日本市場(経済)の不健全さが際立つ!?

日本市場(経済)の不健全さが際立つ!?

またまた昨夜は雇用統計を受けて米国市場は下落したね。昨夜ちょっと書いた通り、結構タイトな数字で出てきてしまったので、こりゃダメだ、と思って諦めた。結果、ダウ▲0.30%、NASDAQ▲1.40%、S&P500▲0.57%となって、NASDAQが大きく下落したのは10年債利回りが3.136%に迫りつつあったという状況からだろうけど。

いずれにしても10年国債金利の上昇にはちょっと危機感あるよね。このまま夏頃までに4%くらいまで行ってしまうと、まず間違いなく株式市場は立ち直れないだろうなぁ・・・なんて考えながら見てて、5%に迫るようならば、完全にリセッションだと思う。今回のリセッション危機というのは巷で言うよに2023年半ば、とか2024年という先の話じゃない気がするし、もっと間近な問題として捉えた方が良い気がする。

具体的には、この夏にはコロナ禍でフラストレーションの溜まってる消費が一巡しちゃうと加速したようにリセッションに向かう可能性があるよ。けれどこれからの金利や株式市場の動向にもよるけれど、6月はさらに厳しくなるし、7月はちょっと耐えられないかもしれないよね。こんな時大きなロングファンドはどういう対策をしてるんだろうねぇ・・・。

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さて、米国市場はとにかく株式市場はFRBへの信頼感というのがかなり薄れてきてて、チャンスとばかり一斉に短期筋は勝負を賭けてきたという感じ。当然繋ぎ売りなんかも出てくるから、下落の勢いが止まらないよねぇ・・・。一方の日本市場だけど、昨夜の日経CFDは耐えきれずに▲¥193と下げた。買い建ててる俺も、大負けするレベルじゃないとは思ってるけど、すっかりヤラレルんだろう。

日本国債10年物金利は昨夜0.252%まで上昇して、指値オペ水準に到達した。買いオペが行われたかどうかは分らないけれど、ドル円は¥130.540で急激に重くなってきてる。いまは状況を伺うかのような持ち合いの局面になってきてるけど、このまま¥135までは行っちゃいそうだね。米国市場はパウエル議長が「6月の0.750%の利上げは議論していない」と発言したにもかかわらず、その後マーケットは6月0.750%利上げを何と87.1%(0.500%利上げは12.9%)と予想値が増加してる!これが、木曜の暴落の直接の原因だったし、昨夜の続落の要因にもなったわけで、当然その影響は来週のドル円にも出てくると思うからね。

で、日本経済が不健全だと思うのは、言うまでもなく日銀の無制限指値オペなんだよね。このところ、日本市場が独歩高になる可能性についてぼちぼちと書いているけれど、そしてその可能性を測るという意味でも、週末に買持して米国市場との比較をしてみようと思ったわけだけど・・・。

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海外勢は結構この無制限指値オペに関していろいろ調べてると思う。日銀が世界の流れに反して何故金融緩和を続けるのか?とか日本ではインフレにならないのか?とかいう視点で詳細に分析してるんだろうね。先日東京都23区の4月CPIが1.9%(前年同月比)と上昇したというニュース。携帯格安料金移行の影響が薄らいだ(それでも22.5%下落)ため、という解説がなされているけれど、それでもエネルギー関連は24.6%上昇。うち都市ガス代は27.6%、電気代は25.8%、ガソリン代は14.3%、穀物価格の値上がりによりスパゲティは16.3%、食パンは8.4%上昇ということで、これは日銀の想定(2023年3月末1.9%上昇)よりも相当に速いペースになってる。

と言うことは、全国CPI(消費者物価指数)も結構上昇するだろうし、日本も昨年の米国のように想定以上の速さで上昇する可能性がある(というか上昇するだろう、と海外勢は考えている)。そうなると、今の日銀の金融政策の妥当性に疑問が涌いてくるだろうし、なぜ金利をあげたくないのか、詳細に検討するはずだ。

もしも、結構な資金力のあるファンドか何かが、日本国債を売り叩いてみようと考えたとする。勿論本気で日本国債を暴落させようというのではなく、例えば膨大な円売りポジションを積んだうえで、または先物やオプションでそうしたポジションを仕掛けたうえで、日本国債10年物金利をほぼ0.250%あたりに張り付けてしまうとどうなるだろうか?日本国債のマーケットはそれほど大きなものではないので、力業でそういうことを目論んだとするならば・・・。

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日銀は0.250%で必ず買いオペを実施してくるという事だろう。保有していても金利が僅かに0.250%以下の日本国債があって、一方には3.000%を超えた米国債がある。普通にごくノーマルに考えたとしても、日本国債売りの米国債買いが今後加速すると思うんだけど・・・。しかも現時点で既に500兆円以上の長期国債(10年以上)と約70兆円の短期国債を保有する日銀がさらに、無制限に買いオペをしたなら・・・簡単に時価評価では債務超過に陥ってしまうわけで、それを海外勢に材料にされてしまったらどうなるか・・・。そのタイミングで格付けを落とされたら今度こそ言い訳が出来ないくなりそうで・・・。

 

日銀が利上げ出来ない理由として、財政負担が増加してしまうこと、個人住宅ローンなど市中金利への悪影響による消費の減少と不況、など様々な理由が挙げられている。けれども、どう贔屓目に見ても、日本政府と日銀の赤字国債のマッチポンプは今後も止まりそうには見えないわけで、これ以上の金融政策手段を日銀は取り様がないと判断されても仕方ない。

今の日銀のYCC(イールド・カーブ・コントロール)と10年国債金利0.250%での無制限指値オペは、広く日本の金融政策の弱点を晒してしまったのではないか?と思う。

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今後、欧米経済は嫌でも不況になる。中銀がそのように仕向けていて、それでインフレを抑制しようという政策に転換しているのだから当然で、そうなると海外大口の資産運用はどこかで強烈なヘッジをしないといけないわけだ。さらに現在はとてつもなく資金ロットが拡大しているわけで、その莫大な運用残高のヘッジはまた莫大にならざるを得ない。そう考えると、ただの妄想と言うには、けっこなリアリティのある想定だと思うんだよ。

FRBとECBがなんだかんだで供給した莫大なベースマネーは欧米の場合は効率よく投資や運用に使われている。日本のように金融緩和した資金が日銀当座に眠っているということはない。彼らはその莫大な投資資産を今後はヘッジし、防衛しなくてはいけないわけで・・・。

そういう意味ではどう考えても今の財務省、日銀の金融政策、財政政策の在り様は健全とは言えないし、特に日銀には危機感さえあると思う。まさか、そのために海外勢が4月、日本株を買い越した、なんて思いたくないが・・・。