ウクライナ問題と株式投資

ウクライナ問題と株式投資

ようやくパソコンが元の状態に復帰したというか、こんな個人のパソコンシステムであっても、一旦バランスが崩れてしまうと、どうして他もいろいろと(不具合が)出てくるのだろう?と不思議だけどね。仕舞いには音声も出なくなってきて、その復旧に時間がかかったというお粗末さ。セキュリティソフトも多数導入しているからその辺の整合性も崩れるのかな?と思ったり。

セキュリティの報告を見てみると、なんか不正悪アクセスの数にビックリするよね。いまのサイバー空間っても半端なく荒れてるんだ?と思ったけれどね。でも、どうすることも出来ないんだろうねぇ・・・。

現実世界にもサイバーにも警察がいない!?

北朝鮮がビットコインを700億円以上略奪した、というニュースも出てたけれど、だったらその罪を問えるのか?というと、現実問題としては国境を越えたらそれも難しいらしい・・・。

リアルな社会では、各国の国内法で少なくともある程度犯罪は取り締まれるけれど、これがネット空間になると国内法の適応範囲でも途端に敷居が高くなってくる。特に日本では目を覆うような状況だ、と日頃から思っていたけれど・・・。

でも考えてみると国境を越えてしまうと国際法の議論はあるものの、現実にはやりたい放題で、それを抑止する手段がないのも事実。それを端的に見せてくれるのが今回のウクライナ問題(戦争)だと思うわけだよ。しかも、いろいろ聞いていると今回の紛争の鍵は、どうやら情報戦のウエイトが6割、7割を占めてると言うことだから、これは(現行の体勢では)手に負えない事態なんだろうと。

サイバー戦争という点では、ロシア、中国、米国、そしてイスラエル辺りは圧倒してる(圧倒的に強い)らしいけれど。例えば、ウクライナはトルコから無人機と運用システムを購入してて、それが大変に戦禍をあげてるらしいけれど、これなんかも情報空間が無いと運用も出来ない。ところが、早期に破壊されつつあったウクライナの情報空間をイーロン・マスクが自社のスターリンクという衛星回線を供与したことで、ネットがずっと生きている。

結局それが鍵になってて、NATOや米国の情報供与でロシア軍の動きが丸裸にされてしまって、反抗で来てるらしい。対してロシア軍はなんか旧式な戦い方をやってて、これは一般人を巻き込むから、非難されるよね。しかも当事国(ロシア・ウクライナ)やNATO・米国も様々な情報戦を繰り広げていて、何が真実だか分からなくなってきてる。こうなってくると、実際に軍隊が衝突して悲惨な状況になっているうえに、情報戦でもプロパガンダ戦でも、何が何だか分からなくなってきてるよねぇ・・・。

ってことは、米国が世界の警察の役割を放棄したような感じなので、現実世界にもサイバー空間にも、今の世界に警察はないんだな、思わざるを得ないね。

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莫大な利益、という事実

21世紀になっても世界中で紛争や戦争が一向になくならない理由を、あれこれ様々な立場の人が地上波やネットで議論しているけれど・・・。歴史やナショナリズム、国益、集団安全保障(軍事バランス)、権益、人権問題、等々様々な立場の人が様々な見方をするというのは、ある意味健全ではあると思うけれど、少なくとも日本政府は「ロシアが悪」という立場をとってるし、大手メディアも同調してる。今回のウクライナ問題で白黒つけるとすれば、圧倒的にロシア(プーチン)が黒と言ってる。

でも健全というならば、ウクライナ側の問題も指摘しないといけないし・・・、たとえばウクライナの情勢ははっきり言って内戦状態であったわけで、それは親ロシア政権をマイダン革命によって打倒したり、今度はその政権はウクライナでロシア語を禁止したりね、なんか無茶苦茶やったのも事実。だってウクライナって半数の国民はロシア語を話してるのにね。

