【老後2000万円問題】と消費税増税で日本経済沈没

【老後2000万円問題】と消費税増税で日本経済沈没

「経済はセンチメント」というのは、おそらく経済学者全員がNOとは言わない真実です。消費者行動も投資行動も、おおよそ経済行為のすべてはセンチメントに大きく左右される極めて情緒的な行為であるこは間違いないですね。

とすれば、いま、この時期に、「老後2000万円問題=年金問題」が世間的に炎上するということになると、この秋、消費税増税が決定的な日本経済にとって致命傷になるのでは?

そもそもどうしていま、こんな報告書が表面化するのでしょう?

ということでとりあえず、出所の金融庁のHPへ行ってみました。

金融庁って何?

まずはいきなり目に付いたのは「NISA」の特設ページのバナー。あれ?まるでどこかの証券会社のトップページみたい!

お役所だよね?金融庁って。

次に「つみたてNISAが100万口座を突破しました!」というトピックス。2月3日はニイサの日、なんてますます怪しい!

もちろん金融庁は「日本の金融機能の安定化を計る機関」であって、ここは内閣府の外局で内閣総理大臣の所轄機関です。

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けれども実態は、財務省からの出向や転向が大多数を占める財務省外局のようなお役所なのです。

だからこそ、余計にこのNISAキャンペーンみたいなことが、違和感を感じてしまうわけですね。

問題の報告書

こういうお役所のHPというのは、本当に分かり辛いです(作為でしょうか)。でも、なんとか10分ほどで問題の報告書を見つけることが出来ました。

これは金融庁内の金融審議会という部署に設置されたいくつかのワーキンググループのうちの一つである「市場ワーキンググループ」で話し合われた内容を報告書としてまとめたもので、タイトルは「高齢社会における資産形成・管理」

けれども、これ、よく見ると内部に使われているグラフなどは、ほとんど厚労省や財務省からのパクリ(とは言わないかもしれないけど)ですよ。

つまり、これ、錚々たるメンバーが揃っていながら、単純に厚労省や財務省から資料をもらってきて、作文しただけ?

これくらいのレポートなら私でも2日もあれば書きますよ(苦笑)

でも、そんなものを、どうして審議して報告書にまとめなきゃならないのでしょうね?

大慌てのポンコツ政治家

まずはこの動画を見てみましょう。

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まず麻生大臣。自ら諮問しておきながら、出てきた報告書の内容が突かれると、「受け取らない」と言ってしまいました。

自民党のポンコツ政治家は頭は選挙で一杯ですから大慌て。そのコメントたるや酷いもんです。

一方野党のポンコツ政治家は、突然降ってわいた好材料に困惑気味。今一つイケイケモードになれません。

しかし、担当大臣が「受け取らない」と言ってしまった事は、これは大きな材料ですよね。今の国会はほとんど法案審議もないわけで、参議院選挙を考えるなら、ここは攻勢をかけないと・・・。

財務省の思惑

この報告書が提出された時、安倍首相は消費税増税を延期しようか、そのまま行こうか、最終段階に差し掛かっていました。そして、金融庁の部会のワーキンググループでの報告書で、麻生大臣が言うように金融審議会総会で認定される前のものならば、その内容がどうしてメディアが取り上げたのでしょう?

その程度の報告書であれば、毎日山ほど出てきますよ。

でも、ピンポイントでメディアはこれを問題にした。

ということでピンと来るのは、財務省の情報リーク(いつものこと)ですね。

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要するに、「唯でさえ老後資金が足りないのに年金が壊れたら大変なことになる」というロジックを提起してくれぐれも消費税増税を延期や中止することのないように、ひと騒動起こしたということでしょう。

財務省は常に、こうしてメディア(大手新聞やTV)に対し、世論操作できるような形で情報をリークしているわけです。メディア側もこういう情報が欲しいために、必要以上に財務省の幹部に近付くんです。

(セクハラされちゃいますよ!)

金融庁はNISAの宣伝になればいい

なぜかNISAに特別ご執心な金融庁。本来、こうしたハイリスクな金融商品を民間が扱うときの管理監督をするのが仕事のはず。

ところが、「運よく買った株が上昇して利益が出ても課税しません」と威張って導入したNISAですから。

しかし、株式等のハイリスク商品を国の機関が宣伝するなどと言うことは、通常ではありえませんよ。少なくとも海外では絶対にできないと思います。

これ、日銀のHPで宣伝します?

財務省で?内閣府で?

有り得ないでしょう。投資は課税・非課税に関わらず自己責任が原則です。でも、この報告書を見せられると、NISA枠で株を買うと100万円が2000万円になる、と宣伝しているようなものです。

それは、ないでしょう!

軽はずみな財務省

 

増税という目的のためなら巧妙に罠を仕掛けるがごとく、世論操作をしてくるのが、頭脳明晰集団と言われる財務省のお役人なのです。

しかし、本来は増税が目的なわけではなく、「増税をした実績」が目的なんですね。

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もちろん論理的に「社会保障のため」と限定すると、増税は筋が通ります。しかし、経済的な波及効果に関しては、まったくの素人以下!

個人投資家よりも経済は分かりませんよ。

つまり財務省的な視点ではあくまでミクロ経済な理論です。それが国家予算を握る日本最大の経済主体なので、マクロ経済のように聞こえるだけです。

ですから時として、というか頻繁に、そうした行為が日本経済をダメにしてきたのが、日本のGDPが成長しない要因なのですね。もちろん、老後2000万円不足、というのは、政治家と財務省の責任と言えます。

この30年、海外並みに経済成長ができたなら、諸問題はもっと良好なレベルでした。

そういう理論は、政治家や財務省の役人には、まったく通用しません。なぜならマクロ経済を勉強していないからです。

【老後2000万円問題】と消費税増税で日本経済沈没

さて、困りました。安倍政権はどうやら消費税増税を敢行するみたいです。しかし、いま、この問題が大きく取り上げられたら・・・。

経済はセンチメントに依存します。もちろん消費もセンチメントです。となると、唯でさえ増税で消費が減るのに老後2000万円足りません!となると、国民は焦りますよ。

だいたいこの報告書は現役世代に向けたものです。なので、本来消費が活発な現役世代の消費が減ると・・・。

日本のGDPは内需が70%ですから。

これは大変なことですね。

このまま増税に突入したら、あのデフレ地獄に舞い戻ってしまいます。するとさらに現金至上主義になりますから、物は買いません。

日本経済にとってまさに、最悪の状況です。

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