日本市場の株高要因の一つを政策面で考えた
- 2023.06.10
- トレード雑感
海外勢は6兆円以上日本株を買った。これは事実。これに対してGPIFは7カ月連続で日本株を売却している。これも事実。理由は簡単でGPIFのポートフォリオのうち日本株の上昇によって25%を強烈にオーバーしているからです。海外株式・外債・国内株式・日本国債のそれぞれの運用比率が25%になるようにリバランスする、というのが運用方針だから。
でもこんな運用方針でいいのか?って言う疑問が出てくるよね。ここが言ってみれば日本市場の癌なんだと、日本市場が上昇してくればそう思わざるを得ないわけで、馬鹿の一つ覚えのように運用方針を一度決めたら柔軟に動かすことをしない、というか怖くて(責任取るのが嫌で)その方針を変えられないわけだよね。
で、いまは利益が出ているだろうけど、今後はどうなの?って考えると外債や外国株式はさらに厳しい局面になるだろうし、そうなるとまだまだ国内株式の売りは続くんだろうなって考えてしまう。それと最悪なのが日本国債で、日銀の超金融緩和政策、YCCがこのまま続けざるを得ない理由の一つにGPIFがあるなっていうこともあるわけで、ここを海外投資家は見てるのはまず間違いないと思うんだよね。
いろいろゴチャゴチャと言ってお茶を濁してる木っ端アナリストはどうでもいいけれど、今の日本経済のインフレ動向を考えると、純粋に政策面を考えるならば、日銀総裁は最低でもYCCを撤廃するくらいの金利政策をとる必要があるのは歴然としてる。今すぐにでもそうしないと、日本経済の歪みはますますひどくなってゆくんですよ。
けれども植田総裁ばかりを責めても仕方のないことで、それが財務省の方針だから抗えないという、ジレンマがあるわけで・・・。就任早々早くも学者としての見識はすっ飛んでしまって、以前日銀審議委員をやってた時と同じになってしまってる・・・。やりたい政策、やらなければならない政策ができなかった以前の状況とまるで同じような立場に立たされているわけで・・・。それが日銀総裁の現実なのだろうなって思うと情けないね。
金融界の誰もがそう思ってることなのだろうけど、株式市場関係者はその辺をすっ飛ばしてしまう。なぜなら証券業界出身者が大半を占めるから、金利という微妙な問題に関しては感度が鈍いんですよ。
感度が鈍いと言えば、今の日本が抱える大問題は岸田首相の(経済に対する)感度が鈍すぎる、というかほぼゼロであること。この人は経済を全く理解していない首相だから、とにかく誰かに頼らなければ何もできないから、財務省に全面的におんぶにだっこ。そこで財務省は岸田首相に対し「少子化対策や防衛力強化、海外援助などご自由にどうぞ」というスタンスで助言し、首相として政策出来ることにご満悦になってるという・・・。「その代わり増税は必須です」と言われたら「はい、その方向で」となってしまう。
世間的な評価は悪くないのだろうけど、分る人が見れば、特に真っ当な感覚と知識のある経済関係者ならば岸田首相を評価する人は恐らくいない。いるとするならば、政府方針で美味しい思いをしてる人だけ。誰がどう考えても、これだけインフレになってきてる経済で金利を実質ゼロに据え置いたら、また長期金利に上限をかけてしまったら、経済のスタビレーション効果が全く失われてしまうわけですよ。
それは経済にとって死活問題で、まずはおかしな金融の動きがあちこちで勃発し始める。というかこういう状況になってくると、これはFRBが長期間QEを続けて来て、結果として株価がロングランで上昇を続けてきたことと同じ現象と言える。
財務省も株式市場が上昇するのは悪くはないし、結果として増税しやすい環境になるのでね、むしろ大歓迎でしょ。国民は景気回復を感じるし、増税に対する感度も鈍くなるからね。
結果的に海外投資家は、日本のそんな状況を理由に日本株に投資し始めた。けれども海外資金だってそれは後付けの理由に過ぎないわけで、本筋は欧米市場や中国市場からの資金移転と言うことが起こってるだけなんだと思うんだよね。いわゆる消去法というやつで市場選別した結果だと思う。
けれども日銀の金融政策の維持や膨大な税収増をひた隠しにしてさらに増税を目論む財務省の方針を考えると、少なくとも秋くらいまでは、日銀は動けないんじゃないか?って思ってるからね。しかも早ければ秋にも円高傾向が出始めるということも予想できるわけで、そうなったときに海外勢は爆益になる・・・。
今後米国財務省が米国債を爆増させたなら、まずは短期国債で大量の資金調達を行えば、米国金利は上昇するだろうし、そうなると円安も加速し始める。そしてその分を長期国債に徐々に振り向けることで長期金利はコントロールできると踏んでいる。それには、今日本株を買っておくのが一番有利、という選択肢なんだろうね。
つまりは日米の政策の違いによる為替の変動を、株価に反映してみるとどのポジションが最も有利なのかを考えているんだろうと思う。そういう意味では、もっと単純に日本はインフレに転換して、日銀と財務省のごり押しで低金利金融緩和を維持するならば、インフレバブルで買い!となって当然だし、株価が上昇した水準で円高になったらさらに爆益だって考えているという理解でいいと思うけどね。
でも理屈はどうでもよくて、ロング派は株価が上昇すれば文句なし。こういう時に売り坊は、焼かれまくるんだよね。株価上昇でお祭りになってるとき、神社の裏手でワンカップを煽る・・・みたいなのが売り坊って事かもね。俺はそんな売り坊だけは御免だけど。買う時は買いますから(笑)
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