何も起こらなくても米国景気は後退する運命

何も起こらなくても米国景気は後退する運命

日経225の春の入れ替えが発表された。そしてドンピシャ!唯一売り持ち越ししたルネサスが組み入れということで、ADRは大幅上昇!PTSでも大幅上昇し、大ヤラレが決定した。しかも朝寄り時には病院で検診している最中なので、仕方ないから買戻しの注文を入れておくしかない。なんじゃそれ!?って感じ。

まぁ、個別株はこういう事があるからね、しかもだいたいの個人投資家がこういう個別株の爆弾にヤラレタ経験があると思うけど、仕方ないね。せいぜい株価を上げてもらって、売りでリベンジするから・・・。

それと来期の注目セクターは自動車だっていうアナリストがいて、その動画を観てたけど、なんかペーパートークだった。良くありがちなデータを見て数字が上がるはずだというやつです。でも自動車はダメでしょ。第一自動車ローンが米国でどうなってるのか、まったく精査してないんだよね。その上高額なEVがお金持ちたちの売れ筋なんてことになると、日本企業はどうにもならない。

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トヨタが2023年は通常生産に復帰する、と言ってるけれど、これは半導体やら部品の調達が予定通り出来るということ。でも、でも生産できても売れなきゃどうしようもない。というかインフレで高止まりの部部品を使った新車在庫は、市況悪化で非常に苦しくなる。もちろん生産が回復すれば、バックオーダーが捌ける2023年の秋頃までは、国内は何とかなるかもしれないけれど。

これから気合を入れてEVをやると。でもEVは儲からない。レシプロ車は部品点数が異常に多く、得意のコストダウンで利益が強引に叩き出せるけど、EVはそうはいかなくなる。それに中国が電池を絞り始めてて自国メーカー優先するんで、戦略的にこれを遣られるとより高い電池を買わないといけなくなる。なので、ますますコストがきつくなる。そこに円高がくれば、ほとんどアウトだね。

なんか自動車辺りをNISAで買いそうだけど、もうすでに自動車は戦国時代に突入してるんだよ。

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さて、米国市場が大幅続伸と言うことになって、日経平均CFDも¥280高、あっさりと¥28,000をクリアして¥28,202だって。いやいや参るよね。ちなみに日経225のEPSは円安もあって¥2,114まで少し上昇。これで¥28,202はPER13.34となかなかのところまで来たって事だよね。

最もPERで株を買うわけでもないんだろうから、もっと上があってもおかしくはないし、来週のパウエル議長議会証言あたりでさらに利上げ懸念が高まったりすると、一気に円安に弾みがついて、なんてこともあり得る。なので、ここから全力で売ろうとも思わないけれど、この中途半端な地合いがとにかく気持ち悪いので、腰が引け気味なんだよね。こんな時は無理をしちゃいけないんだよなぁ・・・。変に色気を出すと大火傷するんだよね。

と言うわけで米国市場はほぼ、ソフトランディング可能、という線で落ち着きそうな雰囲気になって来て、3月FOMCで0.250pの利上げだったら上値追いするんだろうと。なので、日本株も売りは不利、買い優勢の展開が続くとは思うけど、まぁ、南海のリゾートから眺めるサンセットのようなものだと思うけどね。

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ここで米国の個人に関する面白いデータ(グラフ)を見つけたので紹介するよ。

このグラフはJPモルガンが発表した米国の個人の貯蓄総額と貯蓄率の変化と言う事。ブルーの太線は月収における貯蓄率で最近は底をつけて僅かに上昇してる。そして薄青のベタ塗りが貯蓄総額の変化で、これはコロナ給付金支給によってぐんと増えた2021年をピークとして、インフレが激しくなった2022年には急激に減りはじめて現在に至るわけだ。

これから分るように米国の個人所得は僅かしか貯蓄に回されなくなって、同時に貯蓄総額は急激に減少している。けれど、まだ何とか貯蓄で賄えるレベル、ということで米国の消費が一向に落ちないのがある意味不思議ではあるけれど、その心理は分らなくもない。

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けれども赤の矢印の通り、今のぺースで消費されてしまうと、来年には貯蓄はすべて使い果たすことになるわけで、また現段階で貯蓄は0.9兆ドル(120兆円)あまりあるけれど、流石にここから低下することに対する警戒感が出始めてるという意味で貯蓄率が上昇を始めてるってことだ。

だから3月、4月、5月と米国消費は低下して行くに違いないわけで、GDPの7割以上を占める個人消費が低調になれば景気は悪化してゆくに決まっている。そしてその根拠こそが現在の米国金利だという事だ。金利が上昇すれば余計な消費をしなくても貯蓄額は低下してしまう。それも今回は尋常な勢いではないということを考える必要がある。

それともう一つ忘れてはいけない要因は、サービス部門の消費が落ちないという点だ。アナリストはこの部分、つまり米国消費の7割を占めるサービスが落ち辛いからソフトランディングが可能と見ているわけだ。ところが同時にこのことがインフレに粘着性を与えているわけで、だからこそインフレは根強いと言われているわけだが・・・。

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だから要するに米国景気はそう簡単には回復することはなく、問題なのはハードランディングかソフトランディングかではなくて景気後退の勾配がどうなるのか?ということ。そしてそれが直線的なのか、曲線になるのか、の問題だということ。

目先はまだ大丈夫と思っているから、株価も上昇しているわけだけど、これがある地点から変わるポイントがあると思うんだよ。そのポイントと言うのは指標かもしれないし、事故かもしれないし、また地政学リスクなのかもしれないけれど、何れにしてもここで買い持ってもあまり意味がないということになる。

ちなみに貯蓄の変化はこうなるけれど、米国の消費はファイナンスに支えられてるわけだから、これよりもはるかに多くの負債があるという事を忘れないようにしたいというか、貯蓄総額が減るのは利払いが増えてるからと考えた方がいいかも。実際米国消費ってこの貯蓄を証拠金にしたレバレッジ取引のようなものだからね。

もっともその前にデフォルト等の事故が起きないことが前提だけどね。早くも仮想通貨はヤバそうだけど。