株式市場のAIブームについて思う事

株式市場のAIブームについて思う事

今の相場は間違いなくAIブーム、いやAIバブルでしょ。「AIは万能だ!」「AI革命は世界を変える!」「AI革命は人類最大の産業革命になる」みたいに、あらゆる賛辞を惜しみなく使ってAIを盛り上げてる。こういうことが起きるということは、これは間違いなくバブルなんだよね。

現時点でのAIは、言語処理やら画像生成やら、特定分野の自立システム補助、さらには医療診断等のヘルスケア、というあくまで限定的な分野での、言ってみれば人間の代替的な役割を担うようなレベルになりつつあるというところに位置する。けれど、ディープラーニングが時間とともにより確度の向上をもたらすので、常に僅かながら許容範囲を広げている。

けれども自律性をどんどん高めていって、人間と同じレベルの人工汎用知能(AGI)となるには、此の先どれほどの時間とコストがかかるのか想像も出来ないし、まずその前に人間の意思決定がどのように行われているのか、つまりは人間の中で意思の存在がどういうメカニズムで生まれ、発達していくのかを解析するという難事業が待っているからね。同時に人間の中にある感情をどのようにAGIの中に取り込むのかという超難事業が控えてる。

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もっとも初歩的と言われる言語処理を考えてみても、翻訳機能の実用化でさえ満足に使えるようになるまでには、30年くらいかかってるし、同時通訳機能はいまだに途上にあることを考えると、AGIレベルはそれが本当に使えるレベルになるには実際のところ何年先になるのか見当もつかないというのが現時点での立ち位置です。

けれどもすでにコミュニケーションやリテラシー、デザインなどの分野では多くの人間の能力を凌駕していることも事実で、そのことをことさらに宣伝してAIの時代というのは、燥ぎ過ぎというもので、燥ぎ過ぎたらITバブルがそうであったように、一度バブルは崩壊してしまってから、コツコツと進化を続けて実用化のレベルになるもの、と感じるんだよね。

多くの巨大化したハイテク企業、ネット企業がこぞってNVIDIAのGPUを爆買いした。数千億円のオーダーを入れてGPUを買って持ってます。それで品薄になったからさぁ大変!とばかりにデータセンターをやってる経営者とかがオーダーするわけで、ますます供給は逼迫してしまう。ある意味NVIDIAには、そうした過熱した需要が殺到したものだから、1年で売り上げが7倍とか、時価総額が世界一になるとか、とんでもないことが起こってます。そう、そのトンデモなことは現実のAIの進化スピードの100倍とか1000倍の速さで起こってるわけで、これをバブルと言わずして何がバブルなの?と思うよね。

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調子に乗ってNVIDIAもAI革命が起こる、なんて言っちゃってますけどね、そもそもNVIDIAのGPUはAIじゃないからね。AIを稼働させるために現時点では最も効率の良いGPUという事ですから。なのでAIの進化よりも、これもはるかに速いスピードで恐ろしく高性能・高効率のCPU、GPUが出てきます。ぶっちゃけデータセンターの場合、必要なのは大容量のデータ転送とかスピードとかそうした通信インフラがないとそんなに意味はないという壁にすぐにぶち当たります。

だからAIの進化にともなって様々なインフラが整備される必要があると思うけど、NVIDIA単独で独走するというのは、金融ジャブジャブの影響で巨額の投資が可能ないまだからそう見えるのであって、余り浮かれても意味がないような気がするけどね。

第一、AIが人間の良心を凌駕するのはいいけれど、邪心も凌駕しちゃうって、そんな世界はとんでもないでしょ。AIの判断が最良というのなら独創性が吹き飛んで、つまらない世界になっちゃいますよ。

なので俺はAIで勝負するなら、バブルが終焉するときだって決めてます。