墜落カウントダウンに突入している日本経済!

墜落カウントダウンに突入している日本経済!

いま、日本経済は最悪の状況に突入していると思う。そしていつまでもGDP第三位の経済大国のつもりで、他国を援助している場合ではない。そもそも、未曾有の危機に瀕している国内経済をどうにもできないのに、他国に大盤振る舞いをして悦に入る馬鹿政治家(首相・外相)や自国通貨の価値を毀損することを良しとする中銀(黒田総裁)の存在とそれを後押しする外務省・財務省という思い込みの激しい官僚機構の誘導で、日本経済は高度10000メートルでエンジンが止まった旅客機のように、惰性と重力の吊りあう方向に向かっているだけ。彼らは空気抵抗のある大気圏では、放物線を描いて落下することさえ知らないパイロットのようだ。

パイロットと言えば(個人的に真っ先に)思い出すのは1985年8月の日航ジャンボ機123便の墜落事故で、機体に異変が起きたときから墜落までのボイスレコーダが公開されているから、その生々しいコックピットのやり取りを聴いてショックを受けたことを思い出す。原因は公式には「後部圧力隔壁の破損による垂直尾翼の破壊と油圧系統へのダメージによるコントロールの喪失」ということになっていて、諸説はあるにしても結果的に機長以下スタッフはエンジンの推力だけに頼った機体操縦を余儀なくされた。

けれども、コックピットでは最後の最後まで必死の努力が行われていたことが良く分かる。水平・垂直尾翼、フラップやラダーと言った機体を空中に留めておくための操縦系が全滅し、なお機体を維持するためにはエンジンの推力だけが頼りという絶体絶命の状況で、最後まで人間性を失いことなくなんとか機体をコントロールしようと試みたスタッフの皆さんのご冥福を今も時折お祈りしていますが、今の日本経済という落ち行く機体をコントロールしている機長や副操縦士は・・・まともに、真剣に、日本経済を立て直そうと思ってるとは、(少なくとも自分には)感じられない。

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123便の乗客の皆さんは、ベテラン機長(飛行時間12.423時間)以下スタッフの必死の努力で、事故発生から約33分間という時間を持てたことは貴重だった。死への恐怖と闘いながらもある乗客は遺書をしたため、またある乗客は今までの人生に思いをはせ、同乗者を抱きしめることが出来たし、最後まで諦めない操縦によって奇跡的に4名もの人が生存出来た。

けれども今の日本国民はどうだろう?

政治制度だから仕方ないとは言え、最終的に保身しかないような政治家によって派閥理論で選出され、経済に対する見識が乏しい首相や自国通貨安をプラスと言ってのける、本来の中央銀行の役割を全く無視した総裁が操縦する日本経済という機体に安心して乗っていられるのか?成長しない経済、伸びない賃金、容赦なく降り注ぐ物価上昇と増税、格差拡大と貧困層の増大による社会生活不安・・・。甘やかされ、ゾンビのようになった中小企業や非正規増大と円安が頼りの大企業、保身と既得権を死守しようとする公務員・・・。そうした数々の機体損傷を知りつつも、すでに40年近く放置して飛行を続ける日本経済という機体の乗客なのだ。

まして今回のウクライナを目の当たりにして、無防備でいることの無謀さを感じつつ、それでも他国の侵攻に対し準備することもなく、自然災害国家であるといいつつ根本的な対策をしないという不条理の中に生きている。

そんな状況でいつまでも飛んでいられるはずがないと思うのは、自分だけだろうか?

