何かを予期してるパウエル議長!?米国のリセッションは決定的。

何かを予期してるパウエル議長!?米国のリセッションは決定的。

各連銀総裁のタカ派発言が目立ってきたジャクソンホール会議(期間中)で、パウエル議長の講演が行われたけれど、そんなタカ派発言をFRBを代表して総まとめするような内容となって、米国市場は動揺してる・・・。内容は従来のスタンスの繰り返し的なものだけど、結局「年内利上げ終了、来年の早い時期に利下げに転じる」という株式市場の大甘な楽観をきっちりと否定するようなニュアンスだっただけに、今の米国株の位置を否定されたも同然だったわけで・・・。

その結果CME FED WATCHでの9月利上げの予想は0.750Pに傾いたまま、さらに増加傾向になった。

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要するに米国投資家のセンチメントは、強気になったり弱気になったりと今の株式投資に対して全く腰が据わっていないことが分かる。というかFRBパウエル議長も常に敢えてハト派的なニュアンスを残す発言を繰り返していて、株式市場も右往左往しているような状況・・・。今回もFRBのインフレに対する姿勢を強調したうえで、最後に「9月会合での決定は、入手するデータと変化する見通しの全体像に左右される」なんて発言で締め括る。

これって結局、数値データによって利上げ幅を決める、というわけだから、結論は玉虫色なんだよね。常に落としどころに含みを持たせてるところが厄介で、後は投資家がどう考えるかなんだろう。でもこの人は、何かを予期してるんじゃないかと思う。

株式市場は、とかくセンチメントが支配しがちで、上昇も下落も常にオーバーシュートするような市場であるけれど、冷静なのは債券市場で、冷静に米国経済を見るためには、債券の動向を見るべき。その意味では現在大幅な10年ー2年の逆イールドになっている米国債2年物金利の状況と景気悪化に最も敏感に反応するHYGのETFチャートの現時点でのものをちょくちょく確認すべき。

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(米国債2年物金利・リアルタイム5年チャート)

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(iSHARERS HYG ETF リアルタイム5年チャート)

まずは米国債2年物金利だけど、2018年11月の高値2.973%をブレイクして上昇中(現在3.401%)であって10年物国債金利が3.050%程度であることを考えると、完全に金融機関の「短期資金を調達し長期金利で融資をする」という企業融資モデルは崩壊中であるとともに、各種ローンなどの高水準の個人信用残高に大きなプレッシャーとなり、インフレを助長する。今回イールド状態が長引くと予想され、これは先々の米国経済にとって致命傷になりかねない。

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またHYG価格は今まさに下降トレンドラインを再度下方にブレイクしようとしていて、今後は底値ブレイクもFRBの利上げが継続することを考えると時間の問題と言えるのではないかな。それで最も肝心なことは、現時点でこの状態にある債券市場が、9月にはQT倍増(約12兆円)という強力な金融引き締めに突入するということになるわけで、恐らくパウエル議長はこうした債券市場への影響をある程度予期しているのではないか!?

債券市場は極めて冷静に、米国経済の悪化を予期している。そして世界の大口投資家が、米国の債券投資の見直しに迫られつつあるのも事実で、9月は債券金利を考慮しつつ、ポジションを大きく変更してくる可能性があると思う。これはまずはHYGから火がついて、じわじわと格上の債券に波及すると思うけれど、そのタイミングで突発的な事故でも発生すると、厳しい下落が起こる可能性がある。

世界でもっとも格上の米国債券に異変が起こるような状況では、欧州やアジア諸国の債券の流動性問題も発生して当然だし、悪化の一途をたどっている中国経済や今まさに破綻の危機に瀕している韓国経済、そして実質的に破綻しているロシア経済という状況を考えると、最悪の場合は世界的な恐慌に陥る可能性さえ否定できなくなる。

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けれどもそんな危ない橋を渡らなければ米国のインフレ抑制は不可能だ、という強いメッセージがパウエル議長のジャクソンホール講演には滲み出ている気がする。だからこそ「インフレ率を目標の2%に下げる取り組みは消費者と企業に経済的な痛みをもたらすものの、当局にとって現時点で最も重要な焦点だと言明したのではないかな。

今夜、現時点(3:42am)で、米国ダウ▲$755(▲2.26%)、NASDAQ▲407P(▲3.22%)、S&P500▲112P(▲2.67%)と暴落している。もちろん仮想通貨も同時に厳しい下げとなっている反面、円安進行に支えられた日経平均CFDは昨夜の引け値から▲¥300程度の下げにとどまっているが・・・。

個人的には今夜のパウエル講演では、株価は動かないのではないか?と思っていた。しかし思った以上のタカ派発言で株式市場は大いに同様してる。後場にヘッジ玉として売り建てたのは、結果的に正解だったと言うことになるけれど、予想は完全に外れたわけで・・・。最悪大引けまでにダウは▲$1000も十分にあり得る展開で、この大陰線が恐らくレーバーデイ明け以降の9月相場を暗示している気がするが・・・。

米国経済はリセッションに突入する・・・。