AIはどこまで経済を分析する?株式トレードで何を根拠にしてる?

AIはどこまで経済を分析する?株式トレードで何を根拠にしてる?

最近、不思議に思うことが多いんだけど、その一つに「AIによる株式トレード」に対する疑問でね、「AIは相場の過熱感を判断できないのか?」って思うんだよね。というか、AIはマクロ的な判断を取り入れないのか?膨大なネット上の情報を瞬時に解析して判断して実行するというのが建前じゃなかったっけ?

よく、AIには未来予測が出来ないと言われてるけど、将来の予測なしに株式を取引してるのか?もちろん、株式だけでなく指数取引や為替の動きを考慮するようにはなっているのだろうけど、じゃ先物取引はどうやって解釈してるんだろうとか、とにかく何から何まで嘘臭い。

「嘘臭い」という表現は悪いかもしれないけれど、新型コロナ後の株式市場の動きを俯瞰してみてみれば、どうしても解せない局面が多いと思うし、一番解せないのは「現時点」なんだよ。昨夜の米国市場はダウとS&P500が揃って史上最高値を更新してる。だいたい新型コロナ前の2018年頃から急激にボラティリティが高まり始めて、2020年頃からは出来高、売買高ともに急増してる。10年チャートを見てもらえれば分かるけど、これって完全に金融相場になってるよ。

金融相場になって、以来一度も明確な業績相場にはならなくて、常に大量の資金をブン回すような相場が株価を形成していることが分かる。表現は古いかもしれないけれど、今は株式相場全体が、仕手戦のようになってるんだよね。こういうチャートを見て、株式市場のプロ達は、30年位市場で仕事している人たちは、どう感じているのか率直な意見を聴いてみたいと思うよ。もし、俺の師匠が存命ならば、なんて言うだろうなって。

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上記はS&P500の10年週足チャートだけど、2018年に米中対立(米中貿易戦争)で暴落、2020年には新型コロナショックで暴落。その時に未曾有の資金を世界同時にバラマキを行った反動と新型コロナ・ワクチンがあっという間に供給されて株価は狂ったように暴騰し始める。同時にインフレが忍び寄って、2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始してエネ価格が暴騰し、FRBは急激な金融引き締めに転じた。

ここで問題なのは、FRBがいくらインフレ抑制のために利上げをしたりQTをしてマネタリーベースを縮小したりしていても、投資資金は拡大の一途を辿っているということ。新型コロナのときに未曾有の金融緩和を実施したお陰で、運用資産は爆発的に増えてしまった、と言うのが実態で、なおかつその資産は今現在爆増しているということだよ。

だから、今の相場は完全に金融相場。インフレ下で株価は上昇する、という歴史をしっかりと踏襲しているというか、それ以上に中銀が大量資金を投入してインフレを加速した結果、ということだよね。でも、ここには大きな落とし穴がある。それはどういう意味かというと、投資資金が増え続けると必ずどこかで投機に変貌するということだよ。投資資金は増えれば増えるほど、実体経済との乖離が大きくなる傾向がある。けれども市場はそれを無視するんだ。

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例えばS&P500で言えば、新型コロナから2021年末までの株価の上昇は、ある意味ではジャブジャブ資金による投機のプロセスだ。この時は、実体経済の回復に乖離して株価は上昇していった、というかインフレによって実体経済は回復もままならなかったはずなんだよ。その後、利上げやQTによる金融引き締めで調整をしたけれど、20週線を割ることなく反転を開始してるけど、これは利上げ終了と2024年からの利下げを先取りした動き。

それが、今、2022年の年頭高値をブレイクした。ということは、株価はさらなる上昇を示唆しているということになる。ここでAIについての疑問が湧いてくるんだよ。そもそもインフレは、FRBが志向している2.0%に今後も簡単に戻るとは思えないし、それは市場に供給した資金をさらに引き締めないと理論的には無理だっていうこと。新型コロナ後の資金供給量の大半は温存されているわけだからね。QTにより回収はしているけれど、銀行に対するBTFP貸付の増加で、QT効果は打ち消されているだけでなく、米国予算の増大により、マネタリー・ベースは実質的に拡大しているし、株価上昇によってマネー・サプライは拡大している。

BTFPの急増は銀行の駆け込み借り入れという見方もある。3月でこの制度は終了予定ということで、4%後半の金利で借りて準備預金口座に移すと5.4%の付利が付くという、イカサマ制度(保有国債金利に0.5%以上上乗せ)をFRBもやっているわけだ。(銀行は保有国債を担保にして借り入れるけれど、借りた資金に金利バックがあるってモラルハザード含みな制度を銀行救済のために新設した!)

