米国市場の勘違い

米国市場の勘違い

週末の米国市場は大暴落!

ダウ $32,977(▲$939、▲2.77%)
NASDAQ 12,334p(▲536p、▲4.47%)
S&P500 4,131p(▲155p、▲3.63%)

特にNASDAQは指数が4.47%下落するって、これは凄いよね。加えてSOX▲4.17%、VIX34.34(△11.37)ということで、完全に暴落モード入りってことになった。

けれども、ちょっと米国市場は勘違いしてると思うんだよね。ポイントは企業業績云々じゃない気がするのよ。確かにGAFAMに陰りが見えたから、こんな暴落になったというのは、その通りだと思うけれど、業績が怪しくなってきたから今度は利上げを意識する、みたいな相場の流れは絶対に間違ってる。

ブルームバーグには米国市場が6月の利上げ0.750pを半数織り込んでる、みたいな記事が掲載されてるけれど、賃金上昇圧力が急増してインフレがますます・・・という理屈で、FRBがさらに厳しい政策を出す、という流れだと解説してる。

インフレが8.5pで、今後も高止まりする可能性が高いとなると、実際には0.500pでも0.750pでもほとんど変わらないくらい、インフレ抑制効果はないよね。問題は、ゼロ金利資金ジャブジャブで商売して、絶好調という経済環境がすべての元凶だという事じゃないの?何度も書くけれど、とにかく先月(3月)まで金融緩和してたんだからね。それで、インフレが止まらない!と大騒ぎしてるFRBってどうなんだ?ということ。

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でもそんなことはFRBも十分に分ってて、明らかに金融政策をしくじったということも自覚していて、さらに金利を上げてもすぐにはどうこうならないことも知っている。金利をあげて効果が出るのは不動産と中古車くらい?でも賃料は下がらないし、厳しさは続くよね。

だから手っ取り早く効果的にインフレを鎮めるためには・・・とにかく消費を抑制するしかない!そのためにはどうなるのが一番効果的か?ってなると、それは米国の場合は個人資産の下落圧力を掛ける、それしかない。

というわけで、FRBはまず株式市場を利上げ攻撃して暴落させる。でもそれだけでは全く不十分で、膨れ上がったFRBのバランスシートを圧縮して市場から資金を引き上げることにした。それが今回の大本命である6月からのQT開始だよ。

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このグラフは使いまわしだけどね、FRBの金融緩和の推移。過去に2018年から金融政策の正常化を狙って利上げとQTを始めたけれど、株価が下落してきて米中貿易戦争の最中の当時のトランプ大統領が激怒!そこから再度利下げとQEに舵を切った。そこに新型コロナが降ってわいて、FRBは一気に資産倍増なるくらいジャブジャブの資金供給をした。

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これを企業は投資のチャンスと認識したんだよね。一時的にはコロナ禍で大きく落ち込むけれど、FRBがそれだけ資金供給するなら消費は落ちないだろうという見方。それが当たってコロナ禍でも大いに業績を伸ばした企業も出た。一方で財務負担か拡大してなかなか業績が戻らない企業もあるけれど、徐々に回復しつつある。そこにインフレという最強の敵が出現したということ。

インフレにはワクチンもないし、時間が経てば、というものでもないから、放置すれば経済は悪化する一方になるし、生活だって苦しくなる。もちろん放置して金融ジャブジャブのままならどんどん加速してやがては大暴落。その時には莫大な債務が残って、立ち直れなくなる。そうならないためには、景気が耐えられるか否かのギリギリの線で、金融引き締めをするしか方法がないし、インフレを何としても抑え込まないと、FRBのアイデンティティは失われるよ。

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なのでFRBにとっては株価の暴落は織り込み済みで、むしろそうなってくれないと困る。でも、FRBの本命はQTだからね。前回は最初は100億ドルからスタートしたけれど、今回はとてもそんな規模じゃ通用しないと思う。3月FOMCではQTは最大950億ドルと言ってたけれど、初回は300億ドル~500億ドルくらいでスタートするんじゃないかな。そうやって予定通りのQTをしても、2年間で上記グラフの赤□の部分しか圧縮できない。

ただ、6月に仮に0.750pもの利上げとQTを同時、と言うことになると、またまた株式市場は大暴落だろうから・・・。いずれにしても今の株式市場は、肝心のQTをもっと織り込まないといけないと思う。何と言っても直接的に市中の資金が圧縮されるわけだから。

しかし、仮に赤□ではインフレを鎮静化できない場合、緑□が問題になるんだろうけど。可能性は十分にあると思う。