米中決裂でリーマンショック級?トランプ氏関税引上げを表明

米中決裂でリーマンショック級?トランプ氏関税引上げを表明

年初より開始された米中貿易協議は、3月の期限延長を経て5月中には妥結の方向と見られていましたが、トランプ大統領は協議の最終段階になって、「中国の協議は遅すぎる」として、「2000億ドル分の製品に10%の関税を支払っているが、金曜日(10日)に25%に上がる」と(ツイッターで)主張しました。

さらに関税を課していない3250億ドル分の中国製品にも「速やかに25%の関税を課す」と言うことです。

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株式市場は急転直下の急落

トランプ発言を受けて、堅調に推移し史上最高値更新を目前にしていた米国ダウCFDは、▲$500という厳しい下落に見舞われました。同時に日経平均CFDは10連休を¥250高で乗り切ると見られていましたが、急転直下の¥500落ちに見舞われています。

こうなると、日経平均は10連休前¥22,258から¥22,000を割れる厳しいスタートになる可能性が出てきました。まさに、地合いの急転・センチメント悪化と言ったところです。

米国市場の株高は米中交渉妥結が前提

年初来、米国株高を支えていたのは、FRBの金利引き上げ凍結という金融政策の転換米中貿易交渉妥結に対する思惑でした。

米国経済は、中国製品に対して関税を賦課したにも関わらず、物価上昇とはならず、一方雇用や各種景気指数は悪化しないという、極めて堅調な状況となっています。

こうした状況が徐々に鮮明になるにつれて、米国株上昇の前提は「米中交渉妥結」に対するウエイトが高まっています。また、そうした状況を助長してきたのは、クドローNEC(国家経済会議)委員長やムニューシン財務長官の(株式市場への)口先介入でした。

その「株高の前提」が大きく崩れる可能性のあるトランプ大統領の今回の発言は、極めて重大と株式市場は受け止めるでしょう。

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日本市場は休明け全面安スタート

日経平均CFD(5月6日)

トランプ発言、米国株式市場の影響を受けて明日(7日)の日本市場は10連休明けに全面安の可能性もあり、少なくとも投資家のセンチメントの悪化は免れないでしょう。

3月位から日本市場の10連休が取沙汰され、大きな懸念材料の一つとされていましたが、堅調な米国市場に支えられて連休直前には懸念払拭の地合いとなっていました。

ファナックのように非常に厳しい決算、今期業績予測を出した企業に対しても、株式市場は非常に寛容でした。しかし、米中交渉が暗礁に乗り上げるとなると、クローズアップされるのがECRA(米国輸出管理改革法)の発動懸念です。

米中決裂でリーマンショック級?日本企業の厳しい状況

連休明けには日本企業の決算発表が本格化しますが、株式市場の反応が大きく変わる可能性があります。輸出を中心に2019年3月期決算は、米中貿易対立の影響を受けて、厳しいものとなっていると思われますが、問題は今期予測に対して、今回のトランプ発言は織り込まれていないと言うことです。

すでに今期予測に関しては算出済みであり発表準備も整っていますが、株式市場の先高観が損なわれた場合には、額面通りに受け取ることはないと思われます。

また、仮に米中対立が深刻化すれば、3250億ドル相当の中国製品に25%の関税を課すことも十分に予想され、さらには中国が圧倒的に優位とされている5G関連技術を意識して、ECRAの発動も予想されます。

そうなると、日本のハイテク企業、輸出関連企業に対する懸念は一層深まることになり、安倍内閣の主張する「リーマンショック級」の急落になる可能性が高まってきます。

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底を付けた日本株を救うのは消費税増税延期?

連休中に日本市場の今後の予測をしました。

連休明けの日本市場は荒い値動きの可能性もありますが、5月中旬には落ち着いて、安倍内閣の消費税増税延期発表で復活するというものです。

今回のトランプ発言によって、そうした傾向が裏付けられる結果となる可能性が高まったと思います。

恐らく、消費税増税は延期されるでしょう。その場合、(延期を国民は歓迎しますから)衆参同日選挙を打たなければ意味がありません。

日本市場は、当面は厳しい値動きになる可能性があり、短期投資の場合は十分に「空売り戦略」で凌げるはずです。

5月中旬以降、買い転換すると言うのが、令和の最初のチャンスになる可能性が高いのではないでしょうか?

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