共通担保オペは実質金融緩和&金利上昇抑制

共通担保オペは実質金融緩和&金利上昇抑制

あれれれっ!?ドル円が円安分を帳消しにするかの如くの動きになってる?え~っ、あり得ない!というか、今日の日銀政策決定会合の内容を吟味すると、今回って完全に金融緩和方向だよねぇ・・・。前回の会合でYCCの範囲を±0.250p広げたわけだけど、その時に出てきたリーク記事って、副総裁や審議委員から「金融政策変更と言わないまでも、何等か手を打たないとまずいですよ」という意見が出て提案されたのがYCCの誘導範囲拡大だったわけで、それに対して黒田総裁は、「やりたいのならおやりください、でも金融緩和路線は変えるつもりはありませんよ」と応答したとか。

それでいきなり、実質利上げになるYCC上限0.500pという政策変更(姿勢変更)したわけだけど、その後どうなったか?と言うと10年物国債0.500pで無限指値オペを前例がないほどに、2日間で10数兆円規模の買いオペを実施したわけだよ。

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12月のYCC許容範囲拡大で、海外投機筋は「やった!」と思ったんだろうねぇ・・・。それでこの際一気に日銀の息の根を止めてやれ!ということで売って売って売りまくって、YCC上限金利をブレイクしたかに見えた。勝った!と思ったんだろうねぇ・・・。英国、スェーデンに続いて日本も撃破!みたいなね、ほとんどワールドカップみたいなノリだったのだろうけど、そこで日銀の無限買い入れオペを喰らってメチャメチャ苦境に立たされた。

これ以上売ろうにも玉(日本国債10年物)を借りる手立てがつかなくなってたんだろう。しかもどうやら日銀はその状況を把握していたっぽいんだよね。なので結果として僅かの期間で爆発的な金融緩和を行ったと同じことになったんだよね。というか意図的な完全な金融緩和をやったということだろう。世界広しと言えども、この世界的なインフレ状態にあって、バンバン金融緩和が出来る国って流石に日本だけだろう。他国の経済学者達は「日本はクレージー」と異口同音に言ってたけれどね。

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で、今回の金融政策決定会合で、もはや日銀は政策転換の準備をせざるを得ないだろうっていうことで、株式(先物・CFD)やドル円で海外投機筋は呉越同舟したんだよ。ブルームバーグの調査では米国アナリストは今回の日銀は政策変更ナシ、と予想していたそうだけど、ところがどっこい!日銀はまたしても金融緩和オペを繰り出してきたんだよね。しかも金利の上限を日銀が買いオペをしなくても抑え込める手法だからね。それが日本国債を担保にして金融機関に融資する「共通担保オペ」というやつだった。

これは久しく発動はなかったと思うけれど、従来の規定では融資期間を最長2年と限定していたんだよね。それを10年にまで拡大して、ほぼ市場金利で日本国債を担保に融資するというもの。しかも金利は取引ごとに取り決めるという事なので、例えば0.500%に金利が張り付いたとしてその利率で10年間も借りられるとなれば、そりゃどう考えても金融機関は借りるでしょ。持ってる日本国債を全担保に入れても借りるよね。それでドルで運用したらとんでもない爆益になる。おいおい、それっていいのかよ!みたいなことなんだよ。

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しかも再度日本国債での運用を考えると、金利が0.500%以上になたならそこで必ず国債を買えば、金利差がぼろ儲け出来るという仕組みだから、今後金利も上がり辛くなる。その代わり、外債運用、外貨運用するととんでもない爆益が手に入るということだよ。

具体的にどう相対で共通担保オペの貸出金利を決めるのかは分からないけれど、やり様によってはバンバン金融緩和をしてなお、日銀は貸付金で収入が上がるというまっことクレバーな仕組みだよね。金融機関だって現物金利と共通担保オペの金利を比較して運用すれば絶対に損しないしね。

それどころか、日本国債を貸して貸付料を得る行為もやり辛くなるし、逆に海外投機筋はさらなる借株(日本国債)が出来なくなっちゃったと言っても過言ではないよね。

と言うわけで、今日の日銀は実質的なさらなる金融緩和を行ったわけで・・・ドル円が¥129.270まで来るって、海外投機筋もなにか勘違いしてないか!?ってことだよ。ちょっとあり得ないことが起こってるという感じするなぁ・・・。