米国雇用統計はもう使えない!?

米国雇用統計はもう使えない!?

米国労働省が発表する非農業部門雇用者数変化、所謂雇用統計は本当に米国経済を反映しているのか?というと、この1年あまり相当に怪しい数字が出てるので・・・。「怪しい」という意味は、要するにパート数や掛け持ち数、そして移民の流入によって増える労働数をまともにカウントするようなシステムになっていて、景気が悪くても(雇用者数が)増えちゃうんだよ。

今回もこんな景気だから「家計調査」によれば正社員数は60万人以上減少して、パートが28万人増加してる。ということは家計単位で見れば、▲32万人なんだよね。その家計調査を米国労働省は「予算がないからサンプルを減らします」と言い出した!

この役所はつい昨日、「本当は今年に入って6万人多く発表してました」とシレッと発表したばかり。それだけではなくて今年の1月から「新たな調査方法を適用します」と言ってたんだよ。

そんなの統計として役に立つのか?と言いたいよね。

21:30 (米) 5月 非農業部門雇用者数変化 [前月比] 17.5万人
(16.5万人)
18.5万人 27.2万人
21:30 (米) 5月 失業率 3.9% 3.9% 4.0%
21:30 (米) 5月 平均時給 [前月比] 0.2% 0.3% 0.4%
21:30 (米) 5月 平均時給 [前年同月比] 3.9%
(4.0%)
3.9% 4.1%
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これが企業調査も含めた今回の雇用統計の発表値だけど、確かに4月分は1万人減らしてるけど、5月は27.2万人増加してる。家計調査では▲32万人減少してるんだけど、発表値は△27.2万人増加してる!よく見ると調査全体ではパートは40万人増加しててヘルスケアで80万人増加してる・・・。

これはもちろん移民だけじゃないけれど、人が足りない各部門でパートを雇わざるを得ないということであって、あまり人気のない、というか敬遠される仕事でも、移民は贅沢は言えないからね。

ただそうして雇用者数が増えても、これは企業業績にはほとんど関係しない部門でしかなく、つまりは雇用者数の増加は一概に好調の反映とは言えないだろう?それよりも失業率が遂に4%台に乗ったこと、正社員数が60万人も減少したこと、の方が重大だと思うけどね。

ということは、この統計をみて市場は労働市場好調で利下げ先送りと判断したのは、どうなの?って感じがするよね。昨夜の米国市場の動きを見ていても、結構こういうことに疑問を感じた投資家が多かったんじゃないかな。

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そして増加したと言っても、長いスパンでは誤差の範囲とも言えなくはない。

そもそも雇用統計ってメチャメチャブレる指標であることが分かるし、その時に株式市場は急激にボラが拡大したので、その延長線上でいまでも身構える。でも、現時点でこれだけ様々な指標が悪化している中で、こうした数字が「労働市場好調=米国個人消費好調=米国経済好調」とはむずびつかないんじゃないかと思うけどね。

とは言え、今回の雇用統計はまるで測ったように微妙な数字が出たよね。ある意味ではこれで6月の急落は基本的には回避できたような気がするけどね。

となれば・・・月曜はロスカットスタートかなぁ・・・と。ちょっと憂鬱。