戦争になるからと、ドイツ・メルケル首相が音頭をとってミンスク合意でウクライナ東部の内戦を止めようとしたけれど、これは政権も東部親ロシア派も双方が全く守らなかった。政権側には欧米が、親ロシア派にはロシアが武器援助して、とにかく内戦を煽ったんだよね。Vシネマで言えば、地方の組の喧嘩に対立する大組織が影で加担する「代理戦争」みたいなものだ。

じゃ何のために悲惨な殺し合いをしてるのか?もっというと何故紛争や戦争が無くならないのか?と言えば、弱小個人投資家という視点でなくても、軍事産業の莫大な利益のため、資源国家の莫大な利益のため、という結論がもっとも正しいかもしれない。

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ロシアと米国の立場

歴史的な経緯では1991年12月25日にソ連は崩壊した。それ以前の1989年に始まった東欧革命で東欧諸国の共産主義が崩壊し、それに伴って1991年に対NATO向けの軍事機構であったワルシャワ条約機構が崩壊した。

ってことは、少なくとも1992年時点では、冷戦が終結し(たとみなされ)対ソ連のNATOも存在意義を失ったはずなんだけど・・・、NATOは拡大を続けたんだよね。現在まで世界で核軍縮の機運が高まったこともあったけれど、NATOという組織は東方に拡大を続けたわけだよ。ということは、NATOはロシアを仮想敵国とする立場を堅持し続けたわけだ。

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プーチンも大統領に就任してから当初はNATOを敵とみなしても意味がないと公言し、完全に公平な関係ならばNATOに加盟したいとも言っていた。けれどNATOはこれを事実上拒否したという経緯がある。その後(IMFの指導もあって)ソ連崩壊から自由主義経済への転換に対し、急激な市場開放によってロシア経済は海外企業の草刈り場と化して一部のオリガルヒの膨張と、国民生活の疲弊を招いたことが、プーチンの政治姿勢を徐々に強硬にしたのも事実だ。

次第に閉鎖的な政策と軍事力を背景にした旧体制への回帰、そして天然ガスや原油を背景にした欧州戦略によって、国内景気は持ち直したものの同時により独裁色を強化していった。

反面、ロシアの市場開放に思うような成果が得られなかった米国は、トランプ大統領の共和党政権下の一時期を除き、一貫してロシアと向かい合っていた。OPECに翻弄されていた米国は、平和維持軍の大義のもとにイラク侵攻で同国内の大半の石油権益を奪取したものの、そうした姿勢にロシアはシリアやアフガニスタンで対抗し、さらにグルジア侵攻、クリミア侵攻で対抗しようとした。

米国もまた9.11をきっかけに対テロ作戦という大義でこれに対抗し、結局のところ21世紀の世界から紛争が絶えることはなかったわけだが、米ソ両国のそうした背景には必ず軍需産業やエネルギー産業の利権というのが絡んでいることは明らかだ。そしてバイデンがシェール産業を否定し、アフガニスタンから電撃撤退をして、いよいよ米国内の世論が厳しく批判したのを受けて、実にタイミングよくウクライナ戦争が始まったのだ。



冷戦の再来は決定的!?

ロシアは中国の支援を受けていることはほぼ間違いないと推測できるものの、今後はさらに親中国の姿勢を強めるだろう。そして今後爆発的なエネルギー需要増が確実なインドもまた、ロシア資源の需要国になる。さらに反米国家もまた世界中に少なからず存在し、中国の途上国戦略と相まって、中国、ロシア、インドを基軸とする経済圏は何やら確実に生まれそうな気配がある。

西側経済圏では現在、未曾有の金融緩和の悪影響でインフレが急伸しているけれど、この最大の被害者は恐らく通貨安に見舞われている新興国、途上国だろうし、現にスリランカは先日デフォルトした。つまり、米国は常に自身の戦略的な都合で、エネルギー価格や今度は穀物相場を支配しようと目論んでいるということだ。

けれども欧州は化石燃料依存を脱却しようともがき、原油や天然ガス価格の高騰で原発回帰論が高まるだろうし、需給関係が変化するとOPECも原油価格維持は困難になる。元来原油や天然ガスの埋蔵量はほぼ無限と言ってもいい状況で、それを(地球温暖化対策の名のもとに)再投資を防止することで価格を維持しているわけだから・・・。

