし、そういう意味では中東の産油国と同じ立ち位置にある。だが産油国とて掘削技術や精製技術等西側の技術と投資に依存しなければ、立ち行かないのは確実で、そこに地球温暖化防止という環境問題で脱化石エネが急速に広まりつつある状況で、焦りを感じるのは無理もないこと。資源で獲得した資金で国家を運営している状況が、此の先どう変化するか分からない不安もあるだろう。

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だがプーチンは、代替産業を模索・育成することよりも、国力増強のための領土拡大を志向した。少なくとも傍目にはそう理解する以外に今回の侵略戦争の理由付けは出来ないと思う。

けれども、21世紀の今になって、侵略という手段で他国を蹂躙することなど、理由の如何を問わず許される行為ではないし、たとえ停戦・戦争終結となってもロシアは二度と以前の地位に復帰することはない。同様にプーチン大統領自身も二度と外交の場に登場することは出来ないと思う。

というわけで、停戦交渉はどうなるのか定かではないものの、ロシアとてここで妥協しなければ国家存続さえ危ぶまれる状況であることは十分に理解しているはずである。何の成果もありませんでした、ということは助教が許さない段階にきていると思う。なので株式市場がそうであるように、すでに戦争から今後の経済政策と景気動向へと焦点は移ったと思う。

停戦協議が進展を見せれば、原油は今夜$95くらいまでありそうだ。