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国内経済を立て直そうとしない首相

新・資本主義とかいう意味不明の経済政策を真顔で打ち出したはいいが、「経済成長のためには分配を優先」と言ってのけて、ひんしゅくを買いつつも、ことあるごとに「ばら撒き」をしようとしてしまう首相。「株主優遇の企業姿勢に問題あり」として「自社株買いの規制案」「業績の四半期開示不要論」を持ち出そうとして呆れられた首相。そして「金融所得税増税案」を持ち出してキャピタルゲインや銀行金利にまで課税強化するという意図不明の政策をやる気満々、とあっては、新・資本主義とは社会主義化、共産主義化、と解釈されても反論の余地なし。もともと共産主義の主張とは富の公平な分配の実現であったわけだが、一部の指導層に富を集中させる手段であったことは火を見るよりも明らか。

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中国共産党指導部や共産党員と一般国民の所得格差・財産格差はあり得ないレベルであって、それをインバウンド需要と称し日本でお買い物をしていただこうという物乞い経済を推進した政治家たちは本当に情けない。共産党員であると言うだけで、来日して数百万もの買い物をする(中国の)若者がいる一方、生活も仕事もままならぬ(日本の)若者があふれている状況を、問題視しない政治家たち。

他国への軍事侵攻を繰り返し国民を疲弊させているにもかかわらず、世界一と称される財産をもつ国家指導者を生んでいるのも共産主義的な社会制度なのだ。そしてそういう指導者に限って公平な分配、国力の強化、という甘言をやたらと使いたがる。

そうした経済制度を岸田首相は目指しているわけではないだろう?

そんなことよりも、国相経済を立て直す具体的な政策を示す必要があるのではないか?と思う。他国の領土拡張や権益の一方的取得を防止し日本の国益を守るための軍備の強化と国産化、近年日本の領海内において発見されている原油や海底熱水鉱床のレアメタルや貴金属当の海洋資源の積極開発に投資することは必須の政策であり、十分に日本経済を活性化させ、夢を与え、投資マインドを鼓舞出来る。技術立国というのであれば、すぐに企業に補助金を、というのではなく、投資する環境整備やマインドづくりをするべきなのに、まるきり正反対の政策を打ち出す愚かさは見るに堪えない。

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景気浮揚策はいくらでも考えうる。例えば国家が保有する不動産を放出し、国内企業に応札させる。信じられないと思うが、企業の内部留保とすぐにでも放出手続きに入れる国家資産は吊りあっているのだ。いくら売却しても先進国政府の中で最も保有資産がある政府という図式は変化しないのだ。そうしたアイディアさえも出てこない政府に国民が期待できるはずがない。

少なくとも、都度岸田批判を繰り返している理由はまさに、こうした点にある。

岸田首相は経済をまるきり知らないし、理解しようともしない。財政均衡論を延々に主張する財務省の言いなりと言われても文句は得ないはずである。

自国通貨価値を低下させる中銀総裁

2013年4月、当時の安倍首相にヤレ!と言われたから「異次元金融緩和」と称した政策を日本銀行黒田総裁は実行に移した。目標はCPI2.0%に1年以内の達成であったわけだが、以来9年間もの間、一度も達成することなく日本経済は推移してきた。黒田総裁は政策発表時「不退転の決意だ」としたが、何年たってもいくら追加で金融緩和をしても達成できず、いつしか日本の経済界、メディアの追及も止まってしまった。

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金融政策を預かる中銀の長として、目標達成できない場合は責任を取って後任にゆだねるというのが、日本経済の運営にプライドを持つ総裁の取るべき道なのは明白だが、彼はそうすることはなかった。金融政策決定会合ごとに様々な言い訳を用意していたし、新たな達成目標期限を発表するでもなかった。それどころか経済を取り巻く環境がそうさせたと言い切った。

ということは、有体に考えて、日銀は金融政策で日本経済に対し何の影響も与えることが出来ない、いわば無力な存在と言うことになるし、そんな言い訳は海外では絶対に通用しない。でいなければ少なくとも議会で糾弾されることになるからだ。

確かに日銀は、本来タブー視されていた実質的な日本国債の引き受けや、マーケットでのETFの買いを通じて莫大な金融緩和を実施してきたし、セロ金利政策と名目だけのマイナス金利政策(当座に特別付利で相殺)にも踏み込んだ。

