米1月雇用統計に慌てた株式市場

米1月雇用統計に慌てた株式市場

この局面でそういう数字が出てくるのか!?

そうなったらすべての局面が変わってしまう、と言うほどの雇用統計の数字。米国債10年金利は跳ね上がり、ドル円は一気に¥148を突破し、サプライズ決算を発表したMETAがなんと20%もぶち上がりAMAZONもそれを追いかける中で、いきなり見せられた雇用統計じゃ、株価の上昇は止まりようがなかった。

2:30 (米) 1月 非農業部門雇用者数変化 [前月比] 21.6万人 18.0万人 35.3万人
22:30 (米) 1月 失業率 3.7% 3.8% 3.7%
22:30 (米) 1月 平均時給 [前月比] 0.4% 0.3% 0.6%
22:30 (米) 1月 平均時給 [前年同月比] 4.1% 4.1% 4.5%

こういうことが突然起こるから相場は怖い、というか分からない。急激にセンチメントが傾いてしまうと、どうしても投資家は熱くなって、相場は一方的に傾いて行く。特にAIアルゴによる自動取引が多くなってからは、発表値を額面通りに受け取るわけで、逆を言えば情報を出す側もそのことを意識していると勘繰りたくもなる。

今回の雇用統計は、12月のそれとの関連性は非常に低い。法人も家計も年次更新の名の下に調査対象が大きく変わっているからだ。つまりは雇用統計はこの1月の数値がベースになって雇用の変化をこれから見てゆくことになる。しかし便宜上、12月と1月の数字の推移は継続したデータとして捉えられ、だからこそ今回の雇用統計の数字は極めて良好、雇用は強い、となってしまう。

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けれど、毎年のことながら、12月雇用者数は1月になるとリアルデータでは250万人~300万人と大きく減少する。クリスマスシーズンで雇用されたワンポイントが剥落するためである。それを季節調整を掛けて各項目に補正を掛けて発表している。その結果、ダブルワーク数が22万人増えることになって今回の数字となった。

また平均時給の伸びは、労働時間数の減少によるものが大きかった。パート労働者の給与は労働時間減少によって減るけれど、固定給を考えると分母が小さくなった分、平均時給は上昇する。そうした諸々の要因を考えると、今回の雇用統計がこれほどサプライズになるようなものではないと徐々に理解されるはずだ。

もしも本当に景気が今以上に回復すると投資家が見ているならば、コモディティはこれほど下落することはないはずだ。しかし、原油も銀・銅もレアメタルも軒並み下落している。輸送コストが上昇しコストプッシュ要因が加味されているにもかかわらずだ。そういう意味では、今回の米国1月雇用統計に特別な意味を持たせることの方が不自然なのかもしれないと思う。

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ただしパウエル議長がつい記者の質問に答えるように口走ってしまった「3月利下げは考えていない」という回答は、とりあえず米国経済がどうなろうとも、変更することはないだろうし、データ主義にFRBにとってはしたくても出来ないだろう。そういう意味では今回の雇用統計は罪深いものになるかもしれない。

がしかし、日本株にとっては思わぬ追い風となった。ドル円が急激に円安に傾き、米国債金利が上昇したことで、日経CFDは¥244高の¥36,402まで値を飛ばすことになったわけだが、週末の日経EPSは¥2,252と予想外に低下したために、現時点ではPER16.16という高水準になってしまった・・・。

これまでのところ発表された企業決算は期待値に及ばないわけで、PER16.16が週初に容認されるか否かは想像がつく。売りポジションを建てて派手に担がれてしまった身としては、リカバーの糸口はもう分かってる。とりあえず月曜は商社の決算勝負に挑む。

というわけで、一寸先は闇の株式市場ではよくある逆目・裏目の展開に一喜一憂しても仕方ない。来週の準備をしっかりとしておこうと思ってます。