世界中が太陽光パネルに覆われ、世界中の沿岸がプロペラに覆われることは、極めて非現実的なエネ対策だと気づくかもしれない。それでは爆増する電力需要は到底賄えない。ドイツは急遽原発稼働に舵を切った。

現在は経済の結びつきを無視して政治的な冷戦構造が生まれると考えるのは早計かもしれないが、公平・中立に見ても、中国-ロシアーインドを核にした経済圏は圧倒的だ。そうなると冷戦構造止む無しとする米国の政策は極めて危険であることは確かだと思う。

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米国市場の行く末

確実なことは、これ以上インフレが高伸したり高止まりするようであれば、西側経済圏や途上国、新興国は極めて深刻な事態に直面することになると思う。米国の例で言えば、PPIの急伸で企業の賃上げは確実に鈍る。しかも金融緩和とゼロ金利で膨れ上がった企業・個人のファイナンスは利上げとともに極めて厳しい状況に陥るのは必至の情勢だ。

経済は常に状況の変化に対応しようと動くのだが、積み上げてしまった低金利の膨大なファイナンスに対策するのは極めて時間がかかるのは、日本の例を見れば明らかだと思う。一例をあげると、すでに米国の個人消費に置いて住宅、中古車の価格は低下をはじめていて、これが3月インフレピーク説の裏付けとなっている(現時点で米国の住宅ローン金利は5%を超えてきた)。一方自動車の新車売り上げが伸びているのは、低金利を据え置いていることが非常に大きいわけだが、同時にそれは自動車メーカーの収益を圧迫する要因となる。

そうした将来の景気悪化懸念を徐々に織り込む始めていることが、今の株価の位置の裏付けとなっているわけだが、そうした状況を考えると、現在の国際紛争への対応は経済にとっては明らかに「過ち」であると同時に、現時点でFRBに必要な政策は、利上げよりもQTを推進することかもしれないと思う(現に黒田日銀はやっている!)。

企業業績の悪化は覚悟するとしても、出来るだけファイナンス面での影響を避ける政策が、恐らく最も有効なのではないか?業績が伸びず株価は下落するとしても財務面での毀損を抑えることが如何に大事かは、日本人であれば薄々感じていることなのかもしれない。

いずれにしても、米国はここから2年、または3年に渡って利上げとQTを継続することになる。

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日本市場の行方

株式市場の見方として「今の日本株は割安」とアナリストや評論家は異口同音に評価する。個人的にはこの状況が最も大怪我をいやすい危険な時期であると感じている。なぜなら景気が悪化し始めると予測されるポイントというのは、相対的にPERは低くなるものだからだ。

PERが低いということは「買い」という理屈は間違っていないのかもしれないけれど、こんな時は個人的には「PERが低くなっている理由」に着目すべきだと思う。恐らく経験則からしてもPERが安値放置されている銘柄の買いで勝ったことはほぼないと言ってもいい。もちろん、そんな銘柄には飛びついてみるけれど、ことごとく失敗してきた。

同時に今、なぜ日経平均が、PER13を境にして上下動するのか?ということをよく考える必要があると思う。先週の日経平均はユニクロの好決算の影響も限定的でEPS¥2,085と僅かな上昇にとどまった。故にPERは引け値で12.99となった。一方PBRは安いとは言え、3月初めの1.10近辺から先週末時点で1.21まで上昇している。しかし現時点での上値はPBR1.25辺りと思われるので、上昇余地は¥1,000あまりと計算できる。

そうしたポジションで決算発表を迎えるわけだが、もちろん予想EPSは上昇するだろうけど、予想EPSが下落することが予想でき、結局のところ決算を過ぎても日本株の下落傾向は止まらないかもしれない。その間にFRBの利上げとQT開始のアナウンスがある。

その上で、世界情勢の急激な変化に対して、日本株がどうなってゆくのか、予想しなければならないわけで・・・こんな時に「日本株買い」で勝てる確率は低いと思うけれど・・・。