しかし一方で政権は財政出動拡大のトーンは財務省によってかき消され、消費税増税で金融緩和効果のほぼすべてを打ち消して見せた。一連のこうした政策は財務省のいわばマッチポンプなのだ。政府は赤字国債を増刷し予算を確保する必要があるし、日銀は市中かたほぼ無制限に国債購入をすればどうなるか?政府はゼロ金利化で超低金利に借金をして、日銀は大量に高い金利の国債を買って、政府に対して利払いをする(国庫返納)。BS上ではほぼ±ゼロで予算を確保できるという会計上の裏技でもある。

しかし財務省は一貫して日銀との連結決算を拒み、増加し続ける政府債務だけを強調して危機感を煽り、消費税を増税し、景気対策のために特別控除を廃止しまくった。結果として、日本経済は金融緩和効果を享受できずにCPI2.0%は未達成になってしまったという財務省の不遜極まりない演出だ。

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それを財務省出身の黒田総裁は十分に知りつつ、金融緩和効果を演出するために株式市場でETFを買いまくり、株価を押し上げることには成功し、米国がインフレ懸念から利上げ利上げ期に突入していながら、輸出企業利益保持のために一段の円安誘導を繰り出した。それが「円安は(日本経済にとって)総合的にプラス」という3月の金融政策決定会合後の発言につながったわけだ。

しかし円安誘導の理由は本来そこにはない。つまりプライマリーバランスを主張する財務省の方針に従って利払いを増やしたくないとう理由が見え隠れする。そのために日銀は自国通貨安を意図的に演出するという最大のタブーを、この世界の状況のなかで堂々とやってのけた。その結果日本国債の10年物金利は急上昇したわけだが、それとて今度は指値オペを繰り出して上限0.250%を死守すると言い出した。

いままで日銀の主張するイールドカーブコントロールという金融政策はすでに破綻しているにも関わらず、インフレが進行しつつある中で実質的な追加金融緩和政策へと踏み込んでしまったわけだ。

大多数の国民が現状で物価上昇は容認できないはずで、敢えてそうするということはつまり、政治と金融当局が一体となって国民を苦しめる政策に等しいわけで、それを財務省が主導しているのは確実なのだ。

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海外投資家が見る日本経済

需給で値幅を狙う投機筋は別にしても、分析力の優れた海外投資家や投資銀行は、新型コロナからの回復期や岸田政権誕生の一時期には期待を込めて日本株を買い越した。菅首相退陣発表で株価を買い上げ、岸田首相当選の直後に売ったのは、短期筋の仕業だろう。しかし、海外投資家は岸田首相の政策に期待を込めて昨年の10月には買い越に転じる場面もあった。

だが岸田首相の口を突いて出てくる意味不明の経済政策に対し、嘲笑するかのように11月以降売りに転じたわけで、以来一貫して今でも売り姿勢は変わらない。この3月に日本株は急騰を見せたが、買ったのはGPIFの円安によるリバランス買いであって、海外勢は売り越している。

それが何を意味するか?と十分に考えないといけないと思う。

海外勢は岸田首相の極めて社会主義的で論理性のない経済政策に失望し、先月の日銀の円安容認姿勢と、信じられない金融緩和姿勢で、完全に日本経済を見限ったと思う。

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一体日本はこのインフレの時期に何を考えているんだ!?という気持ちが3月全週売り越し、という投資行動に現れていると思う。彼らは高配当の権利も取らずに3月に日本株を売り越したのだから・・・。しかも今後続くと予想される円安によってドル建て株価は大きく棄損しかねない。大きな資金を入れていてもパフォーマンスが出ないのなら、意味がないと海外勢は合理的に考えるだけでなく、岸田政権によって金融所得が増税されたのではたまったものではない。実際、海外勢の投資行動は正しいと感じていて、今後もこの売り越しは容易には止まらない状況が待っていると思う。

いよいよ4月からは日本の値上げラッシュの到来で、この値上げは日本の場合長く尾を引く問題になる。と同時に、政府と日銀、財務省によってダッチロール状態に陥っている日本経済自体が、このままの状況では立ち直れないほどに急落してしまう。それでもそれを意識出来ないとすると、ロシアどころか日本がクラッシュしてしまうこともあり得ると思う。

今の政権、中銀、そして財務省の姿勢は、油圧系統を全喪失した日航123便と同じである。