というわけで実態は金融引き締めとはいうものの、一度出した資金を回収するのは容易ではなく、ただでさえ、バイデン政権と中小銀行というお荷物がある以上、FRBの金融引き締め効果はかなり疑わしい。

AIと言うのはそうしたマクロ的な実態分析はやらないのかねぇ・・・。ただ目先のトレードの判断をやり続けるだけなのか?だったら2024年の利下げを6回も7回も市場が織り込んでいるというのは、嘘と言うことになるんじゃないの?

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さて、相変わらず実体として資金ジャブジャブのなかで今の相場は形成されているわけだけど、それがAIによるミクロな判断の連続によるもの、となるとこれは相当に問題ありじゃないか?何だかんだと言っても、実体経済というのはイコール個人消費なんだよ。個人が消費するからあらゆる経済は成り立つわけで、今の相場はそのことを無視してないか?ってことだよ。

経済をクラッシュさせる「蟻の一穴」と言うのは、常に個人消費なんだと俺は考えてる。日本が景気が悪かったのは、日本経済がダメだったのは、個人が消費しないから、以外の何物でもない。これだけ医療制度がしっかりしてて、医療保険もほぼ完璧で、その上介護保険もあるし、年金もあって、なんなら生活保護もある。でも、日本人は老後が心配で仕方ない。一番は、政治がアホ過ぎるから未来を信じることが出来なくなってることが原因だと思うけど。

それと比べて米国はどうか?というと、米国社会の感覚で日本人が生活できるか?というと完全に無理と思う。ところが米国国民の消費感覚は日本人とは比較にならないほど楽観的、というかもはやノー天気といってもいいほどだ。いま、米国民の多くは完全にその日暮らしのようになってる。けど、欲しいものはとにかく買う。その消費行動に合理的な説明など到底できなくなってる。これが、俺なんかがその昔学んだ経済とは、まるで別物なんだよね。

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そういう意味では、今の米国の個人消費は、クラッシュの連鎖が始まる直前の導火線に火が点いた状態と言える。消費生活を維持しようとするあまり、個人(家計)のファイナンスは正直限界に達している。クレジットは利用限度額に達し、リボ払いの高金利に追いまくられていて、住宅ローン、自動車ローン、学資ローン、クレカの返済に追われる生活。それでも、クリスマスにはBNPL(バイナウ・ペイレイター)で買い物をしてしまう・・・。旅行にも行く。

住宅ローンの延滞率、自動車ローンやクレカ返済の延滞率は、リーマンショック越え。しかも、クレカやBNPLの金利は20%と高止まり。延滞すれば30%以上の追加金利が待ってる。それが分かっているにもかかわらず、消費してしまうという病に侵されてる・・・。賃金上昇がインフレを上回ったから大丈夫!という極楽なアナリストもいるけれど、ぎりぎりの生活をしたことのない人には、こういう状況が如何に困難なものかは分からない。一度追い込まれると、抜け出せない金利地獄・・・。

いまの米国企業決算は、この状況の上に成り立ってるんだよ。まだ個人ファイナンスのクラッシュが一線を越えないでかろうじて踏みとどまっているけれど、近い将来クラッシュの連鎖が起こることは決定的なんだよね。株価が半年先、一年先を織り込むというならば、いまのS&P500の位置は、ダブルトップの頂点じゃなければおかしい。というか利下げ期待でここまで来たわけで、それが先延ばしかも、と言う時点で、お仕舞なはず・・・。

FRBの利上げの影響は、個人の支払い余力が消し飛んた時点から、本格的になる。というか足下ではもう始まってる可能性が極めて高い。昨日発表された例のミシガン大学消費者態度指数がサプライズ的な上昇で、米国市場は大幅高したけれど、この指数は毎回のように米国市場を上昇させる。僅かに500人へのアンケート調査だというのにね。株式市場はこんな信頼性の無い指数であっても、それをネタにしてまで株価を上げたいようだ。

金融相場の心理を見る思いだね。危険な上昇の仕方。というかAIは・・・。