楽観から悲観へ、モラルハザードも気になる救済劇

楽観から悲観へ、モラルハザードも気になる救済劇

SVB以外、シルバーゲート、ファースト・リパブリック、そしてシグネチャー・バンクと破綻または破綻同様の3行はすべて仮想通貨絡みってことだよ。FTXの時大いに懸念されたことが、なかなか出てこなくて、それがようやく火を噴き始めたってこと。だから金融ってのは怖いんだよ。本当に悪い部分は最後の最後まで表面化しない、というか隠す。それで破綻したりしてあとで監査すると、他にもぞろぞろ出てくるって言うのが常。

リーマンショックの時に、何故債券が流動性を失ったら破綻するのかよく理解できなかったんだよ。そんなもの、償還まで待てばいいんじゃないか?って普通は思うでしょ。でも、その債券が最初から額面の価値が全くなかったら・・・。それがリーマンショックの時の落ちだった。

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その上さもあり得るようなことをうたい文句に高い保証料をぼった食ってたCDSなどが、本当にあり得たというんだから世話ないし。そんな債務保証を証券化してこれまた相場で売り買いまでしちゃって、どんだけ強欲なんだ!っていうのが米国の投資銀行やら投資家やら。それがさ、いざ破綻で巨額の債権保証をつけなきゃならん時、勝手にルールを変えて返済を免れるという禁じ手をバンバン繰り出した。

あれで思ったのは、海外では借金を返済するつもりで借りるということはないんだってこと。何事もなければカジノの胴元が一番儲かる。日本は昔(今もいるのかもしれないけれど)博徒と言うのがいて、丁半や手本引きなどと言った勝負で食ってたとか・・・。でもそれは嘘で、確率が1/2の勝負ではます食えない。まして寺銭を取られたら絶対に勝てない。なので、本当に博徒で生きてゆくには胴元になるしかなかったんだよね。

でもって時々馬鹿みたいにツキのあるお客さんが来て大勝、独り勝ちなんてことになったら・・・だいたいは払わないとか、どうにも回収できない債権をまわすとか・・・結局払い戻さないも同然。その感じだよ。

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今回のSVBの預金全額保護っていうのは、完全にモラルハザードを生むよね。預金するも融資を受けるのも、基本的にはそれぞれの自己責任。預金を何に投資するかも自己責任。それで負けちゃったといって払えませんと言われると、預けた方もとりようがない。でも、可哀そうだから、ベンチャーは大事だから、金融システムに影響が出そうだから、等々の理由で「分かりました。全額保証しましょう」ということになると、じゃぁ、株で遣られた分も埋めてくれってなるよ。

昔、山一証券が破綻したとき、そんな保証を付けてたけどね。あれ以来必ず「投資は自己責任で」と言うようになった。

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で、結局預金全額負担したらその負担は全く関係のない第三者に覆いかぶさることになる。しかもその第三者には自覚がないし事実も知らない。って、これはモラルハザードの典型だからねぇ・・・。

ロイターにこんな記事があったけど、もっともなことだよ。この中で面白い一文があったので。

「もし銀行預金が全額保証されるなら、なぜ銀行が必要なのか」

ホントだよ!銀行はノンリスクで預り金の運用が出来て、儲けられる。今回の救済劇に関してイエレン財務長官は反対してたのよ。流石に資本主義を信望する経済学者だけのことはあるけれど、周囲のプレッシャーに呆気なく負けた。あ~あ。

と言うわけで、まだまだいろいろ出てくると思うよ。俺には今まで何を根拠に楽観してるのかマジで分らなかったけど、これで楽観も素っ飛んだんじゃないかな?

その時に今回の救済劇が仇になりそうな気がするけど。

ちなみにドル円は急激に円高へ、原油は下落加速か?もう市場は単に金融事故とは見ていないのかも。