苦しくなるとシレっと金融緩和!?でも庶民からは容赦なく・・・
- 2023.03.23
- トレード雑感
昨夜の米国市場はFOMCの0.250pの利上げを受けて、想定通りということで株価は動揺しないと思われたのに、パウエル議長会見、イエレン財務長官の発言をまともに嫌気した売りが出て急落といういつものパターンに陥った。バカバカしいけれど主犯はAIアルゴ。これが反応すると呆気なく市場は下落するよなぁ・・・。
でも普通であれば、米国債金利が急低下してドル安が進み、VIXも低下したのだから株式市場は上昇かまたは最低でも横這いでよかったはずなのに要はリスクオフとなったと考えるよりほかにない。
このまま株式市場が下落を継続すれば、というか今回の利上げの悪影響が顕著に観られた場合には、恐らく5月の利上げはもうないだろうと思うし、少なくとも債券市場はそう織り込み始めたのだろうと思うし、ドル円も同様だと。パウエル議長が「金融システムは強靭だ」と言えば言うほどに投資家は不安になる。そういう発言は、「金融システムが脆弱な」時に言う発言だから。
今回だって恐らくFRBは「全員一致で利上げを決めた」と言っているけれど、実際は「全員一致で懸念を持っていた」に違いないはず。特に地方連銀総裁達は自分の膝元で今にも起こりそうな金融の混乱を恐れていたはずだから。そんな金融の不安定さの中で、もろ手を挙げて利上げに賛同するだろうか?という疑問は大いにある。
今夜イングランド銀行は自国のインフレが10%台と強烈なのに、0.250pの利上げで4.250p水準の金利とした。先日ECBのラガルド総裁は0.500pの利上げを断行したけれど、それでも政策金利水準は3.000pに過ぎないわけで、これでは英国同様5%台のコアインフレはなかなか収まらないと言うことになる。ただECBでは域内の金融機関の財務状況が(米国と比較して)悪いので、実際利上げは「おっかなびっくり」というやつかもしれない。それでも何とかしてインフレを抑え込まないと経済は立ち直れなくなるという危機感があるのだろう。
けれども米国も英国も、そして欧州も結局は個人消費を抑え込んで景気後退を鮮明にしなければ、インフレは抑え込むことは出来ないことは十分に分っているから、とにかく利上げで消費を抑え込むことに懸命になっているけれど、同時にソフトランディングを強調するのは、他業種はいざ知らず金融システムを守るためには、躊躇なく銀行に資本注入をして金融緩和的な措置を講じる、と言う意味だ。銀行さえ生かすことが出来れば、それはソフトランディングなのだと言わんばかりで一般市民にとっては「真綿で首を締める」政策を続けてる。
これって世界の中銀は自分たちの失策のツケを一般市民に払ってもらおうという、強烈な、金融の支配者的目線であって、財政悪化は増税で切り抜ける、みたいな発想そのままだ。でも今の時代、銀行の取り付け騒ぎは、昔のように店頭に行列を作るような、そんな時代ではなくて、いとも簡単にネットバンキングを使って資金移動する時代だからね。米国の大手銀行の預金残高が数日で5兆円も10兆円も増えてしまう時代。金融パニックはあっという間に起こり得る。
なので、中銀の金融引き締め政策でこのままインフレを抑制できると本気で考えていると、何やらとんでもないことが起こりそうで怖いね。
さて今夜の米国市場がオープンだけど、やはり株式市場は利上げが今回で最後、と見ているのだと思う。単に金利動向を意識している相場なので、株高、債券高、ドル安、VIX低下と戻りを試す相場展開になりそう。所謂ソフトランディング路線ということだろうけどね。
まぁこれ以上何事もなければソフトランディングなのだろうけど、結局FRBが実質QEをしたからの上昇なわけで・・・。金融機関が破綻したからビビッてこれ以上QTが出来なくなって、もしかしたら利上げもこれ以上出来ないとなると、インフレはこの先ずっと続く。結局この路線に逆戻りするしか手段がないのか、と投資家はほくそ笑んでる感じするなぁ・・・。
やはりこんな株式市場はダメだな。
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